江戸時代には使われていたとされる、”世の中に存在する恐ろしいもの”を表す言葉「地震・雷・火事・おやじ」。
核家族化して久しい現代においては、父親はATMと化し、家事をやりたくないからとわざと外で時間をつぶしてから帰宅するというていたらくぶり。もはや怖くもなんともない、どちらかと言えば情けないだけの存在なのに、なんで最後が「おやじ」なんだ?「おかん」のほうが怖いだろ?と。疑問に思っていた人も多いはず。
一般的には「親父(おやじ)」または「親爺(おやじぃ)」が4点セットの中に入っているのは、江戸時代は家長制度が絶対的だったため。父親やその上の祖父に逆らうことなどありえず、それだけ「怖かった」からではないか?という推論が成り立っています。しかし「おやじ」ではなく「大山風(おおやまじ」という言葉が正解で、言いにくかったために「おやじ」になってしまったのでは……という説も存在するのです!
「山風(やまじ)」とは夏から秋にかけて山から吹き下ろす風のことであると、日本国語大辞典には記されています。夏~秋といえば台風シーズン。大きい山風、つまりは「台風」こそが、4点セットの本来あるべき姿だったのかもしれません。
さて。父親の威厳がまるっきり失われている中、近年、昭和的な「怖い親父」を再現し、父親がきちんと子どもを叱ることで、正しいしつけを行おうという教育方針がブレイクしています。「台風」ではなく「親父」であると世論を巻き返すことができれば、日本の未来も少しは明るくなるかもしれません。