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【帰ってきたアイドル親衛隊】スタ誕出身で歌唱力も高く清純派系の河上幸恵はなぜブレークできなかったのか


 アイドルの登竜門と言われた1971年から1983年にかけて放送されたオーディション番組『スター誕生!』(日本テレビ系)が注目されていた。ここから山口百恵・ピンクレディー・小泉今日子・中森明菜などが輩出された。その『スター誕生!』で、第36代のチャンピオンになった河上幸恵という歌唱力も高く清純派系の女の子をホリプロダクションが指名をして、アイドルとしてデビューすることになった。

 この流れは、伝説のスターとまで言われた山口百恵と同じ流れだったこともあり、合格後には大きな注目を集めていたのだが、その時にホリプロからデビューしたのは堀ちえみである。堀は、1981年のホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを獲得し、自社が自ら選んだタレントということもあり、実質的に同期でもある河上より先にデビューすることになった。デビュー直後から人気も高く、河上のデビューが先になったことも悪いとは言えなかった。その後82年のホリプロタレントスカウトキャラバンで、大沢逸美がグランプリを獲得するのだが、83年になって早々に大沢がデビューすることが決まった。

 大沢から遅れて半年後の83年7月に河上がようやく『ブルー・エトランゼ』でデビューすることになったのだが、同じ時期に同じプロダクションから出るのは珍しいことであるが、世間は当時のアイドルとしては珍しいボーイッシュな大沢に注目が集まっていた。本来なら先輩であるはずの河上だが、同期という括りになってしまった大沢とスタート段階で差が出てきてしまった。個人的には歌が上手くて清純派系の河上は好きなタイプだったので、この環境はすごくもどかしかった。

 そんな河上を生で観る機会がようやくやってきた。84年の8月の初めの頃である。神宮外苑聖徳記念絵画館の前を広場にして行われたイベント『ふり〜ばる84』という、今でいうフジテレビで夏に行われているお祭りのようなイベントである。ここで公開生放送が夕方に行われたのだが、ゲストに河上が登場した。この公開番組の直前に3rdシングル『DOKIDOKI』が発売されたのだが、なぜかこの時に歌ったのは、2ndシングルの『春にめざめて』だった。本来ならこういう番組では最新曲を歌うのが普通のことだが、河上の場合はちょっとした理由があったと推測される。この『DOKIDOKI』は、当時としては珍しいテクノポップ歌謡であり、しかも企業タイアップの企画モノとしてロボットとのデュエットである。この曲を歌うにはロボットを連れてきたり、機材もかなり必要なので、野外の生放送では、到底できることでは無かった。その現場にいた私は、この奇妙なデュエットを生で観てみたいという気持ちも少しはあったが、本来の河上の素敵な歌声を聞けたので、個人的には『春にめざめて』が聞けたことに満足である。

 しかし特殊な企画モノを歌ったことの影響があったのか、それ以降も新曲を出してもヒット曲が出ることもなく、85年5月21日に発売された5thシングル『心の中のルビー』を最後にレコードの発売は無くなってしまった。その年の12月に『ヤヌスの鏡』(フジテレビ系)で女優として活動を開始したのだが、その第1歩となる作品は、当時のホリプロの後輩だった杉浦幸が主役で、さらに主要キャストに大沢逸美などホリプロ勢が中心のキャスティングだった。そこで河上もそういう流れでソコソコの役を演じるのかと思っていたが、暴走族リーダー役・大沢の子分みたいな役である。歌手としての歌声が好きだった私は、この役を見てもどかしさしか残らなかった。以降も女優として数本のドラマに出演するが、どれも端役ばかりで、日の目を見ることは無かった。

 87年にドラマ『女の手記』(テレビ東京系)の出演を最後に、芸能界を引退してしまった。『スター誕生!』で原石と出会えたと思っていたが、まさかこういう結末が待っているなんて思ってもいなかった、今は地元の神戸に戻っているみたいだが、どうしているのだろうか? とにかく幸せであって欲しいです。

(ブレーメン大島=毎週土曜日に掲載)

【ブレーメン大島】小学生の頃からアイドル現場に通い、高校時代は『夕やけニャンニャン』に素人ながらレギュラーで出演。同番組の「夕ニャン大相撲」では元レスリング部のテクニックを駆使して、暴れまわった。高校卒業後は芸人、プロレスのリングアナウンサー、放送作家として活動。現在は「プロのアイドルヲタク」としてアイドルをメインに取材するほか、かつて広島カープの応援団にも所属していたほどの熱狂的ファンとしての顔や、自称日本で唯一の盆踊りヲタとしての顔を持つことから、全国を飛び回る生活を送っている。最近、気になるアイドルはNMB48の三田麻央。

【記事提供:リアルライブ】
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