トンカツやコロッケなどのフライ物は家族が喜ぶものの、油の処理に加えて、衣をつける手間もネック。そこで提案したいのが「2ステップ衣」。衣をつける際は「小麦粉→たまご→パン粉」という手順が一般的ですが、今回は2ステップでできるお手軽な衣を3パターン紹介。味や見た目の違いもレポートします。
簡単2ステップでフライ衣
今回は「小麦粉→たまご」の工程を1ステップに短縮して、その後にパン粉をつけるという2ステップのフライ衣でヒレカツを作り、比較してみました。行った短縮版1ステップは以下の3パターンです。
- バッター液にくぐらせる
- 小麦粉+水を混ぜたものにくぐらせる
- マヨネーズを塗る
※肉の使用部位や大きさによる違いをできるだけ少なくするため、ブロックの豚ヒレ肉を約1.5cmの厚さ、重さ30gに切り出したものを使用しました。
※揚げる際の温度変化や時間を統一するため、同じ鍋の中で3パターン同時に同時間揚げました。
簡単ステップ例1: バッター液にくぐらせる
バッター液とは、小麦粉とたまご、水をよく混ぜたもの。実は飲食店などではこのバッター液をを使用しているところもあります。バッター液に食材をくぐらせて、パン粉をつけるだけの2ステップです。
フライ衣の材料(ヒレカツ8枚程度分)
たまご(Mサイズ) 1個 / 小麦粉 大さじ4 / 水 大さじ2
工程
1. 全ての材料をボウルに入れて、泡立て器などでなめらかになるまでよく混ぜる。
2.塩胡椒した豚ヒレ肉を1にくぐらせる。
3.パン粉をしっかりとまぶしたら完成。
簡単ステップ例2: 小麦粉+水を混ぜたものにくぐらせる
バッター液のようなとろみのある液を、たまごを使わずに作ります。材料が1つ少ない分、簡単ステップ例1よりお手軽な衣です。
フライ衣の材料(ヒレカツ8枚程度分)
小麦粉大さじ4 / 水大さじ4
工程
全ての材料をボウルに入れ、泡立て器などでなめらかになるまでよく混ぜる。この後の工程は【簡単ステップ例1】と同じ。
簡単ステップ例3: マヨネーズを塗る
こちらはマヨネーズを塗るだけ。他の2つの方法に比べると、最もお手軽な方法ですね。
1.豚ヒレ肉の表面にバターナイフなどでマヨネーズを塗る。
2.パン粉の上にマヨネーズを塗った面を下にして置き、反対面にもマヨネーズを塗る。全体にパン粉をしっかりとまぶしたら完成。
以上で3つの方法の下準備がすべて完了しました。揚げる前の3つを比較すると……
衣が少し多めについた2が大きく見え、衣のつきが他の2つより少なかった3は少し小さく見えますね。衣のつき具合は液の粘度によって変わってくるので、写真の状態よりも多くつけたい場合、1・2は水分量を減らすと良いでしょう。マヨネーズを塗る場合はどうしても薄衣になってしまいます。
ちなみに、通常の手順だと、衣をつける前に塩胡椒で下味をつけるという作業が発生します。簡単ステップ例の1と2ではその作業が必要ですが、3で使用するマヨネーズには塩胡椒が入っているので下味のステップが不要です。そういう意味でも下味~衣をつけるという手順において、3が最も簡単ですね。
そして、いざ揚げてみると……
1と2の大きさはほとんど変わりませんが、3は明らかに縮んでいます。また、色付きは2が少し薄く、1・3の方がこんがりとしています。1と3が良い色付きになるのは、たまごが入っているためだと考えられます。
食べ比べてみると、1はサクサクからりと揚がっていて、肉もしっとりとしたおいしいヒレカツに仕上がっています。2は1よりザクザクとした食感で、肉のしっとり感は1と変わりません。たまごを使っていない分1より風味が少ない気がしますが、揚げ物はソースなどをかけて食べることがほとんどなので、風味の違いは気になる程ではないでしょう。
3はサクサクというよりはしっとりとした食感。1・2に比べて衣が剥がれやすいのも特徴的でした。肉は見た目には縮んでいるものの柔らか。これはマヨネーズに入っている酢と乳化した油が、肉を柔らかくするのに役立っていると考えられます。他の衣とは違いマヨネーズ自体に油が入っているので、油に入れたとき肉の温度が上昇しやすくなり、1・2に比べて早く揚がります。肉が縮んだのも、1・2よりも肉への火の入りや油の温度の上昇が急だったため、高温になると収縮するという肉の筋繊維の性質が理由でしょう。
どの方法でも本来の3ステップと同じくらい、ヒレカツをおいしく揚げることができました。1〜3のどれを選ぶかにより見た目や食感に少しずつ差が出てくるので、ぜひ試してみて、好みのものを見つけてくださいね。