アウトドアウエアのレイヤリングから着想を得て開発されたアメリカ軍の戦闘服システムECWCS(エクワックス)。これまで2回に渡ってその全容を見てきたが、今回は、特殊部隊向けに開発されたさらに先鋭的な戦闘服システム「PCU」ついてご紹介。
ECWCSを凌駕する、特殊部隊のために生まれた新システム「PCU」とは。
米陸軍主導で開発されたECWCSは一定の評価を得ていたが、一部の過酷な任務に携わる特殊部隊の隊員などからは、防寒性能が不十分だとして不満の声が上がっていた。その理由のひとつに、陸軍の規模が大きすぎて装備の刷新に時間がかかり、民生市場におけるアウトドアウエアに比べ開発が遅れていたことがあげられた。
そこで2002年から特殊部隊を統括する特殊作戦軍(SOCOM)の主導により、ECWCSとは別に最新のスペックを持つシステムを、特殊部隊向けに開発することになった。それがProtective Combat Uniform、通称PCUだ。
レイヤリングに関する考えはECWCSと共通だが、素材に最新のものを 採用し短期間で世代を交替させることで、最新のアウトドアウエア並のスペックが盛り込まれている。
また、PCUの開発にはかつてパタゴニア社でテクニカルアドバイザーを務めたマーク・トゥワイト氏が携わったことから、多くのモデルがパタゴニア社で開発・製造されているのも特徴と言えるだろう。PCUはECWCSから発展した最新最高の戦闘服システムなのだ。
謎多き次世代の戦闘服。 LEVEL 9(PCU)
ECWCSやPCUの場合、レベルはレイヤリングの段階を表すが、実はそれ以外にレベル8や9と記載されたモデルも存在する。
これらは特殊部隊を統括する米特殊作戦軍(SOCOM)により、PCUとして実験的に採用された次世代モデルと言われ、特にレベル8は試作品に近いものだという。しかしサンプル数が少ないため全貌は不明。非常に珍しいアイテムと言えるだろう。
Edit/Takatoshi Akutagawa(Thunderbird Design)
Photo/Hiroyuki Yamada Styling/Takahiro Nakajima
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