File no. 154
《Panther/パンサー》
日本において、洋式の靴が履かれるようになったのは江戸時代末期〜明治時代初期の頃だといわれている。
また、日本初となる近代的な靴工場が東京に誕生したのが1870年頃。
創業1000年を超える老舗企業が存在する日本において、洋式靴製造の歴史は150年ほどしかない。
その後に誕生したスニーカーというジャンルに絞っていえば、国内製造の歴史は洋式靴の半分くらいしかなく、古くからスニーカーを製造していた老舗となると極少数に限られる。
さらに、現存しているブランドとなると……それはもう極めて貴重な存在なのだ。
ということで、今回はそんな貴重な日本の老舗スニーカーブランド《パンサー》を紹介したい。
日本人ならぜひ知っておいてほしい。
《パンサー》といえば、大正八年創業の履物屋の老舗、世界長から1964年に誕生したスポーツシューズブランド。
足袋(たび)の機能性をもとに"軽くて蒸れない"をコンセプトに開発された「パンサーエス」をブランドスタートと同時に発表した。
1968年には、後にブランドの看板モデルとなる「パンサーデラ」を発表。
アッパーのナイロン素材とサイドパネルの補強パーツが象徴的なこのモデルは話題を集め、ロングセラーとしてブランドの知名度を着実に高めていった。
1970年には染色加工を施したスウェードをアッパー素材に採用し、特徴的な補強パーツをサイドに施したモデル「パンサーGTデラックス」を発売。
この1970年代に入ってからは「パンサーデラ」が全国の学校指定靴として採用され、子供たちの間で一大ムーブメントを巻き起こした。
そしてトレーニングシューズの代名詞としての信頼も勝ち取り、日本を代表する多くのトップアスリートたちから愛用されていた。
1980年代になると「ジョギング」を筆頭に、ランニングからコートタイプまで多彩なスニーカーを展開。
その後、いったんは活動を休止していたものの、2016年に復活を果たす。
『ミタスニーカーズ』の国井栄之氏をアドバイザリースタッフに迎え、オリジナルモデルの普遍的なディテールを忠実に再現しながらも、履き心地や通気性、防臭性などの機能面を現代的にアッ
プデートした復刻モデルを多数発表した。
日本のスニーカー史において最古参級の歴史を持ち、さらに和製を貫く極めて貴重なブランドこそが《パンサー》なのだ。
黒ヒョウをイメージした俊敏さにあふれるデザイン性と軽快なフォルムは、きっとこの先も着々と受け継がれ、進化を続けていく。
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