他人が鳴らすパソコンのカタカタ音、すなわち「タイピング音」を迷惑と感じている人が、ことのほか多いらしい──そんなことが書かれたコラムが『DIAMOND online』に掲載されていた。
同コラムによると、
Googleで「タイピング音」と検索すると、予測検索のトップに「うるさい」と出てくる。
総じて男性のタイピングの音量にはムラがあり、たとえば気が立っているときはどんどん音量が大きくなってきて、それが(端からは)どうしても耐えられない。
なかには、特定のキーを押すときだけ、強くタイピングする人がいる。とくに「エンターキー」で文字変換をしたり、文章を改行したり、メッセージの送信をする際に、気合いが入りすぎて思いっきり「カチャカチャチャ……ターン!」と叩いてしまう人が一番多い(私なんかも典型的なそのタイプだったりするw)。
……のだそう。しかも、「キーボードを必死に叩くことによって、一生懸命仕事をしているという雰囲気すら醸し出されてしまう」がゆえ、職場では「もう少しキーボードを叩く音を小さくしてもらえませんか」と注意することが、なかなかむずかしいという。
私はフリーランスの文筆業者なので、オフィス内のそういった微妙な空気に関してはイマイチ実感ができない。しかし、漫画やテレビや好きな音楽や布団……ほか、あらゆる誘惑に打ち勝たねばならない自宅では全然原稿がはかどらない私にとっての主戦場、喫茶店やカフェでもこの「カタカタ音」は近ごろ徐々に迷惑視されはじめているみたいだ。もちろん「ノマドのはしり」を自負する私にとって、コッチはじつに切実な問題であるのは言うまでもない。
まず、「カタカタ音」という呼び名であるが、私の音感では「カタカタ」よりは「パチパチ」のほうがしっくりと来るので、以降は「パチパチ音」と書かせていただく。そんなこたぁどーだっていいのだけれどw、ちゃんとお金を払って利用しているのに「喫煙」や「長時間の居座り」だけじゃなく、「パチパチ音」まで気を配らなきゃならない時代になってしまったのか……と思えば、いささか息が詰まってしまう。じゃあ、私はどこで原稿を書けばいいの?
一応、この「パチパチ音」をなるたけ立てないよう、私なりに対策は講じている……つもりではある。ザッと挙げれば、
(1) キーボードカバー(ショッキングピンク)をつけている
(2) 極力、端っこの孤立した席を選ぶようにしている
(3) それなりの音量で無計画的なBGM が流れており、雑多な会話が飛び交う店を選ぶ
……程度でしかないのだが、今後(3)のような、いわゆる「意識低い系の喫茶店」が次々と閉店していく(もしくは、中途半端なかたちで「意識高い系」の空間への転向を余儀なくされる)兆候はじわじわと、確実に押し寄せつつある。言葉のニュアンスは少々異なるのかもしれないが、こういった「必要悪」といった概念がこうやってひとつ一つ丁寧に削り取られるさまを、私たちは“歓迎のフリ”をしながら、やはり黙って見過ごすしかないのだろうか? 世知辛い……。
ただし、電車の横の座席とかでパチパチされるのは、サスガの私も音だけじゃなく肘とかが当たってイライラすることもあるので、(飛行機のファーストクラスでもないかぎり)乗り物内ではあまり長文を一心不乱に打つのはやめましょう!