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【山梨県甲府市】武田信玄ゆかりの「甲府五山」めぐり


皆さんは「甲府五山」をご存知でしょうか?

全国には鎌倉五山や京都五山といった「五山」が存在していますが、山梨県甲府市にも「五山」が存在します。この甲府五山はいずれも武田信玄に関わっていて、信玄の歴史を知るうえでとても興味深いスポットです。

今回はこの甲府五山とは何かと5つの寺院についてご紹介しますので、山梨県の旅行や歴史探訪の参考にしてみてください。

甲府五山について

甲府五山とは

甲府五山(こうふござん)は、 武田信玄によって定められた甲府にある5つの禅宗寺院 です。

武田信玄は、幼少の頃から臨済宗妙心寺派の禅僧である岐秀元伯の教えを受けており、大人になってから臨済宗に帰依しています。

そして信玄は 鎌倉五山や京都五山などの禅宗(臨済宗)の五山制度にならって、甲府にも五山制度を定めるために甲斐国の古刹を府中(甲府)に集めて、これらの寺院を臨済宗妙心寺派に改めました。

甲府五山は 長禅寺、能成寺、東光寺、円光院、法泉寺の5つ です。

通常、五山制度は第一位から第五位までの格付けがされるのですが、甲府五山においては格付けなどの明確な規定や記録は残されていません。

甲府五山の場所とおすすめ参拝コース

甲府五山は武田信玄によって 甲府に移されてできた寺院 なので、 すべて甲府市内にあります。

武田信玄の居城である躑躅ヶ崎(現武田神社)を中心に、甲府の城下町に点在しています。

現在の甲府の中心はJR甲府駅ですが、 いずれの寺院も甲府駅からも近く、徒歩で向かうことが可能です。

移動方法として車でも行けますが、甲府の市街地を移動する際は狭い道路なども行くことになるので、運転に不慣れな方は注意が必要です。

甲府駅からウォーキングで移動することもできます。 一つ一つの移動時間も30分以内で向かうことができるので、健康的に五山巡りを楽しむことができおすすめです。

一般的なルートは長禅寺~能成寺~東光寺~円光寺~法泉寺 の順になります。東光寺~円光寺のルートは愛宕山という小高い丘越えになるので、徒歩の場合はタクシーで移動するか一度甲府駅方面に戻ってから円光寺へ向かうとよいでしょう。

徒歩でのルートと所要時間

JR甲府駅 →(徒歩15分)→ 長禅寺 →(徒歩15分)→ 能成寺 →(徒歩15分)→ 東光寺 →(タクシーで愛宕山経由で15分、徒歩だと1時間以上)→ 円光寺 →(徒歩15分)→ 武田神社 →(徒歩30分、タクシーだと10分)→ 法泉寺 →(徒歩30分、タクシーだと10分)→ JR甲府駅

https://www.city.kofu.yamanashi.jp/koho/kyoiku/bunka/zai/gosan.html

甲府五山の紹介

長禅寺

甲府五山に序列はないのですが、長禅寺(ちょうぜんじ)は 筆頭にあげられる名刹 です。

武田信玄時代の府中(甲府)城下町の南端、現在の甲府市中心部で愛宕山の南麓に位置していて、 武田信玄の母親である大井夫人の菩提寺 でもあります。

長禅寺の住職は岐秀元伯で、武田信玄が幼少期に学問や政道を学んだ師であり、信玄の人間形成に大きな影響を与えた人物です。大井夫人が京都からわざわざ招き入れた名僧でした。

武田信玄が出家した際に「機山信玄」という法号を与えたのも岐秀元伯です。

寺は元々現在の南アルプス市にあった大井夫人の墓を現在の場所に移して創建しています。すでにあったお寺は現在も古長禅寺として現存しています。

入口の大きな門に圧倒されますが、立派な本堂・三重塔・五重塔も建っています。寺院内にある 武田信虎夫人像(大井夫人の肖像画)は国の重要文化財 にも指定されています。

住所

山梨県甲府市愛宕町208

https://kofu-tourism.com/spot/34

能成寺

能成寺(のうじょうじ)は、山梨県甲府市東光寺町にある寺院です。元々は八代郡(現在の笛吹市)にあったものを信玄の時代に府中(甲府)へ移しました。府中に移した際は甲府市内の別の場所にあったのですが、天正11年に徳川家康の命で甲府城が建築されるときに現在の場所へ移転しました。

武田信玄の父である信虎の曽祖父にあたる武田信盛(たけだのぶもり)が貞和年間(1345~1349)に開基した臨済宗の寺院で、信盛の菩提寺 でもあります。

境内には武田信盛の供養塔があります。

住所

山梨県甲府市東光寺町2153

https://kofu-tourism.com/spot/35

東光寺

東光寺(とうこうじ)は山梨県甲府市東光寺町に位置し、1246年に鎌倉で建長寺を建立した 蘭渓道隆禅師によって密教から臨済宗に再興された名刹 です。境内は鎌倉の禅宗寺院の雰囲気があります。

