ソウルの観光地といえば、明洞・東大門・梨泰院。最近は、おしゃれ女子のあいだでは益善洞や仁寺洞なども人気ですね。でも、GW期間に行くとなれば、混雑は必至。
そこで、本日ご紹介するのは「梨花洞(イファドン)の壁画村」。村と言っても郊外にあるわけではなく、ソウルの北東に位置します。演劇の街として知られる大学路(テハンノ)の隣というイメージ。
さながら“路上美術館”で、壁画や彫刻、オブジェといった様々なアートに彩られています。ゆっくり回って1時間くらいの散策になるので、旅行プランの中に入れてみてはいかがでしょうか。
なぜ壁画村ができた?
梨花洞は、以前はタルトンネ(月の街)またはサントンネ(山の街)と呼ばれていました。月に届きそうなくらい高い場所ということで、実際、傾斜地に住宅が建てられていて、坂道や階段が多いエリアです。
生活するには少し厳しい環境のため、低所得者が多く住み一時は荒廃していたそうですが、環境美化や街の活性化を目指して、「ART in city 2006 - 駱山プロジェクト」という事業が行われました。
その結果、 約70人の芸術家と地元のアマチュア作家が、街のそこかしこに思い思いにアートを創作し、現在の壁画村が誕生 したのです。
https://www.veltra.com/jp/asia/korea/seoul/ctg/165276?sid=1554
場所はどこにある?
https://www.google.com/maps/embed?pb=!1m18!1m12!1m3!1d12647.91787644886!2d126.99092658033878!3d37.57910114123285!2m3!1f0!2f0!3f0!3m2!1i1024!2i768!4f13.1!3m3!1m2!1s0x357ca32e456773eb%3A0x3b5f23a29c9fe7b7!2z5qKo6Iqx5rSe5aOB55S75p2R!5e0!3m2!1sja!2sjp!4v1710562154044!5m2!1sja!2sjp
梨花洞壁画村は、GoogleMapに入れても出てきます。
アクセス:地下鉄4号線・恵化(ヘファ)駅 2番出口 徒歩10分
東大門(トンデムン)から歩くこともできますし、駱山の周辺にはソウルの城郭も残っているので、時間がある方は城郭見学も一緒にどうぞ。起伏のあるエリアなので、靴はスニーカーなどの歩きやすい靴が良いと思います。
見どころ
梨花洞は、ソウルの中心部のように近代化されておらず、生活の場として庶民的で懐かしさのある風景が広がっていて、その中にアートが溶け込んでいます。有名な壁画だけでなく、お店の壁や小さな路地にもさまざまな装飾がしてあるので、ひとつひとつ探しながら見て回るのが楽しいです。
もっとも、ドラマや映画のロケに使われて知名度があがり、普通に人が暮らしているところに観光客が押し寄せて、住民からの反対運動が起きてしまった悲しい過去も。そのため、SNS映えすると人気だった「花模様の階段」などは塗りつぶされてしまったらしく、私が訪れた時は見ることができませんでした。
パブリックアートの性格上、タイミングによって見られる作品は変わってしまうので、ここからは、 2024年3月現在の作品群 としてお楽しみいただければ幸いです。
建物の横幅いっぱいに描かれた、バイクのおじさん。ここは、手前がベンチになっていてゆっくり鑑賞できます。
ガイドブックにも頻繁に掲載される「天使の羽根」。写真スポットとして有名なため、中央には薄っすら人の形をした跡が!おそらく、絵を描いた当初は、物を置かないように気をつけていたんだと思いますが、18年たつと日常の一部と化しています。
こちらは逆に、比較的新しい作品。ものすごく狭い路地なんですが、「不思議の国のアリス」の世界が表現されています。左の電気メーターまで、色分けがされているのが面白いですね。
壁画村とは言いますが、描かれる対象は壁とは限りません。お店のガラス窓にも人や花がデザインされています。
電信柱に描かれた女性は、縦に長い特徴をうまく利用しています。
急に現れてびっくりしたのが、バンクシーの『Girl with Balloon(赤い風船に手を伸ばす少女)』。2018年のシュレッダー事件でも知られるバンクシーの代表作ですね。この絵は、おそらく模倣品と思われます。
ゴッホの『ひまわり』もありました。休憩用のベンチも置いてますが、少し傾いてますね。座る際はご注意を!
そして、変化球の3Dアート。壁画ではなく、立体物として製作されているので、見る場所によってかなり表情が違って見えます。フォーマットが統一されてる訳ではないので、アーティストの個性が発揮されていて興味深いです。
こちらは駱山公園のすぐ近くにあった壁画なんですが、左から「スペイン語・韓国語・英語・日本語」で挨拶しています。
番外編・駱山公園
ソウルは東西南北に山が配置された風水的に力の強い土地柄。東側に位置するのが「駱山(ナクサン)」です。名前の由来は、山の姿が駱駝(ラクダ)に見えることから。2002年に開園した駱山公園は、24時間開いていて市民の憩いの場所となっています。
ガイドブックには、「夜景がきれいな場所」として紹介されることが多いですが、朝の時間帯は地元の人が散歩コースにしていました。昼間に訪れるとソウルの中心部が一望できるので、頑張れる方はぜひ、一番上の「遊び広場」を目指してください。
アクセス:<徒歩ではなくマウルバスを利用する場合>
地下鉄東大門駅5番出口からマウルバス鍾路3番に乗り、「ナクサン終点(チョンジョム)」下車。
公園の入り口、中央広場に鎮座する龍の絵。「龍が現れるとめでたいことが起こる」という言い伝えがありますし、 今年の干支は「甲辰(きのえたつ)」 なので、甲の意味=まっすぐにそそり立つ大木、に関係する「山」にある「龍の絵」は、パワースポットではないでしょうか?
見る人の想像力をかき立てる場所
梨花洞の壁画村は、「お金もかからず」韓国らしさが味わえる、とても魅力的な場所です。空間をうまく利用して創作されたものが多く、どうしてこの場所にこのモチーフを描いたんだろう?とか、モデルは誰なんだろう?とか、どうやって作ったんだろう?とか、見る人の想像力もかき立てられます。
ちなみに、坂や階段が苦手な方は、東大門から城壁へ出て、駱山公園からスタートする「東から西」のルートがおすすめです。足に自信のある方は、逆ルートで登って駱山公園で夜景を楽しむと、素敵な思い出が作れると思いますよ。
出典・参考
tomoko
余暇プランナー
小さい頃の夢は「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、ライターのtomokoです。本業は演劇と外画アニメの演出をしています。子供向けの番組を数多く担当しているからか、小さな子供とすぐ仲良くなれるのが特徴。よく一人旅に出るので独身と間違われますが、既婚です。旅先では美術館や博物館に行くことが多いです。どうぞ宜しくお願い致します。