筋紡錘とは、筋肉がすばやく伸ばされるときに筋肉の伸張の速さを検知するセンサー。筋紡錘が急激な筋肉の伸張をキャッチすると刺激が脊髄に伝えられ、脳を解することなく反射的に筋肉を収縮させる作用がおこります。そして、この筋紡錘の感度を下げるのが静的ストレッチの目的なのです。
筋紡錘が感知しておこる伸張反射
両足を伸ばして長座姿勢をとって勢いよく上半身を前傾させると、太もも後ろのハムストリングに突っ張りや痛みを感じるでしょう。これこそが筋紡錘が急激な筋肉の伸張を感知しておこる筋肉の収縮。伸張反射と呼ばれます。
このようにな伸張反射がおこると筋肉がこわばってしまうため、十分に筋肉を伸ばすことができません。そこで登場するのが、静的ストレッチになります。
静的ストレッチは、筋肉の突っ張る感覚がおこる手前までゆっくり伸ばして、しばらく静止して筋肉を伸ばす動作。こうすることで、筋紡錘のセンサー感度を低下させているのです。
筋紡錘の感度を下げて筋肉を伸ばす
筋紡錘のセンサー感度は、伸張反射がおこる手前で静止して筋肉を伸ばすことで徐々に低下。もう少し伸ばして静止しても、突っ張り感を感じなくなります。これを繰り返すことで、伸張反射ナシで筋肉を伸ばせるというわけです。
すなわち、静的ストレッチの目的は筋紡錘のセンサー感度を下げることにあります。筋紡錘のセンサー感度が下がるからこそ、筋肉を十分に伸ばせるのです。
このような利点から、静的ストレッチは筋力トレーニング後のクールダウンとして有効。運動前に静的ストレッチを入念に行うと、逆にパワーが低下してしまうので注意が必要です。