伊勢神宮をはじめ、三重県には古くから多くの人々が「お伊勢参り」で訪れてきた神社仏閣が数多く残っています。
衣食住の恵みに感謝する外宮、太陽の神を祀る内宮、夫婦岩に朝日を拝む二見浦、神宮の鬼門を守る山上の古刹、そして道開きの神の総本宮。参拝の順序や習わしを知って歩くと、昔の旅人の足跡をたどるような楽しみ方ができます。
この記事では、三重県で訪れたい神社仏閣5カ所を、見どころや参拝の作法とあわせてご紹介します。

お伊勢参りの道が続く、三重県の神社仏閣とは?
三重県の伊勢市には、天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祀る伊勢神宮があります。正式には「神宮」と呼ばれ、内宮(ないくう)と外宮(げくう)を中心に、別宮や摂社などをあわせた125の宮社の総称です。
江戸時代には、庶民の間でお伊勢参りが大流行しました。おかげ参りの年として知られる1830年には、400万人を超える人々が訪れたともいわれています。伊勢神宮だけでなく、参拝前に身を清めた二見浦や、参拝後に立ち寄った朝熊山(あさまやま)など、お伊勢参りにまつわる場所が今も各地に残っているのが三重県の魅力です。
今回は、衣食住を守る神様、道開きの神様、縁結びの夫婦岩、鬼門を守る寺と、信仰のかたちが異なる社寺を選びました。
内宮と外宮を中心に、125の宮社からなる伊勢神宮を参拝できます
二見浦や朝熊山など、かつてのお伊勢参りの道筋をたどれます
伊勢志摩の海の景色や、鈴鹿山脈の麓の森など、自然とあわせて楽しめます
参拝前に知っておきたい、お伊勢参りの3つの習わし
参拝の順番や境内の様子の意味が、ぐっとわかりやすくなる習わしを、あらかじめ知っておきましょう。
外宮先祭(げくうせんさい)
:伊勢神宮では、外宮から内宮の順にお参りするのが古くからの習わしです。今も多くの参拝者が、外宮から参拝を始めます。
浜参宮(はまさんぐう)
:かつては、伊勢神宮に参拝する前に二見浦の海に入って心身を清める習わしがありました。現在は、二見興玉神社で無垢塩祓(むくしおばらい)を受けることが、その代わりとされています。
式年遷宮(しきねんせんぐう)
:伊勢神宮では、20年に一度、社殿などを新しく造り替える式年遷宮が行われます。第1回は飛鳥時代の持統天皇の御代(690年)とされ、前回は2013年に第62回が行われました。次の第63回は令和15年(2033年)の遷御(せんぎょ)の儀に向け、令和7年から関連の祭りが始まっています。新しい社殿は、それまでの社殿の隣の敷地に建てられ、神様をお遷しした後に古い社殿は解体されます。常に清らかな姿を保つとともに、建築の技を次の世代へ受け継ぐ意味もあるとされています。
【お伊勢参りの正宮】伊勢神宮の外宮と内宮
伊勢神宮では、外宮から内宮の順に参拝するのが昔からの参拝ルートです。まずは、2つの正宮をご紹介します。
外宮 豊受大神宮(とようけだいじんぐう)

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外宮の正式名称は豊受大神宮です。天照大御神のお食事を司る御饌都神(みけつかみ)の豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祀り、衣食住をはじめ、あらゆる産業の守り神として崇敬されています。
外宮は伊勢市の中心部にあり、火除橋(ひよけばし)を渡ると、玉砂利の参道と杉の大木に囲まれた神域が広がります。正宮にお参りしたあとは、別宮の多賀宮(たかのみや)、土宮(つちのみや)、風宮(かぜのみや)へ。多賀宮は豊受大御神の荒御魂(あらみたま)を祀る第一の別宮で、御池の亀石を渡り、石段を上った丘の上にあります。風宮は、鎌倉時代の元寇の際に神風を吹かせたと伝わる、風雨の神様を祀る別宮です。
神楽殿では、お神札やお守り、御朱印を授かれます。授与品は変わることがあるため、参拝時にご確認ください。
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伊勢神宮 外宮公式サイト
内宮 皇大神宮(こうたいじんぐう)

