もやしといえば「いつでも安く手に入る野菜」かつ「低カロリーでダイエット向きの食材」とイメージされる方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、気になるもやしのカロリーと糖質の量を解説します。また、もやしを使った料理のカロリーと糖質の量も紹介しますので、ダイエット中の方は参考にしてみてくださいね。
もやしのカロリー(エネルギー量)と糖質の量
もやし100gあたり、1袋(200g)あたりのカロリー(エネルギー量)と糖質の量は以下の通りです。
スーパーなど店頭に出回るもやしのほとんどが「緑豆もやし」と呼ばれる種類のものです。生の緑豆もやし100gの場合、カロリーは15kcal、糖質の量は1.3gになります。
また市販されているもやしは一般的に1袋200gほど(廃棄率:3%、廃棄部位は種皮・損傷部)で、食べられる部分は194g。もやし1袋あたりのカロリーは29kcal、糖質の量は2.5gとなります。
その他の野菜と比べると?
ここで、もやしと同じように1年中安定的に手に入りやすい野菜とカロリー、糖質の量を比較してみましょう。
「もやしってほとんどが水分だから、もっとカロリーが低いと思った」という方もいるかもしれません。たしかにもやしは約95%が水分からできており、野菜の中でも水分量がとても多い食材です。
しかし実際のところ、100gあたり20kcalのトマトや100gあたり21kcalのキャベツと比べると、5kcalほどしか違いがありません。また、にんじん(100gあたり35kcal)や玉ねぎ(100gあたり33kcal)といった比較的水分量が少ない野菜と比べると、もやしのカロリーは2分の1ほどになっています。
一方で糖質に注目してみると、他の野菜と比べて一段と低い値を示すことがわかります。カロリーはほとんど変わらないトマト(100gあたり糖質3.7g)、キャベツ(100gあたり糖質3.4g)と比較しても、糖質の量は半分以下。これはもやしの食物繊維が豊富であることが影響していると考えられます。
他のスプラウト類と比べると?
もやしは豆苗やブロッコリースプラウトなどの発芽野菜(スプラウト)の仲間として知られています。
スプラウトとは、種子から発芽したばかりの植物の新芽のこと。たとえば、近年人気の高い「豆苗」はエンドウ豆が発芽したもの、「ブロッコリースプラウト」はブロッコリーの種子が発芽したものです。
これらのスプラウト類と比べると、もやしのカロリーは高いのでしょうか?以下の表にまとめました。
豆苗は100gあたり27kcal、ブロッコリースプラウトは100gあたり18kcalです。100gあたり15kcalのもやしは、スプラウト類の中でも比較的低カロリーであることがわかります。
※参照:村上農園「スプラウトについて」
加熱するとカロリーは変化する?
茹でたもやし100gあたりのカロリーは12kcalです。これは生のもやしと比較して3kcalほど少ない値です。
しかしこれは茹で調理によってカロリーオフにつながったというわけではなく、水分量などが変化したことによるものと考えられます。加熱でもやしそのもののカロリーが減ったり増えたりすることはありません。
また、もやしは生のまま食べることは推奨されていないことをご存じでしょうか?そもそも生食用として栽培されていないことや、食中毒のリスクがあることがその理由です。もやしは生のままではなく、かならず加熱してから食べるようにしましょう。
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※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
品種によるカロリーの違い
もやしの代表的な品種といえば、ここまで紹介してきた「緑豆もやし」です。しかし、日本で育てられているもやしには他にもさまざまな種類があり、品種によってカロリーも異なります。
ブラックマッペもやし
緑豆から発芽させた「緑豆もやし」に対し、「ブラックマッペもやし」はブラックマッペと呼ばれる黒豆から発芽した新芽を栽培したものです。緑豆もやしよりも細身で、甘みを強く感じます。
ブラックマッペもやし100gあたりのカロリーは17kcal。緑豆もやしよりも2kcalほど高いだけで、カロリーにあまり差はありません。
