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マグロと春キャベツを探しに三浦まで、漆黒のディフェンダーで!【ワンデイドライブ #20】 


電車なんかと違って、クルマで行く旅は風の吹くまま気の向くまま、どこにだって行ける。行き先は、思い立ったらパッと行けて、パッと帰ってこられるくらいの場所がいい。

第20回目のドライバーは、数々のヒット作を生み出し、主催するキャンプイベントも大好評の「TARPtoTARP」発起人・須山友之さん。生み出すギアとも通ずるソリッドな「ディフェンダー」で向かったのは、食材の宝庫、神奈川県の三浦のほう!

過去のワンデイドライブ記事はこちらから。

いい音楽、いい香り、いいクルマ。

約束の時間になると、黒い塊が前からやってきた。漆黒の「ディフェンダー」だ。クルマから降りてきたのは「TARPtoTARP」の須山友之さん。業界でもクルマ好きとして知られるお方。

須山友之さん
1979年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後に世界的企業にて新規事業の企画・立ち上げ・運営を担当。 2011年に同社を退社し、デザインコンサルタントの会社を設立。2019年にカフェでありブランドでもある「TARPtoTARP」を設立。山中湖にある湖畔サウナ「 CYCL(サイクル)」の運営にも携わる。
Instagram:@tomotech54@cycl_sauna

近くで見ると、よりでかい。都心では持て余しそうなサイズ感であるけれど、須山さんにとっては小さい頃から憧れたクルマだった。

「ランドローバーみたいに、四駆しか作ってないメーカーってないじゃないですか。コンセプトがずっとぶれないところも昔から好きでしたし、『四駆界のロールスロイス』なんて言われ方もする。そのコピーにも昔から惹かれてたんだと思います」

いまはこのクルマで、毎日のように自宅から横浜の事務所を往復し、休みになると山や海などのフィールドへと出向いている。乗りはじめて3年目にして、走行距離は約7万キロ!

須山さんはいまでこそキャンプの人だけれど、その経歴がおもしろい。3歳から5歳までは父親の転勤でアラスカに住んでいたり、高校から4年間はカリフォルニアも住んでいた。その時代に音楽に目覚め、現地でDJの大会にも出場していたりもした。ちなみに、須山さんのIGアカウントにある「tomotech」はDJネームで、アメリカ時代の友人でもあるShing02さんが名付け親。

そんな音楽好きでもある須山さんの車内BGMは、昔から大好きだというUyama Hirotoさんの「You &Me」。いわく、Uyamaさんの音楽にハズレなし!

音楽以外にも、デザインが昔から大好きで、建築や家具への造詣も深い。実は、「TARPtoTARP」のほかにデザインコンサルとして照明メーカーなどとも契約をしており、その知識やセンスが「TARPtoTARP」のギアにも反映されているというわけ。

そうしたこだわりは車内にも垣間見ることができる。余計なものは一切なく、色は統一され、どこまでもミニマル。あるのは、ダッシュボードにあるこれくらい。なんですか、コレ。ウーファーかと思いきや、どうやら中のファンが回ってる!

「芳香剤なんですよ。中にセラミックの石があり、それにオイルを足らす。で、日光を受けるとソーラーで中の羽がまわり、においが拡散するんですよ。いろいろ試したんですけど、これがやっぱ1番いですね。香りも数種類売っていて、一番好きなのがこのアズールオーシャンって香りです」

気になる方はこちらから。

どうりで車内が、いい香りでみちているわけだ。一般的なエアーフレッシャーよりも高貴で品もある。アズールオーシャンの香りをかいでいるうちに、早速、三浦オーシャンが見えてきた!

三浦に来たら、ランチは絶対に寿司。

三浦といえば、なんといってもマグロだ。「毎日お寿司でもいい」と豪語するほどの寿司好きな須山さんは、三浦に来ると必ずマグロの寿司をつまむ。いつもは回転寿司だけれど、この日は冒険もかねて、評判の町寿司の店へ。

魚音
住所:神奈川県三浦市三崎5丁目1−13
電話:046-881-3322
HP:uooto.com

そもそも、なぜ三浦のマグロがここまで有名なのか。半島の先にある三崎漁港は、昭和初期からマグロ漁業の中心地として発展し、全国トップクラスの水揚げ高。しかも太平洋・大西洋・インド洋へと出航した遠洋漁業船が、世界中の旬のマグロを釣り上げて数ヶ月後に帰港する。つまり三崎港には、世界中のマグロが集まってくるというわけ。

「魚音」も毎日三崎漁港から魚介類を仕入れ、新鮮なマグロのほか地魚も豊富に揃っている。この日にオーダーしたのは、おまかせ握りと、ネギトロ巻。

「シャリの具合も回転寿司とは違い、口に入れるとほどけていきますね。漁港が目の前だから、まずいわけがないですよね。いやぁ、いいお寿司屋さんですねぇ」と須山さん。口に運ぶたびに、こんな感じで目を瞑っちゃう。マグロ以外もどれも鮮度がビンビンだ。

寿司好きの須山さんも唸らせる「魚音」は、昭和のはじめ頃からこの場所で商売をしてきた、地元民も通うカジュアルな一軒。大将と常連客のやり取りを聞いていると、横浜からわずか1時間の場所であっても、ちゃんと旅に来た気分になってくるから不思議なもんです。

