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4・10両国に向けて動き出した新日本、棚橋の巻き返しはあるか?


 「NEW JAPAN CUP 2016」(以下NJC)は、内藤哲也が後藤洋央紀を決勝で破り初優勝。試合後にはロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンに襲撃された後藤をオカダ・カズチカ、石井智宏らCHAOSが救出。後藤は先月の大阪大会終了後よりオカダからCHAOSに勧誘され続けていたが、オカダが差し伸べた手を握り返したことで、ついにCHAOS入りが決定的となった。NJC覇者の内藤は、オカダが保持するIWGPヘビー級王座への挑戦を“上から目線”で選択。4・10両国国技館大会での対戦が決まった。

 また、真壁刀義&本間朋晃が保持するIWGPタッグ王座への挑戦表明をしていたタマ・トンガは、実兄のタンガ・ロアをバレットクラブの新メンバーとしてパートナーに指名。こちらも4・10両国大会での挑戦が決定した。タンガ・ロアは、アメリカのWWEやTNAでカマーチョのリングネームで活躍した大物。実父のキング・ハクも1・4東京ドーム大会、1・5後楽園ホール大会にバレットクラブTシャツを着て参戦しており、バッドラック・ファレも含めて新日本マットにサモア旋風が吹き荒れそうだ。

 さらに、第三世代に対して「ケツの青い先輩たち」と挑発を続けていたNEVER無差別級王者・柴田勝頼が、12日の青森大会で田口隆祐と組み、天山広吉&小島聡のテンコジタッグと激突。パートナーの田口が小島のラリアットでスリーカウントを許しただけでなく、試合後には自身も小島からラリアットを食らってリング上で大の字に。小島がNEVER挑戦を堂々と表明すると、バックステージに戻った柴田は、小島がNEVERへの挑戦権も掛けられていたNJCを2回戦で敗退したことについて苦言を呈した上で、挑戦を受諾。3・19愛知県体育館での対戦が決定した。

 3・3大田区大会で、今年のNJCベストバウトと言ってもいい死闘を演じたROH世界TV王者の石井智宏とEVIL。この試合で開花したEVILは、12日の青森大会にてパートナーBUSHIの毒霧援護があったとはいえ、必殺技EVILで石井からスリーカウントを奪った。試合後にはリング上で石井のベルトを手にしアピール、バックステージでは「オイ! 無様な負け方だったな、石井! この後どうすんだ!? 答えは見えてんだろ」と凱旋帰国後、最も長い“日本語”でまくし立てた。この結果、3・20尼崎大会での挑戦が決定。EVILにとっては大チャンス到来である。

 3・20尼崎大会では、もうひとつ気になるタイトルマッチが組まれた。それはケニー・オメガ&マット・ジャクソン&ニック・ジャクソンに棚橋弘至&マイケル・エルガン&ジュース・ロビンソンが挑戦するNEVER無差別級6人タッグ選手権試合だ。今年に入ってからの棚橋は、重要な試合で負けが込んでいる。1・4ドームでのオカダ戦、2・14新潟大会のケニー戦、そして3・3大田区大会でのファレ戦。“エース”にとってこの3連敗は痛いだろう。棚橋がこれから巻き返しを図るためには、どこに照準を絞ればいいのか? そんな中、今回組まれたタイトルマッチは、挽回のキッカケを掴む機会となるかもしれない。

 棚橋がNEVERブランドに絡むのは今回が初めてのこと。本稿執筆時点で棚橋からコメントが出ていないので、あくまで推測に過ぎないが、その先にはケニーが保持するIWGPインターコンチのベルトがあるのは言うまでもないだろう。2年前に中邑真輔を破ってインターコンチのベルトを巻いた時、「オレの色に染める」と宣言していたが、結果的にそれは実現できなかった。そして中邑の離脱に際し、「鬼の居ぬ間にオレの色に染めますよ」と言って臨んだケニーとの王座決定戦でも完敗を喫してしまう。棚橋の中で「3度目の正直」という思いがあるのと同時に、まずケニーに勝たなければ巻き返しは図れないという気持ちもあるはずだ。

 王者であるケニーの口からも「タナハシが挑戦してきても問題ない」という言葉があるように、棚橋に2連勝すればバレットクラブの新しいリーダーとして磐石の地位を築けるという計算があるはず。この2人に加え、IWGPヘビー級王座獲りを諦めていないエルガンや、LION'S GATEでノアの中嶋勝彦を相手に大善戦したロビンソン、そしてIWGPジュニアタッグ再戴冠を狙うヤングバックスが絡むこのタイトルマッチは、4・10両国、5・3福岡国際センター、そして6・19大阪城ホール大会までを占うカードになる可能性を秘めている。

 巻き返しを図るエースが、初夏に向かう新日本の鍵を握っているのは間違いなさそうだ。

(増田晋侍)

<リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.10>

【記事提供:リアルライブ】
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