香りや苦みを楽しむ飲み物として、ビールとの共通点が多いコーヒー。そのどちらも好きという方におすすめしたいのが、「コーヒービール」というビアスタイル(ビールの種類)。世界中のさまざまなブルワリーから提供され人気があるスタイルです。
「これまでのコーヒービールのイメージを覆すようなコーヒービールをつくろう!」とスペシャルティコーヒーの専門店「堀口珈琲」とCOEDO BREWERY(以下、コエドブルワリー)がタッグを組みました。すでに2018年にはコラボビール第1弾『澄虎 -Sumatera-』を、2019年には同じコーヒー豆を使った第2弾「澄虎 -Sumatera-」を販売しています。
そして、2020年10月28日(水)に、これまでの「澄虎 -Sumatera-」から味わいを変化させた第3弾ビール『織香 -Worka-』(うぉるか)が販売されました。今年は気軽に楽しんでもらえるようにと初めて333ml小瓶を用意しているそう。
今回は、第1弾、第2弾からの変更点や、実際に飲んでみての味わいをご紹介します。
多様性を伝えるコエドブルワリーと堀口珈琲
コエドブルワリー(埼玉県川越市)は「Beer Beautiful」をコンセプトとするクラフトブルワリー。1996年に埼玉県川越市に創設以降、ビール本来の豊かな味わいと「ビールを自由に選ぶ」楽しみ方を提案しています。
定番ビールとして、さつま芋から造る『紅赤 -Beniaka-』をはじめ、日本の色を冠した『瑠璃 -Ruri-』『白 -Shiro-』『伽羅 -Kyara-』『漆黒 -Shikkoku-』、香り高いホップの魅力を引き出した『毬花 -Marihana-』を提供しています。
堀口珈琲(東京都世田谷区)は「THE NEW COFFEE CLASSIC」をブランドコンセプトに、コーヒーの価値を高め、豊かな暮らしに貢献することを目指す1990年創業のスペシャルティコーヒー専門店。
コーヒー豆の焙煎(ロースト)と販売のほか、コーヒー生豆の供給や喫茶店の運営も行っています。スペシャルティコーヒー専門店として、最高品質の生豆だけを使用。多彩なシングルオリジン(ストレート)とともに、定番ブレンド9種、期間限定の特別ブレンドをラインナップ。コーヒーとフードがさらにおいしくなるペアリングを追求したメニューを提供し、コーヒーの多様な楽しみ方を提案しています。
コーヒーの多様性を感じられる“コーヒービール”を作りたい!
堀口珈琲とCOEDO BREWERYのコラボレーションは2018年から始まりました。そのきっかけは、埼玉県出身でビールが好きな堀口珈琲の営業担当者さんの「COEDO BREWERYさんとコーヒービールを一緒に作りたい!」という熱い想いから。そして、その想いはコーヒーが好きなCOEDO BREWERYのブルワーさんに届き意気投合し、お互いに協力することが決まりました。
お互いの好きから始まったCOEDO BREWERYと堀口珈琲のコラボレーション。「“黒い液色、コーヒーの香ばしい香り、モルトのロースト香”といった従来の画一的なコーヒービールのイメージを覆そう」、「多様な味わいのコーヒーがあることを伝えよう」との想いで開発が進められました。
コラボ当初から両社の職人(ブルワーとロースター)が中心となり、試作と試飲を繰り返し、ベースビールとコーヒー豆の選定を行ったそうです。
初年度である2018年はインドネシア・スマトラ島のコーヒー豆は「LCFマンデリン」、ベースビールは「マイボックスタイル」を選び、商品名を「澄虎 -Sumatera-」(すまとら)と名付けて販売。翌年はコーヒー豆は「LCFマンデリン」のまま、ベースビールを「ラガースタイル」に変更しました。
第1弾、第2弾のコーヒービール
■第1弾「澄虎-Sumatera- 2018」
ベースビール:マイボックスタイル
コーヒー豆:インドネシア「LCF マンデリン」 シティロースト
アルコール度数:6.5%
味わいの特徴:本来深煎りで楽しむマンデリンを通常よりやや浅く焙煎し、軽快かつフレッシュな特徴を表現。浅煎り焙煎豆を思わせる茶褐色、コーヒーの香ばしさと相性のよいトースト香を持つビール。
■第2弾「澄虎-Sumatera-2019」
ベースビール:ラガースタイル
コーヒー豆:インドネシア「LCF マンデリン」シティロースト
アルコール度数:6.0%
味わいの特徴:折り重なる複雑な風味とハーブの様な爽やかな香りが特徴的なビール。
※第1弾、第2弾ともに終売しています。
第3弾はコーヒー豆やビールスタイルを一から選び直し
第3弾となる今年は、これまでの「澄虎 -Sumatera-」とは別の味わいにしようと、お互いの製造現場に改めて出向き、互いのものづくりを深く理解することから始め、一からコーヒー豆やビールスタイルを選び直しました。
数あるコーヒーの中から、ビールと調和しつつも特徴的な香味を有することを条件に絞り込み選んだのは、エチオピア産の「ウォルカ・ハロハディ」シティローストの豆。
名前の由来にもなっている「ウォルカ」は、エチオピアの西南部にあるイルガチェフェからさらに南東に下ったところにあるエリア。この場所にある加工場には、近隣集落からコーヒーチェリーが持ち込まれます。その中でも特に高品質なコーヒーが育つのがハロハディ集落なのだそう!