海の街で、多様な動植物が生息する森へ。

食後のコーヒーは、三崎港そばにある「珈琲の店 キー」で。ニューメキシコっぽさもありつつ、なんともいえない書体が目を引く。港町に静かに佇む老舗の喫茶店は、地元の人々に長く愛される一軒だ。コーヒーカップを手にしながら、しばし港の景色をぼんやり眺める。ちなみに、コーヒーブランドの「KEY COFFEE」とは関係ない。

キー
住所:神奈川県三浦市三崎2丁目7−2
電話:046-881-6947

コーヒーブレイクしたのち、クルマを走らせ向かった「小網代の森」。三浦といえば海のイメージだけれど、実は森もある。

入り江と森と湿地が一体となって保全されたエリアで、森の中には絶滅危惧種のアカテガニをはじめ、多様な生き物が息づいている。一歩踏み入れれば喧騒とは無縁の世界。

小網代の森
住所:神奈川県三浦市三崎町小網代

遊歩道を歩きながら、木漏れ日と潮の匂いが混じる空気を吸い込む。毎日スクワット100回が日課という須山さん、当然のように息も上がらず軽快に進む。腹ごなしにはうってつけの場所だ。

アウトドアが好きな人間にとって、三浦半島はいくらでも遊べるフィールドが広がる。海も山も。

「あと、三浦には『黒崎の鼻』っていうところがあって、そこで野営やキャンプをすることもあるんです。岬の先端で、視界に人工物が何も入らないのでおすすめですね。やばいっすよ、あそこも」

旬の春キャベツ発見!

三浦は魚介類だけでもなく、あたりには広大な畑が広がっていて、いろんな野菜が育てられている。町中にはこんな感じでトラクターも走る。

スイカや大根などなど、季節でいろんな野菜が採れるのだけど、この季節はなんといっても春キャベツ! 町には直売所なんかもポツポツあって、旬な食材を求めてグルメな大人がやってきている。

そこで立ち寄ったのは「大井農園」の直売所、通称チャラ夫の農園。

大井農園直売所
住所:神奈川県三浦市初声町和田
IG:@shinichiro.ohi_farm

「昔はそんなことなかったですけど、最近は旬のものを食べるのがとにかく楽しい。大人ですよね。自炊はあまりしないんですけど(笑)、それでもやっぱり買いたくなるもんです」

200円で2玉買えるとは、さすがは直売所価格。ひとつは自宅用、もうひとつはご近所さんへのお裾分け用に。

アウトドアの新店で、おもちゃを買う!

旅の締めくくりに訪れたのは、「5050workshop」の直営店である「El Pueblo」。昨年8月にオープンしたばかりで、同ブランドのすべてをここで見ることができる。

El Pueblo
住所:神奈川県横須賀市長井3丁目13−3
電話:046-845-4890
IG:@el_pueblo_yokosuka

「5050workshop」といえばライトのイメージが強いけれど、そもそもの会社のはじまりは玩具メーカーから。そこで培った遊び心をベースにしながら、キャンプギアやライフスタイルグッズへと展開してきたブランドだ。

多くのキャンパーが愛用するミニマライトは限定のカラーも揃い、アパレルラインも充実している。そのほか「こんなものまで!?」ってのが結構ある。

須山さんが特に気になったのが、ビリヤード台とエアーが出る本格仕様のエアホッケー。これらも、もちろん自社のアイテムで、さすがは玩具メーカー。やりたいと思っても、ほかのメーカーではなかなか作れない代物だ。

「キャンプ場に持っていっても盛り上がるだろうし、事務所とかに置いても、ちょっとした息抜きに使えそうですよね」

悩みに悩んだ挙句に、ビリヤード台を購入した須山さん。おもちゃと思って侮るなかれ。やりはじめると想像以上に熱中しちゃうやつです。

クルマを“走る部屋”と捉える。

横浜から1時間足らずで、森があって、漁港があって、畑があって、面白いお店がある。三浦半島というのは、欲張りなドライバーでも満足できる土地だった。

「三浦って、来るたびに好きになるんですよね。近いし、ぐるっと回ってもちょうどいいし。なによりのどかな空気に癒されるんです」

須山さんにとって、クルマはただの移動手段じゃない。都内から横浜の事務所に向かう朝も、福井や名古屋のイベントに荷物を満載して走る日も、クルマの中だけが、完全にひとりになれる時間であり、空間である。

「だから、ぼくにとってクルマって移動するためのものではないんです。乗り心地や走り心地も大事ですけど、なにより快適にしたい。狭いと嫌ですし、目に入るものも、車内の香りも、音楽も大切なんです」

なるほど、だからあの芳香剤があって、あの音楽があって、あの広い車内があるわけだ。全部ちゃんと理由があった。

帰り道、須山さんはまた軽やかにディフェンダーのハンドルを握る。森を歩いて、マグロを食べて、キャベツを買って、気になる店を覗いた。欲張りに詰め込んだはずなのに、不思議とゆったりした気分のまま横浜へと戻っていく。それはきっと、クルマという「自分だけの部屋」が、ずっとそこにあったからだと思う。

Photo/Takuma Utoo

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