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「ビール」と「発泡酒」って何が違うの?今さら聞けない、ビールのはなし。



こんばんは!「いつでもビール、どこでもビール、いつまでもビール」のライターきのこです。 突然ですが、皆さんは「ビール」と「発泡酒」の違いが分かりますか?

実は2018年4月1日、日本における「ビール」の定義が変わりました。これによって、中身は同じなのに「発泡酒」が「ビール」表記に変わったり、“新定義“とラベルに書かれたビールが発売されたりしています。 ますます「ビール」と「発泡酒」の違いが分かりにくくなった今、定義が変わった「ビール」と「発泡酒」の違いについてご紹介します。気になる酒税についてもご紹介します!

海外のビールが日本では「発泡酒」?

「ビール」と「発泡酒」の区別は、日本の法律で決められた定義に基づいています。海外の法律では「ビール」であっても、日本の法律上「発泡酒」となってしまう銘柄があります。ややこしいですよね。 世界的に「ビール」とは、麦芽・ホップ・水に酵母を加えて発酵させたものです。さらに、ビールの味を調整したり、香味に特徴を出すために、副原料が使用されることもあります。この副原料こそ、ビールの定義が決まる重要なポイントとなります。

「ビール」と「発泡酒」の新定義

さあ、いよいよ本題です。 「ビール」と「発泡酒」の違いは、麦芽比率*と副原料の内容・使用量にあります。
* ”麦芽比率”とは、ホップと水を除いた原料の質量中、麦芽が占める割合のことです。例えば、麦芽比率100%のビールは、副原料が一切使われていないということを表します。
それぞれ確認しましょう!

「ビール」の定義

・麦芽比率50%以上であること。・副原料の重量の合計は、
 使用麦芽の重量の5%の範囲内であること。
「ビール」は使用できる副原料が決まっています。

使用できる副原料

(1) 麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、デンプン、糖類、または苦味料もしくは着色料
(2) 果実・果汁や香味料(新定義で追加)
次のような物品です。
①果実
②コリアンダー・コリアンダーシード
③香辛料(胡椒、山椒、シナモンなど)
④ハーブ(カモミール、バジル、レモングラスなど)
⑤野菜(かんしょ、かぼちゃなど)
⑥そば、ごま
⑦含糖質物(はちみつ、黒蜜など)、食塩、みそ
⑧花
⑨茶、コーヒー、ココア(これらの調整品を含む)
⑩牡蠣、こんぶ、わかめ、かつお節


「発泡酒」の定義

ビールと同じ原材料を発酵させたもので、 ・麦芽比率50%未満のもの
・麦芽比率50%以上であっても、
 ビールに使える原料以外の原料を使用したもの
・麦芽比率50%以上であっても、
 規定量を超えて副原料を使用したもの これらが「発泡酒」です。但し、蒸留酒等を原料に含むものを除きます。

「ビール」は制限が細かく設けられています。麦芽比率50%以上で、副原料は使用できるものが限られている上、使用できる量までも制限されています。それに対し、「発泡酒」はなんだか自由ですね。麦芽を使用していれば、副原料はどんなものでも、どれだけでも使用できます。


ここで注目です! 同じ発泡酒の中で、「麦芽比率50%」が境目になっているのをお気付きでしょうか? この境目は、私達ビールファンにとって気になる「ビールの値段」に関わります。

「発泡酒」は「ビール」より安いの?

ビールや発泡酒を買う時、値段って気になりますよね。発泡酒の方がビールより安い、というイメージがあるのではないでしょうか? 酒税法では麦芽比率によって酒税が設定され、それが価格に影響します。ここで先程の「麦芽比率50%」の境目を思い出してみましょう。

「ビール」より安くなるのは「麦芽比率50%未満の発泡酒」です。

この「麦芽比率50%未満」の発泡酒は、酒税が安いので『節税型』発泡酒と呼ばれます。このことを知らない私の父は、発泡酒表記のクラフトビールの値段を見て、「発泡酒なのに安くない!」と言います。

気になる酒税はいくら?