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内宮の正式名称は皇大神宮です。皇室の祖先神であり、太陽の神ともされる天照大御神を祀る、伊勢神宮の中心となる宮です。
内宮の入口には、五十鈴川(いすずがわ)に架かる宇治橋があります。式年遷宮にあわせて20年に一度架け替えられる橋で、渡る前に一礼してから進みます。渡った先の参道の脇には、五十鈴川の流れで手を清められる御手洗場(みたらしば)があります。正宮でお参りを済ませたら、境内の別宮にも足を運び、ゆっくりと神域の空気を味わってみてください。
参拝のあとは、宇治橋の近くに広がる「おはらい町」や「おかげ横丁」へ。伊勢路の伝統的な建築を生かした町並みに、土産物店や老舗の菓子店が軒を連ね、お伊勢参りの名残を感じながら食べ歩きを楽しめます。
神楽殿では、お神札やお守り、御朱印を授かれます。授与品は変わることがあるため、参拝時にご確認ください。
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伊勢神宮 内宮公式サイト
【道を開く神と鬼門を守る寺】二見興玉神社・金剛證寺・椿大神社
続いては、お伊勢参りの前後に訪ねたい社寺と、道開きの神の総本宮をご紹介します。
二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)

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伊勢湾に面した二見浦に鎮座する二見興玉神社は、道開きの神・猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)を祀る神社です。境内の海にある「夫婦岩」は、高さ約9mの男岩と約4mの女岩が大注連縄で結ばれた姿で知られ、縁結びや夫婦円満の象徴として親しまれています。
夫婦岩は、沖合に鎮まる猿田彦大神ゆかりの霊石「興玉神石(おきたましんせき)」と、日の出を拝むための鳥居の役目を果たしているとされます。夏至を中心に5月から7月は、夫婦岩の間から朝日が昇ります。天候次第で、遠くに富士山が見えることもあります。
大注連縄は、毎年5月5日、9月5日、12月の年3回張り替えられます。境内には猿田彦大神のお使いとされるカエルの置物が並び、「無事にカエル」などのご利益があるとして親しまれています。天の岩屋や、海の神を祀る龍宮社もあります。伊勢神宮へ向かう前に立ち寄り、無垢塩祓を受けてみるのも良いでしょう。
授与所では、カエルにちなんだお守りなどを授かれます。授与品は変わることがあるため、参拝時にご確認ください。
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二見興玉神社公式サイト
金剛證寺(こんごうしょうじ)

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朝熊山(あさまやま)の山上に建つ金剛證寺は、6世紀後半の創建と伝えられる臨済宗南禅寺派の寺院です。天長2年(825年)に弘法大師空海が真言密教の道場を築いたとされ、1392年に仏地禅師が再興し、臨済宗に改められました。
伊勢神宮の鬼門を守る寺として、古くから神宮と深い関わりを持ってきました。「お伊勢参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」と伊勢音頭にも唄われ、伊勢神宮に参拝したあとは朝熊山にも登るのが、かつてのお伊勢参りの習わしでした。
現在の本堂(摩尼殿)は、江戸時代初期の慶長14年(1609年)に、姫路城主・池田輝政の寄進で再建されたもので、国の重要文化財です。奥之院へ続く参道には、供養のための卒塔婆(そとば)が立ち並びます。
朝熊山の標高は555mで、山頂付近の朝熊山頂展望台からは伊勢湾を一望でき、古くから日の出の名所としても知られてきました。展望足湯もあり、参拝のあとに景色を眺めながらひと休みできます。
本堂では、御朱印などを授かれます。授与品は変わることがあるため、参拝時にご確認ください。
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金剛證寺公式サイト
椿大神社(つばきおおかみやしろ)

