2023年も続く物価高
2022年の原油高騰による世界的な物価高は、日本の多くの家庭にも影響を与えた。2022年12月に総務省が発表した2022年11月の消費者物価指数は、2020年を100として103.9。前年同月比で3.8%上昇した。この物価高はとどまるところを知らず、2023年も電気やガス、日用品だけでなく食パンや即席めんなど身近な食品の更なる値上げも予定されている。1月から4月に値上げが予定される食品は、大手製粉メーカーは、パスタ、パン粉などを約2〜25%の値上げが予定されており、帝国データバンクによると、2023年1月から4月までに値上げが決まっている食品は、すでに7,000品目を超えている。そんな状況の中で、True Dataが発表した2022年7月の食品スーパーマーケットの売上ランキングによると前年同月比で乳酸菌飲料(133%)や健康関連食品(111.7%)が売上を伸ばしている。
健康への自己投資を55.8%が行う
明治安田生命が2022年9月に発表した「健康」に関するアンケート調査では、健康増進に向けた自己投資をしていると回答した人が、55.8%と回答している。その中、食品業界においては、特定保健用食品(トクホ)に加えて機能性表示食品がトレンドとなっている。機能性表示食品制度の届出数は、機能性表示食品制度が始まった2015年には172件、2021年には1278件となり年々増え、届出総数は8年目を迎えた2022年5月25日時点で5504件となった。これは、トクホが30年間で許認可数1061件(2022年4月22日現在)であるのと比較すると、20倍以上のスピードとなっている。
機能性表示で“価格”に加えた新たな選択肢
機能性表示食品は、生活者にとって分かりやすいというメリットだけでなく、企業側にとって、生活者が食品を選ぶ際の「値段」以外の基準となり、価格変動による影響を受けにくい安定した価値をつくれるチャンスとなると言われている。
(株)矢野研究所の2022年3月の発表によると、機能性表示食品の市場規模はメーカー出荷金額ベースで、2020年度が3,044億円(前年度比19.7%増)と推計し、2021年度は3,278億3,000万円(同7.7%増)を見込むと言われており、成長が予想されている。この機能性表示食品を食品種類別でみると、サプリメントが2020年度には全体の53.6%を占めているが、いち早く機能性表示食品化をしていたため、2021年度には成長が鈍化すると見込まれている。一方、一般食品は清涼飲料などで2020年度で機能性表示食品化やヒット商品が生まれたことで、2021年度は更なる成長が見込まれています。また、生鮮食品に関しても受理件数の伸びは鈍化ながらも、馴染みのある野菜・果実などで機能性表示食品としての発売が見られ、2021年度には大きく市場が拡大するものと見込まれ、小売流通各社を救う一手となるのではと期待を集めている。
価格変動が激しい野菜で新たなチャンス
生活者が価格の変動を実感しやすい野菜などの生鮮食品。特に2022年は物価高騰で、野菜の価格上昇が生活者・生産者双方に大きな影響を与えた。そんな中、消費者に値段だけでなく、商品購入の基準となる「機能性表示」は生鮮食品の新たな価値創造のチャンスになると期待されている。
2022年には、野菜の品種開発などを行っているタキイ種苗(株)が開発し、(株)広瀬青果で生産管理されたタマネギが、商品名「ケル玉」として生鮮タマネギ初のケルセチンの機能性表示の届出を受理され、機能性表示のパッケージで2023年1月15日に発売このように、身近な野菜でも機能性表示食品が広まっている。
今後、サプリメントだけでなく、一般食品や生鮮食品にまで広がりをみせている機能性表示食品市場は、物価高騰で価格競争に陥り苦境に立たされている生産者や小売を救う一手となるか、注目されている。
<ケルセチンで生鮮タマネギ初の機能性表示食品に 1月15日発売>
商品名:ケル玉(X)
届出表示:本品にはケルセチンが含まれています。ケルセチンを50㎎/日(アグリコン当量)摂取すると、中高年が加齢に伴い低下しがちな積極的な気分、生き生きとした気分、やる気を維持する機能があることが報告されています。本品を140g(約1/2玉)食べると機能性が報告されている1日当たりの機能性関与成分(ケルセチン)の量の50%を摂取できます。
発売日:2023年1月15日(日)
販売店:関西スーパー