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「半端ないって」が半端なく流行ったために起こる問題




サッカーW杯ロシア大会の日本-コロンビア戦で決勝ヘッドを決め、日本に歴史的勝利をもたらしたFW大迫勇也(28)を絶賛する「(大迫)半端ないって」が、急速にちまたを席巻している。



 



コロンビア戦の直後、客席で観戦していた日本人サポーターが掲げていた旗に記されていた“キャッチコピー”で、溯れば



「かつての08年度全国高校サッカー選手権準々決勝において、大迫所属の鹿児島城西に2-6で敗れた滝川二の中西隆裕主将が試合後、ロッカールームで泣きながら大迫を称えた言葉」



……であるらしく、高校サッカーファンの間では“名言”として語り継がれているという。



 



日刊スポーツによると、新語・流行語大賞選考委員の漫画家・やくみつるセンセイも



 




「私見になりますが、おいしい言葉をいただいました」




……とニンマリ……とのこと。オリンピックやW杯が開催されるごとに「なにか新しい“流行語”が出てこないか、手ぐすね引いて待っている」そうなセンセイにとっても、「半端ないって」は半端ない“天啓”であったようだ。



 



もちろん、人を誹謗中傷するたぐいでもない、ポジティブで害毒も皆無な文言ゆえ、コレが広く流通すること自体に、文句は一切ない。むしろ「微笑ましい」と、私個人は真剣に思ってさえいる。



 



たとえば、コロンビア戦翌々日の6月21日に発売されたトラ党御用スポーツ新聞『デイリースポーツ』は、もう一面から終面まで「半端ない」祭り!



 





サッカー面だけじゃなく芸能面、さらには、まだ(その当時は)登板もしていない今年ドラ1の馬場投手やら、まだ来日したばかりで実力未知数の助っ人外国人のナバーロ内外野手やら、ここ数回は好投を続けている岩貞投手やらを報じる記事の見出しにまで「半端ない」を持ってくる始末で、私が数えたかぎり総数なんと14! まさに「大盤振る舞い」といった様相のフィーバーぶりであり、そのヤリすぎ感は、熱烈なデイリー信者を自認する私ですら、さすがにちょっとウザかった。



 



さて。繰り返して言うが、こうやって「半端ない(って)」が多くの日本人に愛され、新旧メディア・SNS・飲みの席……ほかで(しばらくの期間)多用されること自体、悪いとは思わない。ただ、一文筆業者としては、「本来は日常生活でも当たり前に使われている、もはや口癖にも近い言葉」が、いきなり“流行語”としてフィーチャーされてしまう現象は、少々痛し痒し……だったりもする。普段、原稿にもなにげなく使っている「(中途)半端じゃない」(=程度が甚だしく、徹底しているさま)が編集者に、読者に



 



「このヒト、流行りに便乗しちゃっているよ」



 



……と捉えられてしまいかねないからである。



 



最低でもあと3ヵ月、流行語大賞にノミネートでもされてしまった日にゃあ(おそらく、されるだろう)7ヵ月や8ヵ月……我々“文章を生業とする者たち”は、一つの新しい“禁句”を抱えつつ、片翼をもがれた堕天使のごとく(そこまで大袈裟でもないw)生きていかねばならないのであった。


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