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鈴鹿山脈の入道ヶ岳(にゅうどうがたけ)の麓に鎮座する椿大神社は、伊勢国一宮に数えられる古社です。猿田彦大神を主神として祀り、全国の猿田彦大神を祀る神社の総本宮として、地元では「椿さん」の愛称で親しまれています。
猿田彦大神は、天孫降臨の際に瓊々杵尊(ににぎのみこと)を先導したとされる「みちびきの神」です。そのため、交通安全や物事が良い方向へ進むことを願う人が多く訪れます。境内には、瓊々杵尊一行の御船が着いたと伝わる御船磐座(みふねのいわくら)や、猿田彦大神の御陵とされる高山土公神陵(たかやまどこうしんりょう)があります。
別宮の椿岸神社(つばききしじんじゃ)には、猿田彦大神の妻神・天之鈿女命(あめのうずめのみこと)が祀られ、芸道の祖神、縁結びや夫婦円満の神様として崇敬されています。近くには願いが叶うとされる「かなえ滝」があり、境内には松下幸之助が寄進した茶室「鈴松庵」も残っています。
授与所では、道開きにちなんだお守りなどを授かれます。授与品は変わることがあるため、参拝時にご確認ください。
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椿大神社公式サイト
※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトもあわせてご確認ください。
お伊勢参りの社寺で心得たい、参拝の作法
神社とお寺では、お参りの作法が少し異なります。出発前に、基本の流れを確認しておきましょう。
神社での作法(伊勢神宮の例)
伊勢神宮では、次のような流れでお参りします。
・鳥居の前で、軽く一礼します。内宮では、宇治橋の前でも一礼してから渡ります
・手水舎で、手と口を清めます。内宮では、五十鈴川の御手洗場でも手を清められます
・正宮でお参りしたあと、境内の別宮にもお参りします
参拝の順序は、二見興玉神社で無垢塩祓を受け、外宮、内宮と進むのが、昔ながらの形とされています。
お寺での作法
お寺では、神社のような拍手は打たず、静かに手を合わせます。
山門の前で一礼し、境内では静かに過ごします
本堂では賽銭を納め、合掌して一礼します
御朱印を受ける場合は、お参りを済ませてからにします
金剛證寺は神宮の鬼門を守る寺ですが、お参りの作法は一般的なお寺と同じです。
H3:お伊勢参りの前に確認したいこと
三重県の社寺は、伊勢市内に集まる社寺と、山の上や県北部にある社寺とで、移動の手段が変わります。出かける前に、次のポイントを押さえておきましょう。
伊勢神宮は外宮から内宮の順にお参りするのが習わしです。外宮と内宮はバスで移動できます
伊勢神宮の参拝時間は季節によって変わるため、特に冬は早めの参拝がおすすめです
金剛證寺のある朝熊山へは、有料道路の伊勢志摩スカイラインを使うため、車での移動が便利です
二見興玉神社で夫婦岩からの日の出を見たい場合は、5月から7月の早朝に訪れましょう
椿大神社は鈴鹿山脈の麓にあり、バスの便が限られるため、時刻表を事前に確認しておきましょう
伊勢神宮の境内は玉砂利の参道が続くため、歩きやすい靴で出かけましょう
年末年始や大型連休は、伊勢神宮周辺の道路や駐車場が混み合うため、公共交通の利用もおすすめです
おわりに:お伊勢参りの道を、自分の足でたどる旅へ
衣食住を守る外宮、天照大御神を祀る内宮、夫婦岩に臨む二見興玉神社、伊勢神宮の鬼門を守る金剛證寺、そしてみちびきの神を祀る椿大神社。どの社寺にも、お伊勢参りとともに受け継がれてきた物語があります。
かつての人々は、何日もかけて伊勢を目指し、浜で身を清め、外宮から内宮へとお参りし、山に登って旅を締めくくりました。そんな昔ながらの順序を意識して巡ってみると、同じ景色も少し違って見えてくるはずです。一生に一度と憧れられたお伊勢参りの旅を、三重県でぜひ味わってみてください。
YOKKA編集部
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