脂肪をため込む脂肪細胞は、おもに皮膚の下やお腹の内臓まわりに存在します。それが皮下脂肪と内臓脂肪です。しかし最近、注目を集める危険な脂肪があります。それが「異所性脂肪」です。しかも、異所性脂肪は皮下脂肪が少ない人こそ、注意しなければならないのでした。
皮下脂肪が少ない人に異所性脂肪
異所性脂肪とは本来、体の中でつくべきでない場所に脂肪が余分についてしまうことです。本来は皮膚の下の皮下脂肪やお腹まわりの内臓脂肪に蓄えられますが、脂肪が増えすぎると脂肪細胞がない場所にも蓄積されるようになります。
そして、その余分な脂肪が心臓にたまっていくことがわかってきたのです。心臓の周りに脂肪がたまると「炎症性サイトカイン」という有害物質が発生。この物質により血管の壁に傷がついて血管が狭くなってしまいます。これが心筋梗塞の引き金になる可能性があるのです。
しかも、異所性脂肪は皮下脂肪が少ない痩せている人のほうが危ないのです。実際、身長がほぼ同じ170cmで、体重が70kgの人と100kgの人の心臓をMRIで撮影してみると、体重70kgの人の心臓にはびっしりと脂肪がついていました。
皮下脂肪が少ないために心臓に脂肪
太っている人の場合、皮下脂肪など脂肪をため込む空間が多いため、異所性脂肪があまりつきません。しかし、痩せている人は皮下脂肪が少なく、ため込む空間が少ないのです。
じつは、脂肪をため込む脂肪細胞がもっとも増えやすいのは乳幼児期や思春期。成人になると、その数はほとんど変わりません。若いころに痩せていた人は、脂肪細胞の数が少ないということです。
このため、脂肪をとりすぎると本来はつかないはずの心臓などにたまってしまうというわけ。もっとも危険なのは、昔はやせていたのに急に太ってしまったという人です。皮下脂肪が少ないために異所性脂肪が心臓についているかもしれません。
ただし、異所性脂肪はつきやすい一方、取れやすいことも特徴です。運動や食事の改善により、異所性脂肪は短期間で劇的に減らすことができます。とはいえ、健康診断などでは見つかりづらいため、日ごろから生活習慣に気を配ることが大切です。
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