大豆もやし
「大豆もやし」は大豆の新芽を栽培したもので、大豆が付いたままの状態で流通しています。太い見た目とコクがある味わいが特徴で、おもに炒め物やナムルなどに使われます。
大豆もやし100gあたりのカロリーは29kcalで、緑豆もやしの2倍ほどのカロリーを持ちます。これは大豆もやしが他のもやしよりもたんぱく質や脂質を多く含むことが影響しているためと考えられます。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
もやしは意外にも栄養がある!含まれる栄養素と期待できる効果
「もやしにはあまり栄養がない」と聞いたことはありませんか?しかし実際にもやしの栄養成分をみてみると、私たちの健康に役立つ成分が含まれていることがわかります。
アスパラギン酸
もやしに含まれる栄養成分の中でも特に注目されているのが「アスパラギン酸」です。もやしの中でも大豆もやしにとりわけ多く含まれます。アスパラギン酸とはたんぱく質を構成するアミノ酸のひとつであり、身体の中で窒素やエネルギーを代謝するサポートをしてくれます。
人に対する研究はまだ十分ではありませんが、アスパラギン酸は疲労回復に働きかける効果が期待されています。またアミノ酸は身体の筋肉を維持するために欠かせないため、しっかりと摂ってほしい栄養素です。
ビタミンC
ビタミンCにはコラーゲンの生成を助ける役割があり、肌の弾力やうるおいをキープする効果が期待できます。またビタミンCは鉄分の吸収をよくしてくれるため、貧血気味の方は鉄分の多い食品と一緒に摂るのがおすすめです。
カリウム
もやしにはカリウムも多く含まれます。カリウムは身体の中の余分なナトリウムの排泄を促し、水分量を調節してくれるため、むくみや高血圧の予防にもつながります。ダイエット中にむくみが気になるという方にも大切な栄養素ですね。
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もやしに栄養がないって本当?栄養がたっぷり摂れる食べ方を管理栄養士が紹介!
もやしは見た目やその味わいから「栄養がない」と思っている方も多いのではないでしょうか。でも実は、もやしには身体に不足しがちなさまざまな栄養素が含まれており、ぜひ取り入れたい野菜のひとつです。今回はもやしの栄養と期待される効果、おすすめの食べ方について管理栄養士が解説します。
もやしを使った料理のカロリーと糖質の量は?
もやしは調理法や調味料、合わせる食材によってカロリーや糖質の量が大きく変わってきます。
たとえば蒸し調理や茹で調理だと比較的低カロリーですが、油を使って炒めたり、マヨネーズやごま油など脂質の多い調味料で味付けをしたりすると、カロリーが高くなります。ダイエット中にはレシピの調理法や味付けもしっかりと確認してみましょう。
いくつか具体例として、もやしを使った料理のカロリー・糖質の量(1人分)をご紹介します。
小松菜と豆もやしのレンジナムル(62kcal、糖質1.0g)
小松菜と豆もやしのレンジナムル
小松菜、大豆もやし、白いりごま、○にんにくチューブ、○鶏ガラスープの素(顆粒)、○ごま油
調理時間:10分
ツナともやしのレンジ和え(156kcal、糖質2.2g)
ツナともやしのレンジ和え
ツナ缶詰(油漬け)、もやし、○にんにくチューブ、○鶏ガラスープの素(顆粒)、○ごま油、塩・こしょう、白いりごま
調理時間:5分
牛肉と豆もやしの韓国風炒め(278kcal、糖質8.8g)
牛肉と豆もやしの韓国風炒め
牛こま切れ肉、豆もやし、焼肉のタレ、○焼肉のタレ、○コチュジャン、○酒、ごま油
調理時間:10分
ニラもやしチーズチヂミ(317kcal、糖質27.5g)
ニラもやしチーズチヂミ
もやし、ニラ、卵、○ピザ用チーズ、○片栗粉、○薄力粉、○鶏ガラスープの素(顆粒)、●ポン酢、●コチュジャン、●ごま油、ごま油
調理時間:15分
栄養あり&低糖質なもやしをダイエットメニューに取り入れよう!
ダイエット向きの食材として人気が高いもやし。まったくカロリーがないわけではありませんが、比較的低カロリーで糖質の量も少なく、さまざまな栄養素が含まれている野菜です。
もやしばかり食べるのは栄養の偏りにつながるため好ましくありませんが、他の食材と組み合わせながら、ダイエットなどでも上手に食事に取り入れていきましょう。