エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食費の割合のことです。生活水準を表すといわれていますが、我が家のエンゲル係数は平均と比べてどのくらいか、気になりますよね。この記事では、エンゲル係数の基本や平均値だけではなく、食費を減らすコツもお伝えします。
エンゲル係数とは
エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食費の割合のことです。
食費は食料品だけでなく、外食も含みます。食費は日常生活において必要不可欠な支出であるため、エンゲル係数が小さい方が生活にゆとりがあるとされています。
エンゲル係数の計算方法は次のとおり。
エンゲル係数(%)= 食費 ÷ 消費支出 × 100
「消費支出」はいわゆる生活費にあたり、食費のほかに住居費、光熱・水道費、被服費、交通・通信費、教育費、教養娯楽費などが含まれます。
貯金や税金、ローンの返済、生命保険・社会保険などの保険料などは含まれません。
エンゲル係数が高いほど「生活水準が低い」?
一般にエンゲル係数が高いほど生活水準が低いといわれています。これは、食費の支出は不可欠で削減が難しいものであり、所得が低い層では食費が生活費の大きな割合を占めてしまうため、と考えられています。
所得が高くなれば外食や食材にかける金額が上がるため、食費は増加する傾向がありますが、食費以外の支出の金額も増えるためエンゲル係数は小さくなる傾向があります。
反対に収入が低すぎる場合、ある額以下になると食費が削られるために、エンゲル係数が小さくなるという逆転現象がみられることも。
エンゲル係数の平均値
総務省の家計調査により、食費の平均やエンゲル係数が毎年公表されています。2020年の家計調査では、2人以上世帯のエンゲル係数は27%となっています。
年収別に、2人以上世帯の年収別の食費の平均、エンゲル係数を確認してみましょう(※)。
先ほど伝えたように、所得が高くなるほど食費は増えますが、エンゲル係数は小さくなっていることがわかります。
ただし、地域によってエンゲル係数は変化します。一般に都市部のエンゲル係数は大きく、地方は小さくなります。上記の数値は平均値であり、あくまで目安として考えましょう。
※出典:総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯「表番号 2-3 年間収入階級別」
昔に比べるとエンゲル係数は小さくなっている
統計がはじまった1963年には、エンゲル係数は38.7%と大きいものでしたが、その後は年々減少がみられ、2005年頃にはいったん22.9%にまで大きく減少しました。これは生活が豊かになったことを象徴しています。
しかし、2005年以降は上昇傾向に転じています。これは世帯主の高齢化による収入の減少、調理食品や外食の利用割合の増加など、さまざまな原因が考えられています(※)。今後も食事スタイルの変化や、社会経済、景気の状況により変動していくでしょう。
※参照:総務省統計局「明治から続く統計指標:エンゲル係数」、櫨 浩一「エンゲル係数の上昇を考える」
食費を減らすコツ
食費を減らすには、まずは食費の中で割合が高いものを見直すことが大切です。2020年はコロナ禍の影響もあり、2019年に比べると外食費は26.7%減少し、反対に調理食品や肉類、酒類の利用が高まっています。
調理食品の割合が多ければなるべく自炊を心がける、酒類や菓子類などの嗜好品が多ければ買う量を見直してみる……など、割合の高いものから見直していきましょう。
ほかにも以下のことを心がけることで、食費を減らすことができます。
・コンビニの利用を減らす
・飲み物はマイボトルを利用する
・買い物に行く頻度を減らし「ついで買い」を防ぐ
・食材をムダにせず使い切る
ただし食費は、切り詰めすぎると食生活が偏ってしまい、健康を損なう恐れもあります。「使いすぎている部分を見直す」という気持ちで食費の見直しを行いましょう。
エンゲル係数を活用して家計管理に役立てよう
エンゲル係数は平均値と比較するのもよいですが、毎月家計簿をつける際に計算しておくことで、月ごとの食費の割合を把握するのにも役立ちます。ぜひエンゲル係数について知り、日々の家計管理に役立ててくださいね。