新型コロナウイルスの影響で外出が減り、漠然とした不安が湧いたりイライラがつのったりする今日この頃。気分を変えて、野草茶でのリラックスタイムはいかがでしょうか?今回ははじめてでも簡単、身近な葉や草を使った野草茶の作り方をご紹介します。お子さんと作ってもとても楽しいですよ。漢方養生指導士の筆者が食薬養生の観点を基に、野草の味や香りの楽しみ方を解説していきます。
野草茶とは
野草茶とは、自然に生えている植物の葉や茎、根などを乾燥させて作ったお茶です。つぎつぎと繁殖していくドクダミやスギナ、美味しい果実を実らせるためのサポートをする葉っぱ達。そういった力強い生命力を丸ごといただくお茶です。
野草茶の種類
野草茶の原料となる植物は様々ありますが、手に入りやすい身近なものをいくつかご紹介します。
これらはとても美味しいお茶になります。他にもシソ、キク、松葉、イチョウ、などなど。
野草茶の効能
- ドクダミ・・・・便秘、利尿、皮膚炎、抗菌など
- クマザサ・・・・口臭・体臭予防、胃腸疾患、抗菌など(*1)
- スギナ・・・・・利尿、膀胱炎など(*2)
- ヨモギ・・・・・冷え性、生理不順、膀胱炎、貧血など(*3)
- ビワの葉・・・・食欲増進、疲労回復、セキ止めなど
- 柿の葉・・・・・肌の新陳代謝、利尿など
*1…ワーファリンなど血流改善のための薬を飲んでいる方は注意。心配な方は医師や薬剤師に相談しましょう。
*2…カリウムが豊富です。心臓、腎臓の機能不全の方は注意。
*3…キク科アレルギーの方は注意。
上にあげている野草茶はカフェインを控えている方にもおすすめです。野草茶には利尿作用があるものが多いので、むくみがちな女性、妊婦さんもぜひ試してみてください。
ただ、どんな食材にもなんらかの効能がある反面、効果を過剰に期待した大量摂取には注意が必要です。一日一杯程度を目安に長期連用せず、まず作ることを楽しみ、自然の恵みを頂戴する、味や香りを体験する、という気持ちで軽やかにチャレンジしてみてくださいね。
野草茶の作り方
では、もっとも身近なドクダミを例に作り方をご紹介します。作り方は採取・乾燥・焙煎の3段階。他の草も基本的に同じです。
【採取】
ドクダミは、家の裏手、原っぱの木陰や壁際などに多く密生しています。道端のものは排気ガスにさらされていたり、動物の排泄物がかかっていたりするかもしれないので、ひっそり生えていて虫やごみがついていない、姿の綺麗なものを選びましょう。繁殖力があるため雑草として困っているお宅もあると思いますので、ご近所の宅地内に生えているものを、ちょっと声をかけて採らせていただくのもよいですね。
また、ドクダミ茶にするには花の咲いている時期(5月~7月)に採取するのが一番美味しく、花、葉根のついた全草が効能も期待できるといわれています。根っこごと(*4)引き抜いてください。
*4…根まで採取するのはドクダミだけで、他の薬草は地上に出ている茎や葉で作ります。
なお、ドクダミの他の薬草についても採取時期や注意点を記します。
ヨモギは見分けが案外難しいので、図鑑などを参考に採取してみてください。ヨモギは葉の裏が白 くて産毛があります。似ている草の一つブタクサは、全体的に細いイメージで葉の裏は緑です。
【乾燥】
採取したドクダミは土をよく落とし、水をたっぷり張ったボウルの中でしっかりと洗います。水気を切ってから、根元をひもでくくって吊るしたり、ザルや新聞紙に広げるなどして風通しの良い場所で乾燥させてください。時々ひっくりかえしたり、内側のものを外に出したりしながら数日かけてカラカラになるまで乾かします。
うまく乾かせないとカビが生えることもありますので、乾きが遅いようなら1~2分電子レンジにかけてから再び乾かす、を繰り返してみてください。パリパリになればOKです!
またビワの葉で作る場合は、水洗いする際に裏側の産毛を布巾や歯ブラシなどで取ってから乾燥させてください。
【焙煎】
乾燥したままでもお茶として使えますが、ドクダミは独特の香りがあるので焙煎するととても飲みやすくなります。フライパンでじっくり焦がさないよう乾煎りしてください。どんどん香ばしい香りが立ってきますよ。他の野草茶も、乾煎りすると乾燥しただけよりも更に香ばしさが味わえます。完全に熱が冷めたら、茶筒や瓶に乾燥材と一緒に入れて保存してください。
【淹れ方】
水出しや急須で、煎茶と同じように飲めますが、ぜひお鍋で煎じてみてください。鉄製のものは鉄と野草の成分が結合し化学反応を起こすので、風味が変わったり薬効が薄れる場合があります。ホーローやアルマイトのお鍋でどうぞ。煎じるとしっかりと味や香りが楽しめるのでおすすめです。煮すぎると苦みが出るものもあるため、2~3分を目安に火を通すのがいいでしょう。
複数の野草を使ったブレンドも美味
単体でも美味しい野草茶ですが、色々作っておいてブレンドするのもとても楽しいですよ。組み合わせをいくつかご紹介します。
・ドクダミ+ほうじ茶
この組み合わせは急須でも香ばしく淹れられます。さっぱりしていて食事にも合います。
・ドクダミ+クマザサ
鍋で煎じると甘味と香ばしさが味わえます。深みのあるコクがとても美味しいです。
・柿の葉、ビワの葉、シナモンスティック
二種類の甘い香りの葉っぱとシナモンの香りがケーキなど甘いものにもぴったり。
・スギナ+ビワの葉+クローブ+セージ
クローブやセージが苦手でない方におすすめ。食後にいただくと、独特の風味が口の中をさっぱりさせてくれます。
このほかにも、炒り黒豆やユズの皮を干したもの、ローズマリーなどのハーブ、カフェインを気にしない方は緑茶、紅茶、中国茶などを組み合わせたりして、おうちでのリラックスタイムを楽しんでみてください。実験感覚でお子さんも楽しめると思いますよ。
野草のお茶以外の使い途
野草は昔から、お茶以外にも生活の中で活用されてきました。こんな使い方もあります。
【入浴剤】
ドクダミやビワの葉、柿の葉、ヨモギは入浴剤にもなります。ネットやガーゼの袋に入れて浴槽に入れてみてください。お鍋で煮出してからその煮汁を浴槽に入れる方法もあります。あせもなどの皮膚の疾患に穏やかな効果があります。
【かゆみ止め】
ドクダミの生の葉っぱはかゆみ止めの効果もあります。綺麗に洗って水けを取ったドクダミの生の葉を、ザクザク切ってホワイトリカーや焼酎に漬けるだけです。アルコールに弱い方や小さなお子さんには、生の葉をすりつぶして水に溶かして試してみてください。その場合は日持ちしないので冷蔵庫で保存し、数日で使い切るようにしましょう。我が家の犬は夏になると皮膚炎を起こすのですが、これでかゆみが鎮まります。対処療法ではありますが、かゆみが止まるのはとても嬉しいことです。
身近な自然に触れ、自然の恩恵を感じながら日々の暮らしに野草取り入れて楽しんでください。採取から実際にお茶にしていただくまで、五感をフルに使って楽しむことでストレスが緩和されていくのを感じられると思います。おうちにいる時間をたっぷり楽しみましょう!
※毒性のある野草もありますので、判別がつかない野草は摘まないようにしましょう。