冬の果物の定番である「みかん」。
みかんには豊富な栄養が含まれているといわれますが、実際どれほどの栄養素が含まれるのでしょうか?
また、みかんの白いスジや薄皮には、どのような効能が期待できるのかも気になりますよね。
今回の記事では、みかんの栄養や期待できる効能について、管理栄養士が解説します。
みかんの栄養成分と期待できる効能
私たちが普段よく食べているみかんは「温州みかん」であることがほとんどです。
そのため、ここでは温州みかんに含まれる栄養素と、期待できる効能についてご紹介します。
骨粗しょう症やがんのリスク低下を期待「β-クリプトキサンチン」
β-クリプトキサンチンは、みかんの色素成分です。みかんのほかにも、国産の柑橘類に多く含まれます。
β-クリプトキサンチンは体内でビタミンAとして働くほか、骨粗しょう症やがんのリスクを低下させる働きが期待されています。
美肌作りに欠かせない「ビタミンC」
ビタミンCはコラーゲンの生成に必要な栄養素で、皮膚の健康づくりに欠かせません。
また、免疫機能を維持するのに大切な役割もあり、不足せずに補いたい栄養素の1つです。
便秘対策や健康づくりに役立つ「食物繊維」
食物繊維には整腸作用があり、お通じの改善や便秘の予防が期待できます。
また、食後の血糖値の急上昇を抑える働きや、血中コレステロール値を低下させる働きもあります。血糖値やコレステロール値などの健康対策に、しっかりと摂りたいものです。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,
農林水産省「みかんにはどんな栄養があるのですか。また、おいしいみかんの選び方や保存方法についても教えてください。」
栄養の詰まった白いスジや薄皮も食べよう!
みかんの白いスジや薄皮には、たっぷり摂りたい栄養成分が詰まっています。ぜひ、取らずに食べましょう。
薄皮には「ペクチン」という食物繊維が含まれており、便秘予防の効果が期待できます。
また、白いスジと薄皮の両方には「ヘスペリジン」というフラボノイドが含まれています。フラボノイドはポリフェノールの一種で、高血圧や動脈硬化の予防に効果が期待されてる成分です。
白いスジや薄皮の食感が苦手でなければ、これらの成分をムダなく摂れるよう、ぜひそのまま食べてくださいね。
こんな「みかん」の栄養はどう変わる?
古くなったみかん、みかんの缶詰、みかんジュース……。状態によって、みかんの栄養成分は変わるのでしょうか。
「こんなみかんの栄養成分はどうなっているんだろう?」という疑問について、詳しく解説します。
古くなったみかん
古くなって味が落ちてしまったみかんは「栄養がなくなっているのでは?」と考える方も多いでしょう。しかし、多少の変化は考えられますが、気にしすぎる必要はなさそうです。
みかんなどの果物や野菜は、貯蔵によりビタミンCが減少することが知られています。長く保存していて味が落ちてしまったり、皮がしわしわになったりしたみかんは、通常のみかんよりビタミンCの量が少ないかもしれません。
時間が経過したみかんの栄養成分がどう変化するのかについて、貯蔵みかんのビタミンC(アスコルビン酸)変化を調べた研究があります。
この研究によると、約3か月間保存していた貯蔵みかんのビタミンC(アスコルビン酸)の量は、平均して8割程度であったとされています。
しかし、もともとみかんのビタミンCは豊富に含まれています。仮に8割程度まで減ってしまったとしても、そこまで気にすることはないでしょう。。
※参照:久永絢美,杉浦実,ウンシュウミカン中のアスコルビン酸含有量の品種群による差異およびその糖度との関係について,日本栄養・食糧学会誌,第71巻,第5号,251-256(2018)
みかんの缶詰
みかんの缶詰は、生のみかんに比べると栄養素の含有量は少なくなります。
これは加工の際に加熱されたり、シロップ漬けになったりすることで、栄養素が壊れたり流れ出たりすることが原因として考えられます。
では、実際どの程度差があるのか比較してみましょう。
同じ条件で比較できるよう、みかんは薄い皮を除いた果肉の部分の栄養成分値を記載しています。
食物繊維はみかんの缶詰の方が多い傾向にありますが、生のみかんは薄皮がついたまま食べる場合が多いと考えると、やはり栄養的には生みかんの方が優秀といえます。ビタミンC、β-クリプトキサンチンの含有量を見ても、生みかんの方が栄養豊富ということが分かります。
とはいえ、みかんの缶詰にビタミンやミネラルが全く含まれていないわけではありません。缶詰は糖分が多いためたくさん食べることはおすすめできませんが、みかんが手に入りにくい時季や手軽に果物を取り入れたいときなどに取り入れるのも良いでしょう。
100%みかんジュース
みかんジュースをみかんの代わりとして考えるのは、あまりおすすめできません。果汁100%とは言ってもやはりジュースですので、糖質を摂り過ぎやすいなどのデメリットが考えられます。
100gあたりを比較すると、以下の通りです。
ジュースのデメリットをもう少し詳しく説明すると、
・咀嚼の必要がないため、果物のような満足感を得られにくい
・食物繊維が含まれておらず糖質の吸収を妨げる役割がない
・たくさん飲んでしまうとエネルギーの摂り過ぎから肥満に繋がりやすい
以上のようなことが考えられます。
みかんジュースはあくまで嗜好品としてたまに楽しむ程度にしておき、旬の時季はぜひ生のみかんをいただきましょう。
みかんは生が一番!薄皮ごと食べて栄養をたっぷり摂ろう
みかんは薄皮や白いスジも食べることでさらに栄養をたっぷり摂ることができます。ちなみに、みかんの適量は1日あたり2個ほど。食べ過ぎに注意して、みかんをおいしく楽しんでくださいね。
みかんを食べ過ぎるとどうなるの?身体への影響と1日の目安量を管理栄養士が解説
旬の季節になると、ついついたくさん買ってしまうみかん。「親戚やご近所の方から箱ごともらう」ということもあるかもしれません。腐る前に食べきってしまいたいみかんですが、食べ過ぎると身体によくないのでしょうか?そこで今回は、みかんの食べ過ぎによって起こりやすくなる身体への影響と、1日の目安量を解説します。