冬が旬である白菜は、さまざまなメニューに活躍してくれますよね。
白菜は淡泊な味わいから「栄養がないのでは?」と思うかもしれませんが、実際どうなのでしょう?
また、栄養をたっぷり摂れる、おすすめのメニューも知っておきたいですよね。
今回の記事では「白菜の栄養」について、管理栄養士が解説します。
白菜の栄養は「ある!」
「白菜は栄養がないのでは?」と思うかもしれませんが、それは誤りです。
がん予防が期待されているイソチオシアネートという成分をはじめ、ビタミンC、食物繊維、カリウムなど、野菜から摂りたいさまざまな栄養素を含んでいます。
風邪などの感染症が流行する季節は、体調を整えるためにも野菜をたっぷり取り入れたバランスのよい食事を心がけたいものです。
比較的安価でさまざまなメニューに活躍する白菜は、野菜をたっぷりとるのに役立ち、健康づくりの強い味方となってくれるでしょう。
白菜に含まれる栄養素と期待される効能
白菜に含まれる栄養素や成分には、具体的にどのような効能が期待されるのでしょうか。
詳しく見てみましょう。
がん予防が期待されている「イソチオシアネート」
白菜やキャベツなどアブラナ科の野菜に含まれるイソチオシアネートという成分は、がんの予防に役立つ可能性があるとして注目されています。
イソチオシアネートは、発がん物質を解毒する酵素の働きを高めることから、がん予防が期待できると考えられています。
イソチオシアネートを含む野菜の摂取量が増加すると、肺がんや大腸がんなどのリスクが低下するという報告もあるほどです。
白菜に限らず、野菜や果物の摂取ががん予防に効果的であることがわかってきています。
白菜を含むさまざまな野菜を積極的に取り入れましょう。
免疫機能の維持に関わる「ビタミンC」
白菜に含まれるビタミンCは、免疫機能の維持に関わっています。
ビタミンCは、免疫細胞であるリンパ球や好中球などの細胞内に存在することが知られており、免疫機能を正常に保つために必要であると考えられています。
ストレスを受けたり感染症にかかったりすると、ビタミンCが消費されてしまうことが知られています。
またビタミンCは水溶性であり、尿として排出されてしまうため、毎日続けて摂取することも大切です。
毎日取り入れやすい白菜は、ビタミンCの補給に役立つでしょう。
腸内環境を整える「食物繊維」
腸内環境を整えてくれる食物繊維は、白菜から補給することができます。
食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなり、悪玉菌の繁殖を抑えてくれます。また便の材料となり、排便をスムーズに促してくれる作用も期待されます。
便秘がちな方は、白菜などの野菜から食物繊維をたっぷり補いましょう。
高血圧の予防に欠かせない「カリウム」
白菜に含まれるカリウムは、高血圧の予防に欠かせません。
高血圧の原因のひとつがナトリウム(塩分)の摂りすぎです。カリウムはナトリウムを排出してくれる作用があり、塩分の摂りすぎを調整して血圧を下げてくれます。
野菜不足の方は、カリウムが不足しやすくなります。血圧が気になる方は、減塩を心がけるとともに、カリウムを含む野菜をたっぷり摂取するよう心がけましょう。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ほかの野菜と比べると白菜は栄養豊富?
白菜はさまざまな栄養素を含むことがわかりましたが、大根やもやし、キャベツなどの身近な野菜に比べると栄養豊富なのでしょうか?
100gあたりの栄養成分値の含有量を比較してみましょう。
比較してみると、白菜がずば抜けて優れているとはいいにくいのですが、どの栄養素もバランスよく含んでいることがわかります。
似た野菜であるキャベツと比較すると、食物繊維とビタミンCは少ないものの、カリウムは豊富であることがわかります。
またカロリーは13kcalであり、野菜の中でも低いほうです。
たっぷり食べても安心であり、ダイエット中の方におすすめできます。
クセがなくさまざまなメニューに活躍してくれる白菜は、太る心配もなく、毎日の栄養補給にぴったりな野菜といえるでしょう。
白菜は加熱や冷凍により栄養がなくなる?
