
「ちょっと太っただけ」と言って健康に気を使わない人が多いのです。もっと「肥満」を正しく知りましょう。そして、「肥満症」に進まないようにしっかり対応するのが重要です。肥満が原因で起きる健康障害は11にも及びます。その健康障害、最近は14にも増えました。今回は、肥満が引き起こす健康障害の「糖尿病」「高血圧」にスポットをあてます。
肥満で内臓脂肪がたまりすぎると脂肪細胞が作る生理活性物質の「アディポサイトカイン」の働きが変わってきます。善玉の「アディポネクチン」が減り、悪玉の「アンジオテンシノーゲン」「TNF-α」「PAI-1」の作用が目立ってきます。
この中のTNF-αは、膵臓(すいぞう)から出るインスリンの効き目を悪くします。そのため、インスリン抵抗性を起こしやすくなり、膵臓がインスリンを大量に分泌します。すると、膵臓が疲弊してインスリンを作れなくなり、糖尿病になってしまいます。そうなる前に、肥満を改善してヘモグロビンA1cを正常値に保つことが重要です。
ヘモグロビンA1cの正常値は4・6~6・2で、6・5を超えると糖尿病と診断されます。ところが、35~40歳くらいの肥満の人は、その数値が7・6と高くても、「自分は元気だ」と思ってめちゃくちゃ飲み会もしています。これが肥満の人の特徴です。そのため、糖尿病はどんどん悪化してしまいます。
一方、高血圧にはアンジオテンシノーゲンが強く関係します。アンジオテンシノーゲンの分泌が増えると血圧調節機能が活発化し、血圧を上昇させてしまいます。そして、PAI-1は血小板を凝集させるので動脈硬化を進行させます。それにより血栓ができやすくなるので、心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞のリスクがグンとアップします。
このように、たかが肥満と軽く見てはいけません。内臓脂肪のたまりすぎは生活を一転させかねません。(医学ジャーナリスト松井宏夫)
