2020年1月上旬から日本国内で感染と流行が広がった新型コロナウイルス。旅行等の遠出はもちろんのこと、ちょっとした外出も自粛しなければならない雰囲気だっただけでなく、マスクを屋内では原則着用する状況でした。
その数々の制限がある生活は変化を迎え、2023年3月13日にはマスク着用が個人判断に。そして同年5月8日には季節性インフルエンザと同等となる「5類」に移行したことで、新型コロナウイルスとの生活が終わる「アフターコロナ」の時期へと突入。
そんなアフターコロナとなったことで、世の中の生活者の消費行動にも大きな変化が見られたことが明らかとなりました。
新型コロナウイルス5類移⾏による消費動向・トレンドの変化
アフターコロナによって身なりを整える消費行動が活発に
マスク着用が個人の自主判断となったことをはじめ、外出機会や人との交流増加に伴い「外見」に関する消費行動に変化が見られたそうです。
特に口紅の市場規模には大きな変動があったそうで、マスク着用が日常化した2020年は2019年時の約44%程度まで落ち込んでしまったそうですが、2023年以降は徐々に回復。同年3月には前年比181%と大幅に増加する結果となりました。
これまでマスクをした状態で会話をしたり対面で人と会うことを避ける行動を取っていた中で、行動制限が解除となって人と会う機会が増え、マスクをしない生活の割合が多くなってきたことが大きな要因となっています。
また外出機会や人との交流が増加したことで、日焼け止めの品目は前年同期比129%まで伸びる結果となり、全体的に「外見」を気にした消費行動に変化が起きていました。
外見だけでなく内面ケアの消費行動も変化が見られた
一方、5月8日の新型コロナウイルスの5類移行に伴って上述した外見だけでなく「内面」に関する消費行動にも変化が見られています。
新型コロナウイルスが5類へ移行してマスク無しの生活が一般化する中、健康の土台となる「食事・運動・睡眠などの生活習慣全般を整え、毎日元気に過ごしたい」という健康管理に対する意識が高まっているそう。
乳酸・乳酸菌飲料の品目は前年同期比142%伸長しており、納豆品目も前年同期比112%と、乳酸菌や納豆菌を取り入れた食生活が増加した傾向が見られます。
また、スポーツドリンク・機能性飲料品目でも前年同期比135%で伸⻑するなど、消費者の購買行動から「食事・運動」の健康志向あさらに高まっていることが分かります。
そして疲労回復効果やリラックス効果が望める入浴剤品目は前年同期比197%で伸⻑しており、良質な「睡眠」を通じて体の内側からケアをしたい人が多くなったと考えられるでしょう。
新型コロナウイルスの5類移行後、世の中で脱マスクの考えが広がる一方で、コロナ禍以上に健康管理に気を付けたいと考える人が増えてきていることから「体の内側のケア」にも注目が集まっていることが伺えます。
5類移行後のマスク着脱率と消費行動の動向について
過去2週間以内に「公共の場ではマスクを着用した」と回答した人の割合は、2021年4月〜2022年9月までは85%〜90%という高い水準で推移し、同期間で大きく下がることはありませんでした。
これはまだ屋内でのマスク着用のルールがあったことをはじめ、マスクを極力着用するという方針が大きく影響を与えていたことは間違いありません。
しかし、2023年3月13日の「マスク着用は個人の判断」という方針施行直後の3月15日〜22日調査では、マスク着用率が71%まで減少。
さらにGW最終日の5月7日になると、幅広い年代が行き交う新宿のマスク着用率は60%にまで低下し、徐々にマスク着用が地涌になったことで「脱マスク」をした方が増えていることが分かります。
さらに、5月8日に新型コロナウイルスが5類に移行した直後の週末になると、人気の外出スポットである表参道のマスク着用率は36%にまで減少。エリアによっては約3人に2人がマスクを外している結果となりました。
マスク着用の判断に関しては、5類への移行がマスクを外す大きな分岐点となった可能性があり、今後は夏に向けて気温も上がりつつ、梅雨時期の湿気等の要因から更にマスクを着用しない方は増加傾向になることが予想されます。
また、東京都の調査では5月の繁華街の人出はエリアによってはコロナ前の水準の約9割まで戻ってきているそう。
さらに大手旅行プラットフォームからは、今夏の旅行動向についても発表がなされており、約3年ぶりに外出や遠出の機運が高まっています。「旅行を計画している」と回答した日本人旅行者の割合は65%と、2022年の同時期の結果である24%と比較して大幅な上昇が確認されました。
脱マスク消費は第2段階に入る
ここまで述べてきた他に、これから夏となり非常に暑い日が続くことを鑑みても、脱マスク社会が今後より活発になるとされています。
様々なイベントや外出を楽しむため、食事・運動・睡眠などの生活習慣全般の健康管理に気を付けたいといった需要からか、乳酸・乳酸菌飲料が伸⻑していると見える消費動向となりました。
経済アナリストの森永康平さんの考察によると「コロナ禍が私たちの消費行動に大きな変化を与えてきた」ことが分かるそう。
小売店販売データを見てみると、私たちが何を考えて消費行動を変化させてきたか理解出来ると説明。例えばコロナ禍1年目である2020年はマスク・殺菌消毒剤・うがい薬など感染拡大対策に関する商品が売り上げを大きく伸ばしていました。
コロナ禍2年目となる2021年はオートミールや⻨芽飲料、プロテインなどの売り上げが伸長。このデータからは、自粛生活の影響を受けて「運動不足や肥満を意識」した国⺠の健康志向が高まったということが推測出来ます。
そして最新の2023年のデータを見ると、口紅・口腔用薬・乳酸・乳酸菌飲料・液体だしの売り上げが増えており、前者2品目の売り上げが伸びたというデータからは、コロナが落ち着く中で外出機会が増えることを受け、外見に影響を与えるメイク用品や、対人を前提とした口臭ケアなど関連商品の需要があることが紐解けるデータ。
マスクを外すようになったからこそ需要が高まったこのような消費行動は「第一次ノーマスク消費」と言えると森永さんは話します。
また、後者2品目からは消費者が「手軽に何かをしたい」というニーズが読み取れると説明。手軽に健康管理が出来ることを期待して乳酸・乳酸菌飲料が売れており、手軽に本場の味を家で再現出来る液体だしが売れているのではにか、と推察されています。
そして、2023年上半期が終わろうとしているタイミングに、足元のデータを見てみても乳酸・乳酸菌飲料の需要はさらに高い伸びを示しています。人流が増える一方でマスクの着用率は下がっているという状況に対し、何かしらの「体の内側のケア」をしたいといった注目が集まっていることが考えられ、このような市場の変化を「第二次ノーマスク消費」と呼称し、考察されました。
マスク装着の自主判断化や新型コロナの5類移行に伴い、一気に消費行動が活発になってきた日本。特にマスクをしない時間や移動・人との関わりが増える以上は、別の部分でコロナに罹らない対策・防衛が必須です。
自身の体調管理のため乳酸・乳酸菌飲料等の「体の内側のケア」を継続して行うことは、人生を長期的に見ても大きなメリットのある行動。
ぜひ皆さんも身なりを整えるだけでなく体の内面のケアも怠らず、感染報告が再度増えてきている新型コロナウイルス感染症等の病気にならないよう注意しましょう。