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キャバ嬢が生まれる瞬間(79)〜恋人に服を買ってあげたかった佐奈〜


飯塚佐奈(仮名・26歳)

 去年、1年ぶりに彼氏ができた。好きなアニメのオフ会で知り合った人なのだけど、見た目はオタクっぽくなくて、話も盛り上がったから、その日に連絡先を交換した。それから何回かデートを重ねるうち、私たちは恋人同士の関係に。そのときから気になっていたのだけど、彼は毎回、同じ服を着てくるんだよね。インナーはたまに違うことはあっても、ジャケットやデニムは変わらない。かつてのスティーブジョブズみたいに、同じ服を何着も持っているというのとも違う。

 だから私はある日、聞いてみた。「いつも同じ服着てるのよね?」だと相手を傷つけてしまうかもしれないから、「○○くんって服とか興味ないの?」って。そしたら彼は「すべてゲームにお金を使っちゃうから服を買う余裕がない」って答えたんだよね。

 確かに彼の家に行くと据え置きのゲーム機が何台もあった。それ以外にもスマホやネットゲームに課金を惜しまないのだとか。新しいキャラクターが投入されると、それを課金ガチャで引き当てるまで、永遠に回し続ける。かといって経済的に余裕があるというわけでなもく、その月に稼いだバイト代をほとんど使ってしまうらしい。

 やっぱルックスは悪くない人だから、もっとオシャレしてほしいけれど、私も派遣の事務員だから買ってあげる余裕なんてない。そんな時に思いついたのがキャバクラで働くことだった。彼がゲームに使っちゃうなら、私が稼ぐしかないよね。昼は事務員をして、夜はキャバをやれば、ある程度、収入に余裕ができるから。それに私がお金を払うかわりに、自分好みで彼のファッションスタイルを操ることが出来るのならば、いいかなって。彼もそれを承諾してくれた。だからこれからもバリバリ働いて、彼を私の手でどんどん磨いていこうと思ってます。

(取材/構成・篠田エレナ)

写真・keepingtime_ca

【記事提供:リアルライブ】
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