尿酸には驚くべき性質があります。動物たちの尿酸値を測ると、それがよくわかります。ホワイトタイガーはふだんから食べているのは肉ばかり。贅沢といえば贅沢な食生活といえます。食事中に尻尾から採血しての検査です。しかし、トラと比べて人間は圧倒的に尿酸値が高い状態。それには理由があります。
人間だけが突出して尿酸値が高い
マンドリルは顔が派手なサル。ふだんから採血する機会が多いため、採血しようとすると自分から腕を出してきます。究極のアスリートともいえるサラブレッドは、首に注射器を刺しての採血です。
栄養豊富なエサを好きなだけ食べているブタは尿酸値が高そうな動物。お尻に注射器を刺して採血します。珍獣スローロリスにも協力してもらいました。丸いクリクリとした目がひょうきんな印象のサルの仲間です。
尿酸値の結果を見てみましょう。人間を「5.0mg/dl」とすると、トラは「0.6」、マンドリルは「0.4」、サラブレッドは「0.2」、ブタは「0.2」、スローロリスも「0.2」という結果。人間だけが突出して尿酸値が高いのです。
尿酸値が高いのは寿命が長いから
じつは、尿酸値が高いことは寿命と深い関係があります。尿酸は非常に抗酸化力が高いので、体の中の炎症を抑えてくれます。それによって、人間は寿命が長くなっているのです。トラやマンドリルの尿酸値が高いのも、ほかの動物よりも寿命が長いことが理由になります。
抗酸化力を手に入れたことが、人間が進化をするうえで非常に意義のある大きな出来事。人間は進化の過程で尿酸を利用するようになったわけです。
はるか太古の昔から、哺乳類は尿酸を分解して体の外にどんどん捨ててきました。ところがその後、人類の祖先は尿酸を捨てずに抗酸化力を生かすように進化。こうして長寿を獲得しました。人間の尿酸値が高いのには理由があるのです。
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