2020年のデータでは、大腸がんになる人、大腸がんで命を落とす人ともに、がんの中で2位の多さのがんである。
長い目で見れば、少しずつ増えてきているのが大腸がんだ。
そして、発見された段階ではすでに末期がんだった、という方もまだ多い。
今回は、大腸がんの可能性がある症状や、早期発見すれば完治できることなどについて解説する。
大腸がんの症状
大腸がんの代表的な症状は、血が混じる便、便秘、便が細くなる、腹痛、嘔吐(おうと)などがある。
特に、高齢者ではもともと便秘だという方も多いため、なかなか気づきにくい。
見抜くポイントとしては、「過去2〜3ヶ月と比較して変化がどれほどあるのか」を気にかけることだ。
例えば、それまで1日に1回便が出ていた人が、2〜3日に1度しか便が出なくなった場合、大腸がんを疑うべきだ。
このような症状は、早期の大腸がんでは出現しないことも注意してほしい。
早く大腸がんを見つけるためには、定期的にチェックが必要なのだ。
大腸がん検診は「便検査」のみ
現在、大腸がん検診が公費で受けられる。
多くの市町村では、40歳以上の方が、無料で大腸がん検診を受けられるのだ。
これは自宅で便を採取し、医療機関で便が混じっていないかどうかをチェックする。
つまり、血便の有無しか判定できない。
もちろん、この大腸がん検診で、早い段階の大腸がんが発見されることもある。
しかしその一方で、進行大腸がんでも、見逃されてしまうことが多いのも事実。
大腸カメラが有用
大腸がんを早期発見するのには、一番は大腸カメラ(下部内視鏡検査)を受けるのがおすすめだ。
細いカメラを肛門から挿入し、大腸の中をカメラを通して念入りにチェックできる。
がん以外にも、がんになる前のポリープなども見つけられ、カメラでその病変を取れるため非常に有用だ。
また、がんが見つかっても、大きさが小さければ大腸カメラで切除できる。
大腸カメラのデメリットとしては、検査の前に大腸を空にするために、薬を含んだ大量の水分を摂取しなければならないことだ。
しかし、大腸カメラによるメリットは非常に大きいため、ぜひ受けていただきたい。
特に40歳以降の方は大腸がんのリスクが高まるため、2〜3年に1回、大腸カメラを受けるのがおすすめだ。
早期発見で根治できる!
大腸がんは早期に発見できれば、大腸カメラで切除できる。
大腸カメラで切除できない大きさであっても、現在では体に負担が少ない内視鏡手術などで治療できるのだ。
実際、80歳を超える方でも内視鏡手術を行って大腸がんが完治し、元気に退院される方も多い。
早めに大腸がんを発見するために、ぜひ一度大腸カメラを受けていただきたい。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。