昨日美術教育関係の人と話してたんだけど、日本の美術教育は今物凄くやばい方向に進んでるね。大学の美術教育ガーとか、絵は感じるもの~は間違ってるとかそんなレベルじゃなく、中学高校から美術の授業自体を無くしていってるそうで、例えば島根県には県内で美術の先生(常勤)は一人しかいないそう
—満田晴穂 古美術鐘ヶ江10月5日~ (@haruomitsuta) 2018年10月24日
日本の美術教育の現状について、SNSで話題になっていますが、果たして本当なのでしょうか? 私立小学校校長であり、日本の教育事情に詳しい青木洋介さんにお話をお聞きしました。
日本の学校教育から、芸術系科目の時間数が減っているのは事実です。
義務教育では、実は昭和20年代後半から30年ごろが一番、芸術系科目の時間数が多かったのですが、その後、理数系能力の強化など、他の科目の配当時間数が増やされたため、芸術系科目の時間数は減少してきました。
平成14年度からは、とうとう週に1時間(学年によってはプラスアルファ)になっています。
一方、好きな教科として、図画工作を挙げる小学生は、学年が上がるにつれて、だんだんと減っていくという調査もあるのだとか。
「将来、役に立たない」とか「入試に出ない」というような考え方で、芸術系教科を子どもや保護者が軽く扱うということもあるでしょう。しかし私は、図画工作に「上手・下手」という意識が入ってくることが要因のひとつではないかと思っています。
学習指導要領の目標には、技術や写実性を求めるだけでなく、「 感性を働かせながら、つくりだす喜びを味わう」と書いてあるのですが、実際の子どもの感覚からすると、学年が上がるにつれ、「上手くできない」=「似せて表現できない」という自意識が強まるように感じます。
青木先生は、子どもの成長を幅広くとらえる上では、芸術系科目の充実は重要だと感じているとのこと。
スマホの普及などにより、子どもが小さいうちから、情報がインプットされる量は、格段に多くなっています。それだけに自分の中にあるものをアウトプットすることはとても大事で、その方法の一つとして、美術はとても重要だと感じています。
学校現場では、常に時代の要請に合わせて、バランスを取らなければならないので、授業時間数そのものを増やすことは難しいかもしれませんが、限られた時間の中で、心を耕すための美術の時間というとらえ方をできるようになったらいいと思っています。土をフカフカにしないと、芽は出ませんから。
時間数がどれだけ減ったとしても、美術は学校で必要な教科だという青木先生。学校も保護者も子どもたちも、触れる機会が減ってはじめて、美術の重要性に気づくことになるのかもしれません。