現存する 仏殿は、室町中期の唐様建築物として国の重要文化財にも指定 されています。

仏殿の本尊として安置されている薬師如来坐像は鎌倉時代の作で、蘭渓道隆の作庭といわれる池泉鑑賞式庭園である東光寺庭園は山梨県の名勝に指定されています。

また境内には 諏訪頼重、武田義信の墓 があります。

諏訪頼重は諏訪御料人と呼ばれる諏訪の領主で、武田信玄の妹である禰禰(ねね)の夫であり、その娘は由布姫(ゆふひめ)として有名です。

武田信玄の諏訪侵攻を受けて桑原城で降伏し、東光寺に幽閉されたのち切腹となりましたが、現在も墓は東光寺境内にあります。その墓に寄り添うように並ぶのが禰禰の墓ともいわれています。

武田義信は信玄の嫡男で、駿河の今川義元の娘を正室に迎えていました。親今川派である義信は、信玄を殺す計画を立てたため東光寺に幽閉されて自害したといわれています。

住所

山梨県甲府市東光寺町3-7-37

https://kofu-tourism.com/spot/32

円光院

円光院(えんこういん)は武田信玄の居城である躑躅ヶ崎館(現在の武田神社)の近くにあり、 信玄の正室である三条夫人の菩提寺 です。開山は信玄が京から迎え入れた説三和尚で、 寺の名は三条夫人の法名に由来 しています。

三条夫人は公家で左大臣・三条公頼の次女として京都の三条邸にて生まれ、武田信玄の正室として迎え入れられています。

1746年に伽藍を焼失していて、現在の本堂は昭和52年に、庫裡は平成11年に再建されています。寺には信玄の寄進状や遺宝が残されています。

また 円光院の近くには武田信玄の墓 がありますが、信玄は死の際に3年間秘密にするようにと伝えていて、遺骸は信玄の寵愛を受けていた土屋昌続が密かに持ち帰り埋葬したと伝えられています。そして今も 法要は円光院によって執り行われています

住所

山梨県甲府市岩窪町500-1

https://enkoin.org/

法泉寺

法泉寺(ほうせんじ)は武田信玄から数えて9代前の先祖で、室町幕府の初代将軍・足利尊氏に仕えた 武田信武(たけだのぶたけ)が開山した古刹 です。信玄は 先祖ゆかりの法泉寺を甲府五山のひとつに加えて、手厚く保護し伽藍を整備しました。

ここには 開祖である武田信武の墓 と、 信玄の息子で武田家滅亡の際の当主である武田勝頼の墓 があります。

甲州征伐によって天目山で自刃に追い込まれた勝頼は、京で晒首になったのちに妙心寺で葬儀が行われていますが、その際葬儀に参列した法泉寺の快岳禅師が勝頼の首級(歯髪)をもらい受け、法泉寺内にある武田信武の墓の傍らに埋葬されました。

武田勝頼を密かに埋葬した「歯髪塚」の目印に山桜が植えられたと伝えられていて、今も勝頼の墓のそばには山桜の木が寄り添っています。

住所

山梨県甲府市和田町2595

https://www4.nns.ne.jp/~hosenji/

武田信玄ゆかりの歴史を感じる五山めぐりを楽しもう

甲府五山は武田信玄が作り上げただけあって、武田信玄ゆかりのある人物の菩提寺であるので五山めぐりをすることで、武田の歴史を学ぶことができます。

いずれも甲府市の中心部に位置しているので、1日ですべてのお寺を参拝することが可能です。車でまわるのもよいですが、体力があるなら散策でまわるのもおすすめです。

桜や新緑の季節である春や、紅葉の季節である秋は散策にも適していて、甲府の町並みと自然の景観を楽しみながら五山めぐりを楽しむことができます。

時間に余裕があれば、武田神社や甲斐善光寺なども加えて寺院めぐりを楽しむこともできます。

歴史や武田信玄に興味がある方にはおすすめのスポットなので、今度の休日は甲府五山めぐりを楽しんでみてはいかがでしょうか。


nonta

余暇プランナー

元旅行会社勤務で今は山の中の観光施設で働きながら旅ライターを行っています。元々旅行好きで大学も地理学専攻と根っからの地理マニアです。大自然の絶景と寺社仏閣などの歴史建築が大好きで、連休などあればすぐに車中泊で出かけてしまいます。その他登山やランニングなどとにかく家に引きこもっていることが苦手で、常に自然の中で過ごしていることが私の癒しになっています。

【山梨県甲府市】武田信玄ゆかりの「甲府五山」めぐり

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