『女性自身』によると、内閣府作成による、俳優の東幹久(49)を起用した「セクハラ防止啓発ポスター」に、Twitter上で批判が相次いでいるという。
その問題となっているポスターでは、「今日の服かわいいね。俺、好みだな。」「痩せてきれいになったんじゃない?」と語りかける東に向けて、イラストの女性が「関係ないでしょ!」「そういうとこだけ見てるんですよね…」とリアクション。そして、中央には大きく「これもセクハラ?」の文字と、困った表情をする東の写真。その下にやや小さめのフォントで「セクハラを決めるのは、あなたではない!」「相手や周囲に配慮した言動を!」と書かれている。
こうやって順を追いながら文章だけで説明してみると、普通になんの問題もなくセクハラの防止を啓発している風だけれど……どうやらアウトらしい。ちなみに、同ポスターに対する“ダメ出し”の内容は、大雑把には以下のような感じである……のだそう。
なんで困り顔の男性俳優を真正面に据える?「これもセクハラ?」のデカいフォントと相まって「何でもかんでもセクハラ」と言っているように見える
女性じゃなくてセクハラおっさんを守るポスターになってますよ?
職場におけるセクシャルハラスメントは被害者の生存権(職を奪われる可能性があるから)、人格権を侵害する卑劣な行為です。このポスターからは深刻さがまったく伝わりません。不適切です
まず、「このポスターからは深刻さがまったく伝わりません」といった声についてだが、私個人としては「別に全部が全部深刻である必要もないのでは?」と、ひっそり反論したい。だって内閣府さんも、ほかではキチンと“深刻バージョン”でセクハラ防止運動を展開してるじゃないですか。むしろ、今回の“軽薄バージョン(?)”は特殊なケースだと言えよう。
浮ついていようが茶化していようが、たまにはポップな手法を織り交ぜ、とりあえずはセクハラ偏差値がやたら低い“おっさん”たちの目に焼き付けることによって「セクハラ」という概念を改めて認識してもらう──そんな裾野を広げる活動も必要なのではないか? 端っからセクハラへの意識が高い“される側”の女性が見て「うん! いいこと言ってる」と納得したところで、ほとんど意味はないのである。
あえて、同ポスター制作サイドのミスを指摘するなら「デザイン」だろう。“街中に貼る印刷物”としては、濃紺と白を基調とする、なかなかシックにまとまったハイクオリティな出来だと思う。ただ、東幹久の素っ頓狂な戸惑い面が、あまりにキャッチーなゆえか「これもセクハラ!?」のコピーが際立ちすぎてしまったのが命取り……とは言え、せっかくの幹久抜擢なんだから、このバストアップ写真を小さくして隅に追いやるのも勿体ない……となれば、コイツはもう、デザインの配色やバランスとかは無視するしかない。たとえば「今日の服かわいいね。俺、好みだな。」「痩せてきれいになったんじゃない?」のセリフと「セクハラを決めるのは、あなたではない!」というトメのコピーを、フォントの級数までは大きくしなくとも、Y100の真っ黄色のギザギザなバクダンフキダシででも囲っちゃえば良かったのだ。
そりゃあ、プロのデザイナーさんからすれば「あきらかにグラフィックのセオリーから外れた、品性と完成度の低いプラン」であることくらいはわかっている。だが、ピラニアのごとく獰猛で旺盛な攻撃性を持つセンシティブかつデンジャラスな急進派フェミニストの皆さまと対峙する場合、その「品性と完成度」のみを追求する職人肌は、時にアダとなってしまうことだってあるのではなかろうか。