結婚は、してもしなくてもいいと思ってる――。
40代独身男性に比べて、生き生きと人生を楽しんでいるように見える独身女性たち。本当のところはどう感じているのだろうか。
■ひとりが基本
「45歳、会社員、ずっと独身、現在カレシなし。マンションのローンがあります」
開口一番、そう言って笑うのはシホさんだ。出身は九州某県。大学から東京でひとり暮らし、両親はすでに亡く、実家は兄一家が住んでいる。
「兄とは仲が悪いわけではないけど、義姉に気を遣わせるのも悪いのでお正月も帰らなくなりました。以前は年末年始は海外に行くこともあったけど、今は自宅でのんびりしていることが多いですね。4日から仕事なので」
ひとりでいても寂しいとは感じない。この正月は読みたかった本を5冊読破したのだという。
「同世代の独身女性の中には、結婚相談所に登録している人もけっこういますが、私はしていません。結婚にそれほど魅力を感じていないんですよね」
だからといって、ずっとひとりでいたいと思っているわけでもない。
「結婚って縁じゃないですか。両親は私が結婚していないことをずっと気にしていたらしいですが、私は40歳になったとき、これで結婚を意識しないですむと気が楽になりました。40歳を過ぎると妊娠の確率はかなり減るはずだから。たぶん、私にとっては、結婚=子どものいる家庭というイメージなので、子どもをもたなくてもいいと思うなら結婚の必然性もないわけです」
なんとなく一生独身でいてもいいなと思ったから、33歳のときにマンションを購入してローンを組んだ。それもあと13年で終わるという。
「いつの間にか、ひとりが基本になっているんです。だから結婚はオプションに過ぎない」
力強くそう語るシホさんだが、同じように思っている独身女性は少なくない。
■実家で生きていくのがラク
今も実家で親と暮らすリカさん(42歳)。父はすでにいないが、母と弟との3人で暮らしている。
「弟は一度結婚したんですが、なぜか舞い戻ってきてしまって。決して裕福な家庭ではないんです。母は今も週に3回パートで働いているし、私も弟も非正規。ただ、弟は料理人なので、いつか自分の店を持ちたいとがんばっています」
リカさんは大学を卒業後、とある有名企業に就職した。だが5年ほどで人間関係に疲れて退職。今思えばパワハラに屈したところもあるという。それからは派遣やアルバイトで職場を転々としてきた。
「何ができるわけでもないですからね。でも最近は、販売の仕事がおもしろいなと思って。この年でやっと楽しい仕事が見つかった。お客さんの笑顔を見るとうれしいんです。有名大卒だし、かつては一流企業に勤めていたのだからオフィスワークが向いていると自分で決めつけていたんですが、実際は人と接する販売の仕事が転職なのかもと思うようになりました」
いくつになっても、人は自分に向いているものを見つけられるのかもしれない。今は接客業を究めたいとリカさんは考えている。
「私はずっと実家にいると思います。30代始めのころ、出産を考えると結婚する時期だなと思ったこともあるけど、他人と暮らして家庭を作ることのめんどうくささを考えると気持ちが萎えて(笑)。そこまで好きになれる人がいなかったということもありますけどね」
出会いは縁、結婚も縁だからと彼女は人懐こい笑みを浮かべた。女性たちは「結婚できない」とは考えていない。「結婚しない」のである。男性たちが結婚していない自分の状況や環境を投げていることが多いことを考えると、かなり違いがあると思わざるを得ない。