今回選ばれたコーヒー豆は、ハロハディ集落を訪問した堀口珈琲の生豆バイヤーが太鼓判を押した高品質なもの。シティローストのコクと甘みの中に、華やかな香りと果実感のある余韻がいつまでも続きます。
そして、コーヒー豆を漬け込むベースビールには、ビールとしての飲みごたえとコーヒーとの調和をより重視し、ドイツの伝統的なスタイル「アルト」を選択。麦芽(モルト)は定番のピルスナーモルトにミュンヘンモルトとカラメルモルトを加え、すっきりとした飲み口の中に甘みとコクをプラスし、コーヒーとの親和性を高めたそう。さらには、ホップの量、投入タイミングを調整してホップ由来の香りや苦みを控えめにすることにより、コーヒー由来の華やかな香りと果実感を楽しむことができます。
ビール女子編集部が飲んでみた!
完成したコーヒービールは従来の黒ビールをベースとしたコーヒーポーターやコーヒースタウトの味わいとは明確に異なるそうで、どのような味わいに仕上がっているのかとても楽しみです!
さっそく飲んでみましょう。王冠を開け、グラスに注ぐ時から華やかなコーヒーの香りが広がります。
グラスに注いだ後、光にかざすときれいな赤銅色。すでにコーヒーの香りが広がっていますが、グラスに鼻を近づけると、フローラルでフルーティーな香りも感じられます。
飲んでみると、口の中に華やかな香りが一気に広がります。少し甘みのあるアイスコーヒーのような味わいがあり、苦みは控えめで後味はすっきり。温度が上がってくると、冷たい時に感じていた華やかな香りから落ち着いた香りに変化し、スパイシーな風味も感じられます。ゴクゴクと飲むのではなく、じっくりと味わっていただきたい一杯。
時間や温度による変化を楽しんで
堀口珈琲とコエドブルワリー、お互いの好きから始まったコラボビール。これまでの「澄虎 -Sumatera-」とは異なる味わいを目指し「織香 -Worka-」が完成しました。
ベースビールの「アルト」の中にコーヒーの華やかな香りと果実の風味が、織り重なるように時間差で現れるビールです。温度により香りや味わいの感じ方が変わるので、じっくりと時間をかけて楽しめる一杯です。ぜひ秋の夜長を過ごすお供としてお楽しみください。
『織香 -Worka-(うぉるか)』
- 〇発売日:2020年10月28日(水)
- 〇アルコール度数:5.0%
- 〇原材料:麦芽、コーヒー豆(エチオピア「ウォルカ・ハロハディ」)、ホップ
◯販売情報
・333mlボトル:COEDOKIOSK、堀口珈琲 上原店、ヤオコー、成城石井、川越市内酒販店、西武百貨店池袋本店、伊勢丹新宿店 他
・樽生:COEDO BREWERY THE RESTAURANT、COEDO KIOSK、東京ビアホール 14 他
◯通信販売
・ コエドブルワリーオンラインショップ(数量限定販売)
https://webshop-coedobrewery.com/
・堀口珈琲ネットショップ(11月末までの期間限定)
https://kohikobo.com/html/page77.html - 〇醸造所:COEDO BREWERY