一眼レフを携えて、ひとり自然と向き合いシャッターを切る美しい男――。それこそは、女性が憧れる“カメラ美男子”の姿です。
歴代のカメラCMでは木村拓哉さん(Nikon D7000)、妻夫木聡さん(Canon EOS 70D)らが“相棒”と過ごすひとときが描かれ、鮮烈な印象を残しています。でも、スマホが大活躍する昨今、そんなカメラ美男子っているんでしょうか……?
■むしろ“カメラ美男子”は増加傾向?
CIPA(一般社団法人 カメラ映像機器工業会)の調べによると、レンズ交換式デジタルカメラの台数は全盛期より減少してはいるものの、30代未満構成比は7%から15%へと倍増。これはインスタグラムなどの影響から「よりきれいに撮りたい!」とレンズ交換式カメラに手を伸ばす若者が増えていることを示唆しています。
ちなみに20代がよく撮る被写体の第1位は「風景・夜景」、2位が「国内旅行」、3位は「料理」なのだそう。(※「フォトイメージングマーケット統合調査」の結果について)
なんと! 若者はカメラ離れしていなかったのです。この事情を読み解いてみると、スマホで写真に親しむうち、より表現力豊かなミラーレス、そして一眼レフへとステップアップしていく若者の姿が見て取れます。
カメラを手にしても、「ミラーレスでインスタ映えする写真が撮れれば十分!」という人もいれば、「一眼レフを制して自分だけの1枚を撮りたくなった」という人も。なかでも後者には、いろいろなことが労せず手に入る現在、一眼レフやアナログレコードなど「あえて手のかかるものに踏み込んで御したい」と思う、イマドキの若者ならではの心理が働いているようにも思えます。
木村さんや妻夫木さんのCMのように自然に斬り込み、苦闘しつつも“自分の1枚”をとらえてくる男性は、女性から見てとても好もしいもの。
自身も父親から譲り受けたカメラで一眼の魅力にハマり、“カメラ美男子”を地で行くロックギタリスト・Junさんにお話を伺いました。
――眼レフを手に取ったきっかけはなんですか?
バンドを始めて1年目くらいのとき、アーティスト写真を撮っていただく機会がありまして。そのとき、「やっぱり一眼だとすごくきれいに撮れるな。メンバーの写真も残していきたいな」と思ったことがきっかけのひとつです。それで2年ほど前、写真好きだった父親から一眼レフを譲り受けました。
――最初に撮ったものは? うまく撮れましたか?
全然(笑)。近所の池にカモを撮りに行ったものの、オートじゃないのでまったく撮れなくて。たぶん「自分で失敗して覚えていけ」っていう意味も込めて、親父は何も教えてくれなかったんですが……。僕、人との競争心はそんなにないんですけど、自分でうまく撮れないのが悔しくて、どうしても撮りたい一心でネットで調べまくって、なんとか撮れるようになりました。
――それで、ご自分でも一眼レフを購入された
はい。最初は親父からもらった数万円のカメラから始めて、半年後に30万円台のカメラを買いました。ちょっと思い切りましたが、そこは僕なりの買い物の流儀があって。数万円の次は10万円台だ、またその次だって買い集めていくより、最初にいいものを買ったほうがコスパはいいんじゃないかと。じゃあもう行ったれ!と思って。
――男らしいですね(笑)。撮影は、どんな場所に行きますか?
僕は静岡県出身なんですが、自然豊かな地元の風景をよく撮ります。山奥のダムとか、川とか。東京だと汐留の菜の花畑や、空港に飛行機を撮りに行ったり。空港では撮影中の“先輩”たちに話しかけて、「どんな設定で撮ってますか?」って訊いたりもします。それと、景色ではないですが、メンバーの写真も撮っていますよ。
――カメラはどのように使い分けていますか?
野生動物や飛行機などの動体撮影はすべてCanon 7D、景色やポートレートには同じく5Dを使用しています。水中撮影をする場合はGoPro HERO4を使っていますね。
――撮影する際、心がけていることはなんですか?
いつも「自慢できる写真を2枚は撮ろう」という気持ちで撮っています。もっとも、撮った瞬間「いけた!」と思っても、帰ってデータを見返すと「全然ダメじゃん」というものもあるんですが(笑)。
近頃、ゴツいカメラを持つ男性というと、コスプレイヤーを撮るカメコ(カメラ小僧)とか、電車に群がる撮り鉄がまっ先に浮かぶイメージがありました。そんななか、凜々しくストイックなJunさんは、まさに女性にとって憧れのカメラ美男子と言えましょう。「息子をよきカメラ男子にしたい!」という親御さんは、多くを語らずそっと一眼レフを手渡してあげるのがいいかもですね。
Jun