では、ビール類の酒税を確認しましょう! 350mlの缶1本当たりの酒税は次のようになります。
ビール77円 発泡酒麦芽比率 50%以上77円 麦芽比率 25%以上50%未満62円 麦芽比率 25%未満47円 新ジャンル28円
このように、麦芽比率が50%以上の発泡酒は、ビールと同じ酒税が掛かっているので、ビールと同じ価格設定になるんですね。

ところで「新ジャンル」ってなに?

ビール類と呼ばれるお酒の中で、最も酒税が安い『新ジャンル』は、「第3のビール」や「第4のビール」と呼ばれることがありますが、造り方に注目すると「ビール」とは言えません。(第3の~、第4の~という言葉はマスコミによる造語です。)

新ジャンルは、2つに分類されます。 1. その他の醸造酒(発泡性)
  麦芽を使わず、大豆やえんどうなどを発酵させたもの
2.
リキュール(発泡性)
  麦芽比率50%未満の発泡酒にスピリッツを加えたもの

缶には「新ジャンル」とは書いてありませんので注意してくださいね。

ビール類の値段が変わります!

今回の酒税法の改正では、ビール類の酒税の税率を段階的に変えることが決まっています。最終的に2026年10月1日には、ビール・発泡酒・新ジャンルの税率が一本化される(350ml缶1本当たり約54円)ことになっています。 簡単にまとめると、このようになります。
・ビールの値段は下がる(77円→54円)
・発泡酒の値段は上がる(47円→54円)
・新ジャンルが「発泡酒」表記に変更され、結果的に値段は上がる(28円→54円)

酒税法改正。どうしてそんなに話題なの?

2018年4月の酒税法の改正により、「ビール」の定義が変わりました。その内容は、麦芽比率を約67%から50%に引き下げられ、副原料として使える物品が増える、というものでした。 諸条件が緩和されたことで、味わいのバリエーションを増やすことができる、新しいビールをつくることができる、今後のビール市場を変えるのではないかと言われ、とても話題となりました。

実際に、これまでは「発泡酒」として扱われていた商品が「ビール」として販売されるようになったり、これまではビールに使用できなかった原料を使用した『新定義ビール』が相次いで発売されています。
例えば… 『SORRY UMAMI IPA』(ヤッホーブルーイング株式会社)

「発泡酒」から「ビール」に表記が変わった銘柄の一例です。日本独自の素材「かつおぶし」を使ったビールとして話題になりましたね。(関連記事:酒税改正でビール市場をさらに盛り上げる!『SORRY UMAMI IPA』発売
グランマイルド(アサヒビール株式会社)
"新定義ビール" の一例です。副原料にレモングラスを使用したビールです。(関連記事:https://beergirl.net/asahi-gran-mild_p/

これからどうなっていく?

「ビール」と「発泡酒」の違いは、麦芽比率と副原料の内容とその使用量にあることをご紹介しました。 今回の定義変更により、味わいの幅が広がったとされる「ビール」と、決められた原料以外のものを使い、味わいを広げている「発泡酒」。どちらも、メーカーや醸造家が工夫して造っています。 海外の表記と異なったり、日本の中でも、節税型でない発泡酒をビールと呼んだり、とても分かりにくいですよね。少し先の話ですが、酒税が一本化されれば、「ビール」と「発泡酒」は同じ値段で購入できるようになります。その頃には呼び方が統一されるかもしれませんね。
私はビールファンとして、今回の改正について、選択肢の幅が増えたということが一番のメリットだと感じています。今後も新定義ビールが発売され、いろいろな味わいのビールを試すことができそうです! ビールのことを知れば知るほど、よりビールが美味しく、楽しくなります。ビール女子の皆様がよりよいビールライフを過ごせますように。乾杯! (*ここで言うビールは「麦芽、ホップ、水(+副原料)を発酵させたビール」です!)
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