
芝浦工業大学の研究グループは、独自技術の蒸気コーティング法で形成される保護皮膜の構造的特徴から、サビ(孔食)への耐性をAIで予測・解明することに成功しました。
AIによる耐食性予測モデルの構築
石崎貴裕教授(先端材料研究室)らの研究グループは、アルミニウム合金の保護皮膜(ベーマイト皮膜)におけるサビにくさを、皮膜そのものの物理的特徴から予測する手法を確立しました。膜厚・表面粗さ・結晶子サイズ・基板の欠陥密度という4つの物理記述子をAIに学習させ、従来の手法を上回る精度(決定係数R2=0.670)で耐食性を予測することに成功しています。本研究成果は2026年8月18日(火)に、『npj Materials Degradation』誌(オンライン)へ掲載されました。
※本研究は、JSTの研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP 産学共同(育成型),No. JPMJTR23RJ)の一環として行われました。
形態的レジームシフトの発見
研究グループは、説明可能なAI(XAI)を用いることで、複雑に絡み合う各要素の影響を独立して可視化しました。解析の結果、表面粗さが膜厚約2,200 nmを境界として、耐食性に与える役割を「被覆効果」から「腐食因子の侵入経路」へと変化させる現象を発見し、「形態的レジームシフト」と名付けています。この知見は、製造装置や生産規模に依存しない普遍的な材料設計指針として、試作コストの削減や次世代材料開発の加速に寄与することが期待されます。
まとめ
物理的特徴に基づいたAIモデルの構築により、アルミニウム合金のサビにくさを決定づける要因が定量的に明らかとなりました。今後、マグネシウム合金や全固体電池といった多様な機能性材料の開発への応用が期待されます。
関連リンク
https://sites.google.com/shibaura-it.ac.jp/shibaura-ishizaki-lab/
