美容や健康のために、水分を意識してとっている方も多いのではないでしょうか。
しかしたくさん飲むことで、とりすぎによる影響の心配や、本当に効果があるのかと思う方もいるでしょう。
今回の記事では「水分のとりすぎの影響」について、管理栄養士が解説します。
1日の適量も知り、正しく水分補給をしましょう。
水分のとりすぎによる影響
少しくらい水分をとりすぎても、尿や汗として排出されるため問題ありませんが、体が処理できる量を超えてとりすぎてしまった場合は、体に悪影響を与えることがあります。
考えられる影響について、詳しく見てみましょう。
水中毒
水分を極端にとりすぎることで「水中毒」の状態を起こすことがあります。
水中毒とは、低ナトリウム血症により、頭痛やおう吐、意識混濁などの症状が起きる状態を指します。
たくさん水分をとると、血液が薄まり血液中のナトリウム濃度が低下し低ナトリウム血症の状態となり、さまざまな影響を引き起こすのです。
重症の場合は命の危険に関わることもあります。
水中毒は、薬や病気によって起こりやすいことが知られていますが、発汗をともなう運動や作業をした際に、塩分(ナトリウム)をとらずに水分をたくさんとった場合にも起こることが知られています。
頻尿
水分をとりすぎると、排尿の回数が増える頻尿の原因となることがあります。
頻尿とは、一般的に起床後から就寝までの排尿回数が8回以上の場合を指します。
日常生活に影響する可能性があり、また夜間に排尿のために何度も起きると、睡眠の質が低下することも考えられるでしょう。
軟便・下痢などのお腹の不調
水分のとりすぎにより便の水分が多くなると、軟便や下痢につながることがあります。
また下痢による腹痛の原因となることもあります。
特にお腹の調子が整わないときは、適量を心がけるようにしましょう。
むくみ
水分をとりすぎるだけではむくみは起きにくいのですが、味の濃い料理や塩辛いものを食べたあとに水分をとりすぎてしまうと、むくみを起こすことがあります。
塩分(ナトリウム)は体内に水分をため込む作用があるため、たくさんとるとむくみの原因となります。
また普段から塩分をとりすぎる傾向のある方も、むくみを起こしやすいでしょう。
胃もたれ
食事と一緒に水分をとりすぎると、胃もたれの原因になることがあります。
食事中に水分をとると、食べ物をよく噛まずに流し込んでしまうことがあるため、消化に負担をかけてしまうのです。
気分が悪くなったりや吐き気につながったりすることもあるため、特に食事中は水分のとりすぎに注意しましょう。
水分のとりすぎはどのくらいから?1日の摂取量の目安
「水分のとりすぎはどのくらいから?」というのは個人差もあり一概には言えませんが、たくさん水分をとっていて不調を感じているなら、それはあなたにとって飲みすぎの量かもしれません。
また水中毒が起きるのは、腎臓の利尿速度である16ml/分を超える場合と考えられているため、1時間に960ml以上の水分を続けて摂取するのは控えた方がよいといえるでしょう。
1日に必要な水分量は人によって異なり、はっきりとした基準はありませんが、体重1kgあたり30〜40mlほどが目安として使われています。
これには食事からとる水分も含まれており、飲み物からとる水分は半分から3分の2ほどです。
例えば体重60kgの人であれば、1日に必要な水分は1,800~2,400mlとなり、飲み物からとる水分は900~1,600mlほどでよい計算になります。
あくまで目安でありますが、自分に必要な量を一度計算してみるのもよいでしょう。
※参照:又吉 康俊「水中毒の治療戦略」日本集中治療医学会雑誌 2005;12=188〜190.
美容やダイエットには水分をたくさんとるべき?
水分をたくさんとると美容やダイエットにいいという話を聞いたことがあるかもしれません。
適量であれば、水分をとることで下記のメリットが考えられます。
・便秘を防ぐ
・肌の乾燥を防ぐ
・血液の循環をスムーズにする
・食事の前にとることで食欲を抑える
しかし、たくさん水分をとればとるほど効果が期待できるわけではなく、先ほど伝えたとおりのデメリットもあるため、適量の範囲でとることが大切です。
先ほどの目安を参考に、自分にとってちょうどよい量を見つけてみましょう。
水分のとりすぎは、飲み物の種類にも注意!
コーヒー、紅茶、緑茶などのカフェインを含む飲み物や、糖質を含む甘い飲み物で水分摂取するのはなるべく避け、楽しむ程度に取り入れるようにするとよいでしょう。
水分のとりすぎは体に影響を起こすことも!適量を心がけよう
今回の記事では「水分のとりすぎ」について、管理栄養士が解説しました。
少しくらいのとりすぎでは体に影響を与える心配は少ないのですが、体に必要な量を大幅に上回り、何リットル、十何リットルも水分をとるのは危険です。
自分に必要な水分量の目安を知り、適量を心がけましょう。