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【コンピューターゲームの20世紀 63】戦乱の物語がゲーム上に再現される『三國志』


 シリーズが30周年を迎え、2016年1月28日に新作『三國志13』が発売されることを記念して、今回は光栄の初代『三國志』を紹介したいと思う。ただし、筆者が初めてプレイしたのがファミコン版であったこともあり、今回はそちらを話の中心にさせていただく。というのも、当時は8ビットパソコンが15万〜20万円ほどもするうえ、モニターや周辺機器を揃えればさらに高額になり、当時10代であった筆者にはとても手を出せる品物ではなかったからである(後にプレイすることはできたが)。ちなみにファミコン版もROMカセットの定価が9800円と、同社の『信長の野望 全国版』と並んで当時の最高価格であった。もともと大人向けのゲームではあるが、かなり足下を見られた価格設定ではある。
 
 ファミコン版『三國志』はPC版と細部が異なっており、略奪など一部のコマンドがなくなっている。また、戦闘画面でも突撃や計略が使えないなど全体的に簡略化されている部分が目立つ。これは容量の問題とSLG初心者が多いことを考慮してのことだと思われる。実はパソコンでも『抄本三國志』という簡易版が先に発売されており、多少コマンドを省いても面白さが変わらないことは実証済みであったのだ。

 パソコン版の発売は1985年だが、その2年前に発売された『信長の野望』と比較してシステム面で大幅にパワーアップしており、歴史SLGとしてかなりの進歩を遂げている。特に各国に大名のみが存在していた『信長』に比べて、本作では君主の配下に多数の武将が存在している。さらには君主を含めその武将全員に武力・知力といったパラメーターが設定されており、それによって武将に個性が生まれたのである。

 例えば劉備配下の関羽と張飛は共に武力は99だが、知力に大きな差があり、これによって猪武者的な張飛と冷静沈着な関羽という物語上のキャラが、ゲームの中でも再現されたのだ。また、実際にこのパラメーターによる差は非常に大きく、同じ数の兵士を率いていても武力が低い武将と高い武将では、その強さに雲泥の差があったのである。そのうえ物語上で裏切者であった武将は忠誠度が低く設定されているなど、その再現度はファンも納得のものであった。

 一口に三国志と言っても三国時代に突入するのは物語の後半になってからであり、実際にはその過程が話の大半を占めている。これに対応するために本作にはシナリオが5本用意されており、シナリオ1は董卓の横暴に対して各地の君主が立ち上がるといった時代で189年からのスタート。シナリオ5は魏呉蜀の三国鼎立が成っている215年からのスタートとなる。基本的に前半のシナリオほど自由度が高く、後半のシナリオは大国が国境を接しており一触即発である。このシナリオの多さからも本作は長く遊べるゲームになっているのだ。

 ここからはかなり個人的な話になるが、当時の筆者は吉川英治の小説や横山光輝の漫画、NHKの人形劇などで三国志の大ファンになっており、先にナムコの『三国志 中原の覇者』をプレイしてはいたものの、光栄の本格的 SLGに憧れが募るばかりであった。ようやく購入してシナリオ1の曹操でプレイを開始するもコマンドの多さに戸惑い、とりあえず雑誌で仕入れていた情報通りに呂布と賈ク(かく)を引き抜いたものの、洪水に遭い本国はボロボロの状態になってしまう。その後も袁紹を恐れて娘を輿入れさせたり、董卓に攻め込まれて本国を失ってしまうなど迷走が続き、終いには袋小路に追い詰められ滅亡してしまった。

 このように初プレイは非常に苦いものであったが、何度もプレイしているうちに本作の特徴が見えてきた。例えば、無駄に国を広げるよりも収穫の後に空白地を回る方が簡単に金や米が手に入り、それを守るための兵士も必要としないなど。さらに本作の武将は忠誠度が100でなければ、成功率こそ下がるものの必ず引き抜くことが可能だと気がついた。これを悪用するとプレイスタイルが一変。戦争するよりも各国の太守を引き抜いてしまえば簡単に国が手に入る。また、本来であれば君主と血縁関係にある孫策や馬超といった武将まで迎え入れることが可能なのである。こうなってくると、もはややりたい放題で、本国には名だたる名将がひしめき、戦争もしていないのに全国各地に領土が広がっていく有様になっていく。

 そして戦闘画面では火計が猛威を振るう。本作の火計は延焼範囲の広がりが極端で、山がちな地形ではマップのほとんどに火が広がることも珍しくはない。風向きがランダムなため時にプレイヤーの首を絞めることもあるが、使いこなせば兵士0で敵の大軍を追い返すことも可能であった。特に本作においては敵のいないヘックスに火をつけるのには知力が一切関係しないため、お馬鹿な武将でも数さえ揃えば放火部隊として活躍できたのである。ちなみに火計の効果は火の付いた地形に1ターンとどまると、武将が兵士ごと焼死するという強力なもの。逃げ場がなくなった場合は退却することを知らないうちは、よく武将を殺してしまったものである。

 最新作である『三國志13』は『三國志10』以来の全武将プレイが可能ということである。ハッキリ言って従来のシリーズでは全武将プレイを活かしきったシステムはなく、君主も配下武将もやることは大して変わりはなかった。その辺りがどう改善されているのかが見物であり、非常に楽しみなのであるが、SLGはとにかく睡眠時間を奪ってしまう熱中度が社会人にとって驚異となっている。気がついたら朝になっていたというパターンにまたハマってしまうことを考えると、購入するのが恐ろしくもある。この問題だけは30年経っても全く解決されることはなさそうだ。

(須藤浩章=隔週日曜日に掲載)

DATA
発売日…1988年(PC版は1985年)
メーカー…光栄
ハード…ファミコン(オリジナルはPC)
ジャンル…SLG
(C)1988 KOEI

【記事提供:リアルライブ】
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