気分をリフレッシュさせてくれる、さわやかなレモンの香り。
そんなレモンの香りを楽しめる植物は実は結構たくさんあって、リラクゼーション効果や集中力向上などの効能が知られ、ハーブとしてお茶やアロマに楽しまれてきました。
そこで今回は、レモンの香りがする植物をガーデニングの目的別に分けてご紹介します。初心者でも育てやすいものを探している人、花も楽しみたい人、料理やお茶に使いたい人、香りのあるシンボルツリーがほしい人などにおすすめです。
意外に多い?レモンの香りがする植物たち
レモンはミカン科ミカン属の常緑低木です。果実からレモンの香りがするのはもちろん、葉っぱからもレモン特有の香りがします。
でもこの甘酸っぱい香りを放つのは、ミカン科などの柑橘類だけではありません。この香りの成分は、ほかのさまざまな種類の植物にも含まれています。
レモンの香りとは?
レモンの香りの主成分は、リモネンといわれる成分です。リモネンは柑橘類の皮に多く含まれている香りの成分で、オレンジやグレープフルーツなどもリモネンが主成分です。
しかしオレンジ・グレープフルーツ・レモンはそれぞれ少し香りが違いますよね。
シトラールを含む植物たち
オレンジ・グレープフルーツ・レモンの柑橘類の香りが微妙に違うのは、リモネンの構造の違いやリモネン以外に含まれる成分や配合が違うためです。そしてこの微量な成分の中で、 シトラール という成分がレモンの香りを感じさせてくれる要因です。
ただしレモンユーカリのように、シトラールと名前も香りも似ているシトロネラールという成分が主成分の植物もあります。シトロネラールも柑橘系の爽やかな香りのする成分ですが、シトラールとシトロネラールは別の成分です。ちなみにシトロネラールは、レモンには含まれていません。
虫除けにもなる?
シトラールやシトロネラールは虫除け効果があるともいわれています。
シトラールは特にゴキブリやダニなど、シトロネラールはゴキブリ、ダニ、蚊などに忌避効果があるといわれ、それらを含む植物は虫除け用のアロマとして使われています。
庭木や植え込みにあると嬉しいのは特に蚊避け効果ですが、 蚊除け効果を期待するならシトロネラール を含む植物に注目してみてください。
ガーデニングの目的別にご紹介
ここからはレモンの香りがする植物たちをご紹介していきます。
今回は、植える場所や難易度などガーデニングの目的別に分けてみました。
庭に植えれば、香りを楽しみに庭に出る機会も増えるかもしれませんよ。剪定しておうちに飾ってもレモンの香りを満喫できるので、ぜひ参考にしてみてください。
丈夫で初心者向きなハーブ【2選】
レモンバーム
シソ科の宿根草で、葉を少し触るだけでレモンの香りがします。シトラールやシトロネラールが含まれており、ハーブとして古くから利用されてきた植物です。
日陰でも育ち、丈夫な性質で初心者向きです。ただし、丈夫で大きくなる上にこぼれ種でどんどん増えてしまい、広がりすぎることも。管理には気をつけましょう。
レモングラス
イネ科のレモングラスはシトラールの含有量が高く、レモンよりもレモンの香りがするともいわれるハーブです。ハーブティーや料理にもよく使われます。
地植えができる暖地では非常に強健で育てやすい多年草です。ただし寒さに弱く、霜が降りる地域では枯れてしまうので鉢植えで育てて冬は室内で管理しましょう。
料理やハーブティーに使いやすい品種【2選】
レモンバジル
シトラスバジル、バジリコ・リモーネとも呼ばれる、スイートバジルとホーリーバジルの交配種のバジルです。スイートバジルの香りとレモンの香りが合わさった、さわやかな香りを持っています。
本来は多年草ですが寒さに弱く、バジル全般が日本では一年草扱いです。サラダなど料理に幅広く使えて、キッチンハーブなどにおすすめです。
レモンタイム
レモンの香りのするタイムで、いくつか品種があります。タイムには匍匐性と立ち性の2タイプがありますが、レモンタイムも品種によって異なります。匍匐性のレモンタイムはグランドカバーにもおすすめですよ。斑入り葉やシルバーリーフなど、葉色もさまざまです。
