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「好きな仕事を続けて」と全面協力の義母、「仕事ばかり」と愚痴る実母。“2人の母”に思うこと


義両親とのつきあい方は難しいというのが一般的だが、それ以上に実親の方が大変だと感じている人たちもいる。遠慮がなかったり、かつての不満が噴き出したりするから、いくつになっても親子関係で悩むことになるのだろう。

良好だった義父母との関係

「結婚して8年たち、上の子が小学校に入るタイミングで夫の実家近くに越しました。義母が『あなたには仕事を続けてほしい。そのために手伝えることがあれば』と言ってくれたからです。それからは義母の優しさに甘えて、平日はかなり仕事中心の生活をさせてもらいました。子どもたちは真っすぐ育ち、義母には感謝しかありません」

そう言うのはマヒルさん(54歳)だ。31歳のときに3年つきあっていた彼と結婚、39歳で義父母とは徒歩5分の距離になった。義父母が「できた人たち」だったため、マヒルさんは甘え放題だった。

「あまりにありがたいので、週末のどちらかは義父母のところに家族で行って、私が料理を振る舞っていたんです。日ごろの感謝をしたいだけなのに、義母はさらっとお皿を出したりして必ず手伝ってくれた。それだけではなく、自分の息子である私の夫に『たまにはマヒルさんを自由にしてあげなさいよ』と声をかけてくれたり。私が風邪を引いて寝込んでいると、子どもたちを預かって寝かしつけてくれたり。とにかく好きな仕事なら負担なく続けなさいと全面協力。すごい人でした」

義母が急逝し

10年たち、子どもたちが高校生になったころ義母は急逝した。前日は義母の誕生日だったので、義父と夫が「精魂こめて」料理を作り、みんなで食事をしたばかり。翌朝、起きてくることはなかった。ショックを受けた義父も半年後に逝去。マヒルさんもあまりの衝撃に1週間ほど入院してしまったという。

「義両親が大好きでした。離れて住んでいるときから親切にしてもらって、近くに住んだらなお助けてくれて。夫の愚痴を言っても聞いてくれて、義母も義父への不満を口にして二人で飲んだこともあります。年上の友達みたいな感じだった」

その後、義父母の家を改築し、親子4人で住むようになった。義両親の思い出深い家を取り壊す気にはなれなかった。

実母との関係はイライラすることばかり

それまでマヒルさん一家が住んでいた家に住むようになったのが、実母と妹とめいっこたちだ。離婚して二人の娘を連れて実家に戻っていた妹が、借家である実家が老朽化して住めないと言いだしたのがきっかけだった。

「夫が、オレたちのマンションを貸せばいいと。もちろんただではないけど、夫は相場よりずっと安い家賃で貸していいよと。母も妹も感謝していましたけど、私はなんだか嫌な予感がしていたんですよ。母も妹もものすごくわがままな人たちだから」

思春期のあたりからマヒルさんは、母や妹と距離を置いていた。今さら彼女たちに自分の人生をかき回されたくなかったが、親を亡くした夫の「きみのお母さんを大事にしようよ、二人で」という言葉にほだされたのだという。

「なるべく接触を減らしていたんですが、1年ほど前に80歳になる母が転倒して骨折、リハビリはしたものの少し体が不自由になりました。妹が介護申請などをしなかったので、そのあたりは全て私がしました。母のところにもなるべく顔を出すようにして、いろいろ手伝ってきた」

それなのに、近所の人に言われたそうだ。「お母さんが、あなたのことを愚痴っていた」と。その人はマヒルさんの義母と仲がよく、二人がどれほどいい「嫁姑」だったかも知っている人物。だからこそ、「実のお母さん、大変そうね」とマヒルさんを気遣ってくれたのだ。

血のつながりよりも大切なもの

「彼女いわく、母は『こんな年寄りがいるのに、うちの長女は私を放ったらかしにして、仕事ばかりしている』『だからあの家の子もろくな大人になってない』などと言ったんですって。日ごろは私に『あんたは男より仕事ができる。頭脳は私に似た』とか『私はいつもあんたには感謝しているんだよ』とか言っているくせに、実際はまったくそうは思っていなかった。ショックでしたね。あまり仲よくなかった母だけど、さすがに老後はあまり不自由させないようにと夫も私も気を配ってきたのに、結局はそんな言葉を近所に振りまいているなんて……」

マヒルさんの足が母から遠のいた。妹からは時々助けてと悲鳴のような電話がかかってくる。勝手にすればいいと思いながら、それでも手伝ってしまう自分もいる。

「もうお互いに楽になった方がいいんじゃないかと夫も言ってくれて。母は施設に入れ、妹にはマンションを売るから自分で家を探してくれと言うつもりです。めいっこたちもいいかげん、親離れした方がいいし」

実母にがっかりさせられるたび、マヒルさんは義母を恋しく思い出すという。血のつながりよりも大切な何かを教えてもらったと今も彼女は義母に感謝が絶えない。
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