白菜は主に加熱して食べることが多いため「栄養がなくなってしまうのでは?」と心配する方もいるかもしれません。
また、白菜がたくさんあるときは、冷凍保存を活用する方もいるでしょう。
加熱や冷凍により栄養価に変化はあるのか、解説していきます。
加熱した場合
白菜を加熱した場合、ビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素や、熱に弱い栄養素が減ってしまうことがあります。
日本食品標準成分表には白菜の生とゆでの栄養素が掲載されているためどの程度違うのか見てみましょう。
同じ100gで比較した場合、どちらもカロリーは変わりません。
しかし、水溶性であるカリウムとビタミンCの量はいずれも減っていることがわかります。
これらの栄養素をムダなく摂りたい場合は、溶け出た栄養素を煮汁ごと摂れる、スープや煮物などメニューにするのがおすすめです。
また電子レンジで加熱すると、水に栄養素が溶け出る心配が少なくなります。
冷凍した場合
家庭で野菜を冷凍した場合、ゆっくり冷凍されることにより野菜の組織が壊れやすくなり、解凍した際に栄養素が流れ出てしまうことがあります。
しかし、これは急速冷凍を心がけることと、白菜を新鮮なうちに冷凍することで対策ができます。
急速冷凍することで白菜の組織が壊れにくくなり、栄養素の損失を少なくできると考えられます。
また、野菜は常温や冷蔵で長期間保存すると、ビタミンCなどの栄養素が減ってしまうことも知られているため、新鮮なうちであれば栄養素をキープしやすくなります。
白菜は、生でもゆでてからでもどちらでも冷凍保存が可能です。
なるべく平らにすることで、素早く冷凍することができます。
たくさんあるときや時短したいときなどは、ぜひ冷凍保存を活用しましょう。
白菜の栄養をたっぷり摂るおすすめメニュー3選
白菜の栄養素をたっぷり取るにはどのようなメニューがおすすめなのでしょうか。
3つのメニューをご紹介していきます。
鍋
定番の鍋料理は、白菜から流れ出た水溶性の栄養素をムダなく摂れるメニューです。
鍋の種類はどれでも問題ありませんが、より栄養価を高めたい場合は以下のメニューを試してみませんか?
・トマト鍋:トマト缶やトマトジュースで煮込む鍋。白菜にはあまり含まれない、β-カロテン(免疫機能の維持に関わる)を補給できる
・生姜鍋:すりおろし生姜をたっぷり入れた鍋。生姜で体を温め、代謝もアップ
ぜひ栄養豊富な食材と組み合わせてみてくださいね。
和え物
白菜をとにかくたっぷり食べたいときは、和え物もおすすめです。
電子レンジで加熱して軽く水気を絞った白菜は、めんつゆや醤油、マヨネーズ、ごま、かつお節など、お好きな調味料で和えましょう。
たくさん食べればその分栄養補給にもなりますよ。
またカロリーを抑えられるため、ダイエットにも効果的です。
サラダ
ビタミンCやカリウムなど水溶性の栄養素をムダなく摂りたい場合は、白菜を生のまま食べるサラダもおすすめです。
白菜はあまり生で食べることがないかもしれませんが、シャキシャキとした歯ごたえややさしい甘みを味わうことができますよ。白菜に飽きてきた時にもおすすめです。
硬い茎の部分は細切りにすると食べやすくなります。ドレッシングやポン酢などと相性がよいため、ぜひ試してみてください。
白菜は生で食べても問題ない?生と加熱後、栄養素の違いは?
白菜といえば煮物や鍋の具材などで大活躍するイメージがありますが、生で食べても問題ないのでしょうか?生で食べるときに注意すべきポイントや加熱したときとの栄養価の違いなどについて、管理栄養士が解説します。
毎日取り入れやすい白菜で栄養補給をしよう!
今回の記事では「白菜の栄養」について、管理栄養士が解説しました。
白菜は健康づくりに欠かせないさまざまな栄養素を含む野菜です。
旬である冬の時期は安く手に入りやすく、たっぷり食べられるため野菜不足の解消にもぴったりです。
いろいろなメニューで楽しめる白菜を、ぜひ毎日の食事に取り入れてくださいね。
白菜を使った栄養満点のおすすめレシピ
最後に、白菜を使ったおすすめのレシピをご紹介します。
白菜のカリカリじゃこサラダ
生の白菜をたっぷり食べられるレシピです。カリカリのちりめんじゃこがよいアクセントになり、箸が止まらなくなる美味しさです。
白菜のカリカリじゃこサラダ
白菜、ちりめんじゃこ、かつおぶし、○白だし.、○酢、○ごま油、ごま油
調理時間:10分
白菜と手羽のとろとろ鍋
生姜入りの体が温まる鍋です。白菜と鶏手羽はじっくり煮込んでとろとろに。栄養やうま味がたっぷり溶けだしたスープも楽しめます。
白菜と手羽のとろとろ鍋
鶏手羽元、白菜、しょうが、○酒、○鶏ガラスープの素、黒こしょう、ごま油、ポン酢(好みで)
調理時間:40分