あらゆるお金の疑問にお金のプロ・ファイナンシャルプランナーが応える「お金のカウンセリングルーム」。最初の相談者は子供の教育費で家計が圧迫しており、貯金に悩んでいるご家族。子供を持つ多くの家庭が抱える悩みにFPが答えます。
「お金のカウンセリングルーム」とは
「なかなかお金が貯まらない」、「入っている保険はこれでいい?」、「これから家を買うけど、住宅ローン選びのポイントは?」、「将来に向けて資産運用したい」などなど、お金の疑問や質問はあるけれど、誰に相談したらいいか分からない!そんな時に、覗いて欲しいのが、この「お金のカウンセリングルーム」です。
お悩みを抱えた相談者の家計を、ファイナンシャルプランナーがお金の知識と経験と知恵で明るい未来へ導く過程を書き起こしています。
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コロナショックで収入が大幅減!老後の生活が心配です|お金のカウンセリングルーム
あらゆるお金の疑問にお金のプロ・ファイナンシャルプランナーが応える「お金のカウンセリングルーム」。最初の相談者はコロナショックで収入が激減した女性の老後の生活についてです。
今回の相談者さん
・佐々木 隆さん(仮)
・千葉県在住
・家族構成:夫(46歳)、妻(48歳)、長女(高校2年生)、長男(小学5年生)
・夫の年収750万円(手取り収入:580万円)、妻の年収100万円(パート勤務)
【相談内容】教育費がかさみ、貯金が増えない。これから大学進学を控えているが、どうすればいい?
佐々木家で家計管理をしているのは、今回ご相談いただいたご主人です。
現在、高校2年生の長女が県外の私立大学への進学を希望しており、大学4年間の学費や一人暮らしのための仕送りなど計算すると合計1200万円程度。
その後、次男も大学進学を予定しています。
奥様は教育熱心で、お子さんに多くの体験をさせてあげたい、と幼少の頃よりできる限りの習い事へ通っていたそうです。
奥様が働きだしたのは、下のお子さんが小学校へ上がってから。それまでは、独身時代の預貯金を切り崩すなどして生活していたため、現在の家計資産は預貯金が160万円程度。
学資保険は準備されており、長女120万円分、長男260万円分ですが、付け焼刃にしかなりそうにありません。
今後、ご主人の収入は上がっていく予定ですが、このままでは貯蓄は底をつきそうなのが今の悩みとのこと。
FPからのアドバイス
こちらが佐々木さん(仮)の家計収支です。
家計を握るご主人がしっかり管理をされており、家計の無駄はすでに十分カットされている印象を受けました。
家計のプラスを増やす手っ取り早い方法としては、「収入を増やす」こと=妻の収入アップ、です。
しかしこれを奥様に提案したところ、普段のお金に関する不満が勃発。
ご夫婦の場合よくあることですが、家計管理をされている人は、家計管理をしていないパートナーに対してお金の使い方に苦言を言ってしまいがちです。
お金の使い方を指摘・制限された側は、良い気はしません。しかし、家計管理をする側は、「お金がないのに、なんで分かってくれないのか」とストレスに感じてしまい、家計は改善されていきません。
この問題は、「情報共有ができていないこと」が原因です。
「お金がないから節約」ではなく、家計を<見える化>して夫婦で話し合うことが大切です。上記のように表を作ると、分かりやすいですよ。
また、今回のご相談で、教育費に関しても「一人暮らしの費用をどこまで支援するか」「子どもにも協力してもらうか」などを話し合うことができました。
佐々木家では、当初は長女の大学進学にあたり、奨学金を利用し、その返済は親が返済する計画でした。
しかし、無理に親が奨学金の返済をして、自分たちの老後費用が足りず、結局は子どものお世話になるということもありえます。
むしろ今後のお金の流れを考えると、佐々木家はその可能性が非常に高いので、無理に親が奨学金の返済をすることは危険だと感じました。
今の時点で、お子さんとしっかりお金について話し合い、「大学に通う間は、月2~3万円程度はアルバイトをして、自分の使うお金は自分で準備する」「社会人になったら、月に2万円は奨学金返済に充てる」など、具体的な教育費の話をしておくことも大切です。
このように、家庭で金銭教育をしておくことは、お子さんが社会に出た時にもきっと役立ちます。
また、現在は「給付型奨学金」、つまり、返済不要の奨学金の実施団体も多くあります。
世帯収入、進学先によって対象とならないこともありますし、もちろん、お子さんの成績などの評価も重要です。
長女の進学先や家庭状況から考えると、以下の11の団体の奨学金に募集できることが分かりました。
- 公益財団法人石橋奨学会
- 公益財団法人岩國育英財団
- 一般財団法人大森晶三記念財団
- 公益財団法人川村育英会
- 公益財団法人森下仁丹奨学会
- 一般財団法人野崎わかば会
- 一般財団法人牛久保・天田育英財団
- 公益財団法人尚志社
- 一般財団法人大黒天財団
- 公益財団法人山田長満奨学会
- 公益財団法人キーエンス財団
給付型奨学金は、4年間支給があるものもあれば、「1年間のみ」、「3年次から応募」できるものなどもあります。
上記は、1年~4年生までの4年間支給を受けることができるものなので、それ以外の奨学金も合わせると、応募できる数は増えます。
「他の奨学金と併用できない」「団体が主催する交流会へ参加する」など、それぞれの団体で条件は様々です。
募集期間も限られているので、早めに調べて活用できれば、教育費の家計負担は大きく軽減できます。
具体的な対策
今回の相談内容に対する対策をまとめました。
1.家族で話し合う
お金をかけたいポイントは、一人一人違います。
家族の「譲れない支出」「努力すれば削れる支出」について話し合ってみましょう。
むやみに家計を引き締めると、モチベーションは保てません。
佐々木家では、今回は、奥様の特別ボーナスとして1回だけ奥様の月収1か月分を自由に使う、というルールを取り入れてみることにしました。
「奥様の収入アップで家計改善を」という提案に対しては、現在は今以上に働く時間の確保が難しいとのこと。働き方に関しては現状維持とすることにしました。
また、教育費について、大学進学以降はお子さんにも協力してもらい、奨学金の返済は親子でしていくことを検討してみましょう。
2.制度を活用する
奨学金に関して、日本学生支援機構の奨学金が認知度は高いのですが、実はそれ以外にも多くの制度があります。
日本学生支援機構の「奨学事業に関する実態調査(平成28年度)」によると、奨学金の実施団体はなんと5,028団体!
そして奨学制度は11,204の制度があり、そのうち約7割は返済不要の「給付型」です。
奨学金の申請は手間がかかりますが、使える制度はフル活用したいものです。高校2年生の今なら、まだ募集時期には間に合いますので、今から準備しておくことを、とアドバイスさせていただきました。
相談を終えて
ご主人から「プロ目線でのアドバイスをもらい、妻とも話し合いができました」と一言いただきました。
家計管理をされているご主人が将来の資産額を計算され、「赤字になる!どうしよう!」と一人で抱え込まれていたので、家族に協力してもらうこと、車の購入時にはローンを活用するなどして柔軟に対応し、教育費という家計の危機を乗り越えていけるよう、メリハリをつけた家計づくりをして頂けたらと思います。