大学受験では、都市部と地方の学習環境の違いや、自宅学習における受験生の孤立が課題となっている。オンライン個別指導は、住む場所にかかわらず指導を受けられる一方、画面越しで生徒の学習意欲をどう維持し、指導の質を保つかという難しさもある。対話と進捗管理を重視するオンライン大学受験塾「Studyコーデ」を運営する合同会社STUDY SHIFTの代表、名川祐人氏に、オンライン教育の現状や課題について話を聞いた。
自宅学習で孤立する受験生――オンライン指導が抱える課題
大学受験では、都市部と地方で学習環境や受験情報の入手しやすさに差があることが、以前から課題とされてきた。入試方式が多様化するなか、どのような指導を受けられるか、適切な学習計画を立てられるかが、進路選択にも影響する。
近年はオンライン学習の普及によって、住む場所に左右されず指導を受けられる環境が広がりつつある。
一方、非対面ならではの難しさもある。自宅学習を中心とする受験生のなかには、一人で勉強を続けることに孤独を感じたり、学習意欲を維持できなくなったりする人もいる。
名川氏は、対面とオンラインの両方で指導してきた経験から、学習を継続できるかどうかが受験結果を左右する重要な要素だと話す。画面越しでも生徒の小さな変化や学習の停滞に気づき、適切にサポートできるかどうかが、オンライン指導に求められているという。
コロナ禍で広がったオンライン塾――個別管理で学習を支援
コロナ禍をきっかけに、オンライン教育サービスの利用が広がった。ただ、受験生自身に学習管理を任せるだけでは、計画どおりに勉強を進められないケースもある。特に自己管理が苦手な生徒にとっては、継続的なサポートが欠かせない。
こうした課題に対し、同社が運営する「Studyコーデ」では、生徒との対話を重視した個別指導を行っている。
大学受験専門の講師によるマンツーマン指導に加え、授業ごとの個別面談や24時間体制の質問対応、小テストによる学習内容の定着確認などを組み合わせているという。
受講は最大週3回まで可能で、講師が生徒と頻繁にコミュニケーションを取りながら学習状況を確認。理解が進んでいない部分や学習計画の遅れを早めに把握し、必要に応じて指導内容を調整していると名川氏は説明する。
同社では、「常に相談できる人がいる」という安心感が、生徒の孤立を防ぎ、学習意欲の維持にもつながると考えている。
一方で、こうした手厚いサポートを継続するには、講師の負担や運営コストへの対応も必要となる。
予備校まで片道1時間半――地方の受験生が抱える悩み
名川氏は慶應義塾大学を卒業後、キーエンスで営業職を経験し、大学受験業界へ転身した。オンライン指導に取り組む背景には、地方と都市部の教育格差を少しでも減らしたいという思いがある。
同氏のもとには、全国各地の受験生や保護者から相談が寄せられているという。
「最寄りの予備校まで片道1時間半以上かかる」「近くに大学受験のノウハウを持つ塾がない」「学校では地元の国公立大学への進学が中心で、私立大学向けの受験対策が難しい」「浪人生向けの予備校がなく、上京して下宿するしかない」
こうした声からは、地方の受験生が置かれた学習環境の厳しさがうかがえる。
オンライン指導であれば、通塾に時間をかけることなく、自宅から専門的な指導を受けられる。名川氏は、居住地による学習機会の差を減らす手段として、オンライン教育には大きな役割があると考えている。
ただ、個別指導の質を維持しながら、より多くの生徒を受け入れることは簡単ではない。生徒一人ひとりへの対応を重視するほど、講師の確保や指導体制の整備が必要になるためだ。
オンライン指導を継続的な学習支援につなげるには
オンライン教育の普及によって、学校や集団指導塾だけでは対応しきれない学習上の悩みに、個別指導で応える選択肢が広がっている。
特に、自分で学習計画を立てたり、進捗を管理したりすることが難しい受験生にとって、一人ひとりの状況に合わせた指導は、学習を続けるうえでの支えとなる。
一方、オンライン指導を長期的に提供していくには、サービスの運営体制や家庭の費用負担、多様化する受験ニーズへの対応なども考える必要がある。
居住地にかかわらず専門的な指導を受けられることは、オンライン教育の大きな利点だ。その利点を生かしながら、生徒が孤立せず学習を続けられる環境をどう整えていくか。名川氏が重視する対話と個別管理は、その一つの取り組みといえる。

【取材協力】
合同会社STUDY SHIFT
代表 名川祐人
https://study-shift.com
