はじめてキャンプに行ったのは、物心つく頃だった。
川沿いにテントやタープを張り、焚き火を用意して、シシカバブというそれまで食べたことのない食べ物を食べた。
日常を過ごす自分の町とはまったく違う、開放感に溢れた雰囲気に、子供らしく、ただただ心が踊りはしゃいでいたっけ。
そのころに見た、グラス片手に「ぷはー」と言いながらビールをおいしそうに飲む大人たちの姿は、目に焼き付いて離れない。
なんども行ったことのあるキャンプだけど、冬キャンプは未経験だった。
大人になった今体験する、はじめての冬キャンプ。
雪がこんこんと降る中に、うさぎの足跡らしきものが見える。
大人になるといろんなものが違って見えてくるけれど、冬のキャンプ場で温かい料理を作りながら飲む『ロングルートウィット』は、また新しい景色を私に届けてくれた。
そしてなにより、子供の頃に見た大人たちのあの幸せそうな顔に、自分もなっていることに気づいたのだった。
Illustration:natsuru(@NaTsuRuuuu)
Text:山吹彩野