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原点にして頂点。アウトドア史に残る名作列伝。vol.2


アウトドアヒストリーにおいて燦然と輝く永久定番たち。時代を超えて愛され続けるアイテムは、その誕生の瞬間そのものが革新的な出来事だった。GO OUT視点による、そんなエポックメイキングな名作をご紹介します!

01. EDDIE BAUER/KARA KORAM(1953)

カラコラム山脈K2峰を征したダウン。

カラコラム ¥44000

1953年、多くの死者を出すことで知られていたK2峰にアタックし、見事登頂に成功したアメリカ隊を強力にサポートしたのは、1930年代にダウンウエアというものを発明したエディー・バウアーが、特別に製作した8着のダウンコートとパンツだった。

それらは後に市販されるようになり、その名も「カラコラム」と名付けられたのだった。高い防寒性能とミニマルでクラシカルなルックスを兼ね備えたこのジャケットは、エディー・バウアーの代名詞的存在である。

氷点下では凍りついて使えなくなる恐れのあるスナップボタンではなく、あえてプレーンなボタンを採用している。
1950年代の製品のものを忠実に再現した織ネーム。このジャケットがかつて高所登山のために作られたことの証でもある。

(問)水甚 tel:058-279-3045 eddiebauer.jp/

02. Gramicci/GRAMICCI PANT(1988)

空手道着に端を発するクライミングパンツ。

グラミチパンツ ¥13200

1960年代からアメリカでブームとなっていた空手用の道着は、回し蹴りをしやすいよう股の部分に切り替えが入っていた。

それをクライミングパンツに転用するというアイデアは、パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードが思いついたものだったが、初期のパタゴニアで試作品の縫製を請け負っていた若きクライマー、マイク・グラハムは、このアイデアとバックパック用のベルト&バックルをウエストに使うというアイデアを組み合わせて、独自のクライミングパンツを作り上げた。

バックパックのベルトを転用して、ワンタッチで調整可能としたのも革新的だった。今や多くのメーカーが模倣している。
股の部分にガゼットが入ることにより、生地が引きつらないため、開脚しやすく動きやすいのがグラミチ最大の特徴。

(問)インス tel:0120-900-736 www.ins.fm/

03. L.L.Bean/BOAT AND TOTE(1944)

氷を運ぶために生まれた頑丈なバッグ。

ボート・アンド・トートM :¥9790、L:¥10890

「トート」とは、物を運ぶことを意味する古い言葉である。その言葉がバッグの名称として使われるようになったのは、エル・エル・ビーンが電気の通ってない地域での冷蔵庫用に必要な大きな氷を運ぶためのバッグ「ビーンズ・アイスキャリア」を1944年に発売してからのこと。

この極めて頑丈でシンプルなバッグはヒット商品となり、いつしかトートという愛称で呼ばれるようになっていた。そして同社はその改良版を発売するにあたり、ボートで荷物を運ぶ際にも便利という意味を込めてボート・アンド・トートと名付け、今日に至るベストセラー商品となった。

堅牢なストラップが底面にまで回り込んでいることが最大の特徴。耐荷重は500ポンド(約230kg)にもなる。
ボート・アンド・トートという名前になったのは1965年から。しかし基本的な構造は1944年から変わっていない。

(問)エル・エル・ビーン カスタマーサービスセンター tel:0422-79-9131 www.llbean.co.jp/

04. MOSS TENTS/STARGAZER(1979)

MoMA永久収蔵品となった芸術的テント。

スターゲイザー ¥233200

鬼才ビル・モスの代表作と言えるのがスターゲイザー。その名の通り、魚座型と呼ばれる独特のフレームワークが生み出す頭頂部の窓から、就寝時に星空が見上げられるというコンセプトだった。その独創的かつ優美なシルエットはMoMA(ニューヨーク近代美術館)にも認められ、アウトドアテント唯一の永久収蔵品に。

一旦は消滅しMSRなど他ブランドより販売されていたモスだが、2020年にモス・ジャパンとして復活を遂げ、オリジナルシェイプそのままの製品が手に入るようになっている。

MoMAへの納品にあたっては、高級ファブリックで知られるラーセン社のシルクを使用した特別版が作られた。
フライシートを装着すると残念ながら星空を見ることはできなくなるが……、耐候性は格段にアップする。

(問)モスジャパン tel:0467-39-5005 mosstents.net/

05. Snow Peak/焚火台(1996)

焚き火をするための台、という新発想。

焚火台 L ¥21120

日本でオートキャンプブームが沸き起こった1990年代、それまで直火でやるのが当たり前だった焚き火を、専用台の上でやるという新しい提案したのがスノーピークだった。焚火台の登場によりフィールドが焼け焦げることもなくなり、自然環境を保護しながら焚き火を楽しむというスタイルが徐々に浸透した。

その後さまざまな焚火台が考案され各社からリリースされているが、ワンタッチで設営できてどれだけ熱を加えても変形しない堅牢さにおいて、この元祖焚火台の右に出るものはない。

ワンタッチで畳めるのが最大の特徴。さまざまなオプションパーツもあるが、焚き火をするだけなら秒で準備が可能。
頑丈なステンレスを採用し、あえてクリアランスを大きく取っている。このガタの大きさによりスムースな動きを実現。

(問)スノーピーク tel:0120-010-660 ec.snowpeak.co.jp/snowpeak/ja

Edit/Takatoshi Akutagawa(Thunderbird Design)
Photo/ Hiroyuki Yamada Styling/Takahiro Nakajima

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