ひじきは成長期の子どもに必要な栄養や、美容面や健康面が気になる大人が取り入れたい栄養などが豊富で、カロリーが低いのもうれしいポイントです。
具体的な効能や、効率的に栄養補給するコツ、取り入れる際の注意点を知り、ひじきを上手に取り入れましょう。
今回の記事では「ひじきの栄養」や「注意点」について、管理栄養士が解説します。
ひじきの栄養と期待される効能
ひじきはカルシウムや食物繊維、β-カロテンなどの栄養豊富な食べ物です。
骨の健康づくり、便秘の予防、血糖値や血中コレステロール値の低下など、さまざまな効能が期待されます。
100があたり11kcalとカロリーが低いこともあり、ダイエット中でもたっぷり食べてOKです。
実際に、ひじき(水戻し・茹で)の栄養成分値を見てみましょう。
乾燥したひじきは水戻しすると約10倍の量になります。
これらに期待される効能について、詳しくお伝えします。
骨の材料となる「カルシウム」
カルシウムは骨を作る材料となり、強い骨をつくるために欠かせません。
日本人はカルシウム摂取量が不足気味であるため、子どもから大人まで積極的に取り入れましょう。
便秘や生活習慣病対策に「食物繊維」
食物繊維は便秘の予防や、血糖値や血中コレステロール値の低下に役立ちます。
食物繊維は便のカサを増やし、排便をスムーズにし、腸内環境を整えるサポートをしてくれます。
また余分な糖や脂質を吸着したり、吸収を妨げたりすることで、血糖値や血中コレステロール値の低下に関わるなど、生活習慣病予防にも大切です。
甲状腺ホルモンをつくる「ヨウ素」
ひじきなどの海産物に多く含まれるヨウ素は、甲状腺ホルモンがつくられる際に必要なミネラルです。
甲状腺ホルモンは、成長や発達に欠かせない働きや、新陳代謝を活発にする働きがあります。
抗酸化作用のある「β-カロテン」
β-カロテンは抗酸化作用があり、活性酸素を除去してくれます。
過剰に産生された活性酸素は細胞を傷つけ、動脈硬化やがん、免疫機能の低下、肌の老化などに関わることが知られています。
骨の健康づくりと血圧低下を期待「マグネシウム」
マグネシウムは骨に存在するミネラルで、骨の健康を守ってくれています。
ほかにも、血圧を下げる働きがあることが注目されており、血圧が気になる方も積極的に取り入れたい栄養素です。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ひじきは鉄がたっぷりじゃないの?
昔はひじきというと「鉄がたっぷり」といわれていましたが、実は今のひじきはそれほど鉄が含まれていません。
昔はひじきを加工する際に鉄釜が使われており、鉄釜から溶けだした鉄のおかげでひじきの鉄が豊富だったのです。
現在はステンレス釜で加工されているため、以前の9分の1ほどの含有量となっています。
鉄を補給したい方は、ひじきだけでは不十分なので、ほうれん草や小松菜、レバーなどの鉄が豊富な食べ物を組み合わせるようにしましょう。
ひじきとわかめはどちらが栄養豊富?
同じ海藻であるひじきとわかめは、どちらが栄養豊富なのか見てみましょう。
下記は茹でたもの100gあたりの栄養成分値です。
比較してみると、ひじきの方が栄養豊富であることがわかります。
またひじきはわかめに比べ、たっぷりと食べやすい点からも、栄養補給に向いています。
わかめも栄養豊富ではありますが、より効率的に栄養を摂りたいときは、ひじきがぴったりといえるでしょう。
栄養豊富なひじきを取り入れる際の注意点
ひじきは栄養豊富ではありますが、取り入れる際に気を付けてほしい注意点があります。
水戻しをしてから調理する
ひじきは必ず水戻しをしてから調理しましょう。
水戻しすることで、ひじきに含まれる無機ヒ素という物質を減らすことができます。
ヒ素は農薬や殺鼠剤にも使われており、毒性があることが知られている物質です。
無機ヒ素は海藻類の中でもひじきに多く含まれることがわかっています。
水戻しをして調理すれば半分ほどに減るため、過剰摂取の心配を減らすことができます。
乾燥ひじきをそのまま煮汁に入れたり、炊き込みご飯に使ったりするのは避け、必ず水戻ししてから使うようにしましょう。
食べすぎないようにする
無機ヒ素や食物繊維の摂りすぎとならないよう、食べすぎに注意しましょう。
無機ヒ素の過剰摂取を避けるためには、1食5g(水戻しして50g)を週に2回までがよいとされています。
また食物繊維が豊富であるため、食べすぎにより消化不良を起こし、お腹の調子を壊すことも考えられます。
ひじきが体によいからといって、続けてたくさん食べるのは控えましょう。
※参照:農林水産省「消費者の部屋」
ひじきの栄養を効率的に摂るコツ
ひじきを取り入れる際は、コツを知っておくことで、より効率的に栄養を摂れますよ。
油と一緒に調理する
ひじきに含まれるβ-カロテンは、油と一緒にとることで吸収率が高まります。
β-カロテンを効率的に摂るなら、煮物や炒め物にする際はサラダ油やごま油を使う、サラダにするときは油の入ったドレッシングを使うなどの工夫をしてみましょう。
きのこと組み合わせる
ビタミンDを含むきのこ類と組み合わせることで、ひじきに含まれるカルシウムの吸収を助けてくれます。
ビタミンDは、特にきくらげ、まいたけ、エリンギに多く含まれます。
煮物や炒め物などに一緒に使うようにするとよいでしょう。
ひじきは適量取り入れて、健康づくりに役立てよう!
今回の記事では「ひじきの栄養」について、管理栄養士が解説しました。
栄養豊富なひじきは、子どもから大人まで、幅広い年代の健康を支えてくれる食べ物です。
食べすぎには注意して、ひじきを上手に取り入れてくださいね。
ひじきの栄養をたっぷり摂れるおすすめレシピ3選
最後に、ひじきの栄養たっぷり摂れるおすすめのレシピ3つをご紹介します。
ひじきとれんこんのごまマヨサラダ
シャキシャキとしたひじきとレンコンの食感が楽しいサラダです。
マヨネーズがひじきのβ-カロテンの吸収を助けてくれます。
ひじきとれんこんのごまマヨサラダ
れんこん、にんじん、芽ひじき(乾燥)、塩・こしょう、○マヨネーズ、○しょうゆ、○すりごま、○砂糖、○和風顆粒だし
調理時間:15分
ひじき入りつくね
作り置きにもぴったりの、ひじき入りつくねのレシピです。
カロリーを抑えられるので、ダイエット中にもぴったりです。
【作りおきおかず】ひじき入りつくね
鶏ひき肉、乾燥芽ひじき、○片栗粉、○しょうがチューブ、○酒、○しょうゆ、●めんつゆ(3倍濃縮)、●みりん、サラダ油
調理時間:15分
ひじき煮卵焼き
ひじきの煮物が余ったときは、卵焼きはいかがでしょうか?
ひじきだけでは足りないタンパク質を卵が補ってくれます。
ひじき煮卵焼き
卵、ひじきの煮物、○砂糖、○薄口しょうゆ、サラダ油
調理時間:10分