1983年の連載開始以来、「週刊少年ジャンプ」の伝説的マンガとして君臨してきた『北斗の拳』。名言を持つキャラは多いが、主人公ケンシロウの友人でありながら、悪の道に落ちた孤独な男シンにも印象的なセリフが多い。今回はそんなシンのセリフを振り返る。
■「おれを死ぬほど嫌いだといった女が!! 女の心がわりはおそろしいのぉ!!」
元は友人同士だったにも関わらず、シンはケンシロウの操る北斗神拳と対をなす南斗聖拳の使い手として、一度はケンシロウを打ち破っている。その因縁は深く、当初ケンシロウにとっては旅の目的がシンへの復讐だったほどだ。
なぜ、そうした因縁が生まれたのか。それはケンシロウがまだ北斗神拳を伝承した直後のこと。ケンシロウの義兄であり、彼が伝承者となったことを許せなかった卑劣漢・ジャギの言葉に惑わされたシンは、ケンシロウの許嫁であり、自身が密かに恋い焦がれていた女性・ユリアを突如として強奪しようと、ケンシロウに襲い掛かったのだ。
まだまだ力の弱かったケンシロウはシンに敗北してしまう。ボロボロのケンシロウの胸に指で北斗七星を模った七つの傷をつけながら、シンはユリアに自らへの愛を宣言させようとする。そしてユリアがケンシロウへの拷問に耐えかねてシンへの愛を告げると、シンは高笑いとともにこのセリフを放ったのだ。
■「見ろ おまえの町サザンクロスだ。この町のすべてのもの 草も木も人間すらも すべておまえのものなんだ」
そんなシン、一見すると改心の余地なしの極悪人に見える。実際、彼が編成した集団・KING軍は、軍勢を率いて関東一円を暴力で支配するなどしていたのだ。しかし、彼の根底にあるのは意外にも純粋なユリアへの愛情であった。
その後ケンシロウと再会し激闘を繰り広げたシンだったが、復讐と執念に燃えたケンシロウには歯が立たず、致命的な一撃を喰らってしまう。そんな息も絶え絶えのシンは、ケンシロウにユリアとの思い出を語って聞かせ出すのである。
連れ去ったユリアの気を惹くために、シンは彼女に巨大な都市ビル群からなる街・サザンクロスを捧げ、このセリフを吐くのである。だが、街の運営のために奴隷のように苦しむ人々への想い、そして何より心から愛しているケンシロウへの想いから、ユリアはシンを拒絶し、ビルの上から身を投げてしまったのだ……。
■「ユリア殺しの悪名あえてかぶろう!! ケンシロウとの決着をつけるには好都合よ!!」
ユリアの死。ケンシロウにとっても耐え難いこの出来事を語って聞かせたシンだが、この死はのちに嘘だったことが判明する。飛び降りたユリアは、彼女を守護する南斗五車星の面々に助けられていたのだ。
ユリアが生きていたこと、そして世紀末の世でも屈指の勢力と強さを誇るラオウがユリアを狙っていることを知ったシンは、このセリフを吐き、あえてユリアが死んだということにし、彼女を追っ手から隠していたのである。
ユリアを愛する者としての愛情を感じられる名セリフと言えるだろう。しかし、シンはこの事実をケンシロウには告げず、さらに彼から受けた致命傷で死ぬことを良しとせず、まるでユリアの行動をなぞるかのように、自身もビルから身を投げ、命を散らせるのだった。
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