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「人月ではなく成果を売る」Aitria・芝陽一郎CEOが語る、AIで変わる日本のIT産業



株式会社アイスリーデザインは2026年11月4日(水)、都内本社にてメディア向けのリブランディング発表会を開催し、同日付で社名を「Aitria株式会社(アイトリア)」へ変更するとともに、今後の事業戦略を発表した。


新社名は「AI」とギリシャ語で「3」を意味する「tria」を組み合わせたもので、同社が培ってきたDesign(デザイン)、AI、Engineering(エンジニアリング)の三位一体を象徴する。


登壇した代表取締役社長CEOの芝陽一郎氏は、「今回の社名変更は、単に名前を変えるためのものではない。変わらない価値提供の思想と、その実現方法の進化を示す『事業変革の宣言』だ」と力を込めた。多重下請けや人月工数に依存してきた日本のIT産業の構造を見直し、AIを軸に開発モデルの転換を図る考えだ。






生成AIの台頭により、ソフトウェア開発の現場では従来の前提が大きく変わりつつある。芝氏は「1人当たりの生産性が大きく変わり、1人が3人、5人分の仕事をこなせる時代になった」と語る。従来であればエンジニア30人を投じ、1年以上を要していたような開発も、AIの活用によって4〜5人のチームで短期間に進められる可能性があると説明した。


しかし、ここで業界特有のジレンマが生じる。「人数×期間」で対価が決まる人月積算のままでは、開発効率を高めるほど売上が縮小してしまう。「壁は技術ではなく、人月という売り方にある。目指すのは『人月』ではなく『成果』を売る会社だ」と芝氏は強調する。開発期間の短縮によって生まれる価値を顧客に提供し、アウトカム(事業成果)を重視するビジネスモデルへの転換を掲げた。




発表会で公表された同社の独自調査「AI活用実態調査2026」からは、経営層の関与とAI活用の成果との間に一定の関連がみられた。


AI推進に経営層が関与する企業では、新商品・サービスの創出を成果に挙げた割合が64.7%に達した一方、経営層を推進者に挙げなかった企業では8.0%と、56.7ポイントの差があった。ただし、回答者数はそれぞれ17人と25人であり、経営層の関与が直接的に成果を生み出したと断定できるものではない。


また、開発現場でのAI活用はコーディングにとどまらず、AIを活用中、または試験導入中の回答者の約7割が要件定義工程でも利用していた。


芝氏は「コーディングだけに使うより、要件定義に使った方が何倍も成果が出しやすい」と指摘する。製造速度が向上しても、仕様の齟齬による手戻りが発生すれば全体の効率は相殺されるため、「上流工程からAIを使うことこそが一番の肝になる」と説いた。




このAI駆動開発を軸に、Aitriaは現在約20億円の売上高を2030年7月期に100億円へと拡大する目標を掲げる。


その布石として、従来の強みであったUI/UXやフロントエンドにとどまらず、大手SIerが手掛ける基幹系・業務システムの領域へも事業を広げている。「サブシステムから、大手SIerの本丸である業務領域をガッツリ取りにいっている」と芝氏は語り、数億円規模の大型案件の獲得を進めていると説明。既存事業の成長によって40億〜50億円規模の売上高を目指す考えを示した。




さらに100億円への到達を加速させる選択肢として芝氏が挙げたのが、M&Aや提携による「合従連衡」である。


「大手SIerなら10億円かかるプロジェクトを7億円で受託する価格競争力だけでは、100億円を達成するために多くの案件数が必要となり、営業効率が下がるジレンマがある」と説明。そこで単独では大型案件を受注することが難しい新興AIスタートアップとの連携や、顧客基盤を持ちながらAI化への対応が課題となっている既存の中小SIerの買収なども視野に入れる。


Aitriaの開発基盤やノウハウを活用し、「非AIの会社をAI駆動の会社へとリニューアルする」ことで、事業規模の拡大を図る構想だ。


「AIの最大の敵は人間の習慣だ」と芝氏は語る。技術が進化しても、組織や人間の慣習を変えるのは容易ではない。




Aitriaは自社で培ったAI開発基盤やエンジニアリング技術を活用し、人月中心の従来型ビジネスからの転換を目指す。2030年7月期の売上高100億円という目標に向け、既存事業の拡大とM&Aなどを組み合わせる方針だ。


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