寒さに強く、冬に地上部が枯れても春にまた芽吹いてくれます。蒸れに弱いため、風通しの良さと水のやりすぎに気をつけましょう。
シンボルツリーや庭木におすすめ【4選】
レモンバーベナ
レモンバーベナは、樹高3mになることもある南米原産の落葉低木です。葉に強いレモンの香りがあり、特に若葉が香りが良いためハーブティーにおすすめです。
雪の降る地域では鉢植えがおすすめですが、関東以西では地植えで楽しめます。成長が早いため、葉を楽しむついでに剪定を適宜行いましょう。剪定には強いので、庭の大きさに合わせて育てられます。
レモンマートル
オーストラリア原産の常緑低木、レモンマートル。レモンやレモングラスよりシトラールの含有量が多く、 レモンの香りがする植物の中では一番香りが強い植物 です。
葉は触っただけでは香りはせず、刻んだり揉んだりして楽しみます。6月~7月頃に咲く白いふわふわの花からは、はちみつのような甘い香りがします。暖地では地植えも可能で、関東以北は鉢植えにして冬は室内に取り込みます。
レモンティーツリー
ティーツリーというとメラレウカ属の名称と混同してしまいますが、レモンティーツリーはレプトスペルマム属の仲間です。ギョリュウバイの仲間で、小さな梅のような花を咲かせます。葉を揉むとレモンの香りを楽しめますよ。
オーストラリア原産で寒さに少し弱く、霜の降りる地域では鉢植えがおすすめです。暖地では地植えで育てられ、大きく成長します。
レモンユーカリ
こちらもオーストラリア原産のレモンユーカリ。若木のうちは葉に毛が生えていて、少し触るだけで強くレモンの香りがします。ただし成長するとどんどん艶のある葉になって、成葉は刻んだり揉んだりすることで香りがします。シトロネラールが多く含まれているため、蚊避けにも使われます。
比較的寒さや暑さに強く丈夫ですが、連日雪が降るような地域では鉢植えがおすすめです。
可愛らしい花からもレモンの香り【2選】
レモンマリーゴールド
レモンマリーゴールドは、多年草のマリーゴールドです。キバナコスモスに似た花と、レモンの香りのする葉が特徴的。レモンとマリーゴールドの香りが合わさって、少し独特な香りがします。
9月~12月頃に花を咲かせ、花姿も見応えがあります。雪の降る地域では鉢植えがおすすめです。関東以西では地植えが可能で、冬に地上部をばっさりと剪定します。
レモンゼラニウム
ゼラニウムのバラのような香りとレモンの香りをあわせ持つレモンゼラニウム。小さな葉とピンクの花が優しい印象です。
シトラールを多く含むレモンゼラニウムと、蚊避け効果の高いシトロネラールを多く含む蚊連草とがあります。蚊連草のほうが花も葉も大ぶりなのが特徴です。
寒さに比較的強いですが、関東以北では鉢植えにして冬は取り込みます。またゼラニウムは3~4年に一度ばっさりと剪定してあげると、形の良い状態をキープできます。
育てて楽しい、使って楽しいレモンの香り
香りを利用するコツ
これらの植物は、葉に毛が生えているタイプは触ったり踏んだりするだけで香りますが、 つるんとした葉は刻んだり揉んだりしないと香らない という特徴があります。
ガーデニングでのおすすめの楽しみ方は、庭作業のときに何枚か葉っぱを摘んで、手で軽く揉んで腰などに下げておく方法。作業中ふんわり香りを楽しめますし、シトロネラールを含むものは蚊避け効果も少し期待できます。
ぜひ庭に取り入れてみて
レモンの香りの植物は鑑賞しても可愛らしく、剪定した葉をお茶や料理に使っても美味しいという優れもの。剪定した枝を部屋に飾れば、天然のインテリアフレグランスにも。庭にひとつあるとガーデニングがもっと楽しくなるアイテムです。
ふとした時にレモンの香りで癒される生活はいかがですか。ぜひ取り入れてみてくださいね。
しまうま
余暇プランナー
田舎暮らしの30代フリーライター。イングリッシュガーデンやオージーガーデンが好きな2児の母です。花屋と園芸店で勤務経験があり、今はガーデンデザインの勉強中。最近ついにマイガーデンに着手し、ゆる〜くかつ素敵なお庭を作るべく、日々試行錯誤しています。かっこよくて魅力的なネイティブプランツや、のびのび育つのに繊細なフォルムのハーブや花々が好き。リアルな庭作りの情報をお届けしたいと思います。