先日、奈良市内の園児43人が、ヒスタミンによる食中毒を発症した。
サバの塩焼きが原因だったという。
今回は、ヒスタミン中毒について、予防法を含めて解説する。
誰でも発症する可能性
ヒスタミン中毒は、食中毒の一種だ。
ヒスタミン中毒は、ヒスタミンというアレルギーなどに関わる物質を、過剰に摂取することで発症する。
ヒスタミンは、人間の体内にもある物質だ。
一般的に、ヒスタミンを100mg以上摂取すると、ヒスタミン中毒になりやすいと言われている。
特別な体質に関係なく、誰にでも発症する可能性がある。
この点がアレルギーとは異なる点だ。
ヒスタミン中毒のさまざまな症状
ヒスタミンが多く含まれている食べ物を食べた後、30分〜1時間以内に症状が出現する。
耳たぶや、口の周りに赤みが出て、じんましんなどが出る。
そして、頭が痛い、嘔気、下痢などの症状が出ることもある。
重症化することは稀だが、ヒスタミンに敏感な体質の方もいるので、特に小さな子どもは注意が必要だ。
治療は、ヒスタミンに対するお薬や点滴などを使う。
通常は、1日程度で回復していく。
赤身魚に注意!
ブリ、サバ、サンマ、マグロ、イワシなどが代表的な原因となる魚だ。
魚の中のヒスチジンという物質が、ヒスタミン産生菌が放出する酵素の働きでヒスタミンになる。
ヒスタミン産生菌は海の中にも存在するため、魚を捕獲した時にはすでに魚に付着している可能性もある。
ヒスタミン中毒を予防するには…
ヒスタミン中毒にならないためには、ヒスタミン産生菌を増やさないことが重要だ。
まず、常温であれば菌が増殖しやすいので、できるだけ冷やすのがおすすめだ。
魚などを購入したら冷やしたまま持ち帰り、すぐに冷蔵庫に入れて欲しい。
干物であっても同様だ。
また、内臓やエラに菌が多いので、すでにそれらが処理されている魚を買うのが良い。
注意点として、ヒスタミンはいくら熱を加えても死滅しない。
ヒスタミンが作られる前に、対応する必要があるのだ。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。