
俳優庄司浩平(26)が、10月10日開始の日本テレビ系連続ドラマ「俺たちの箱根駅伝」(土曜午後9時)で箱根駅伝に挑む大学生、猪又丈を演じる。昨年のテレビ東京系「40までにしたい10のこと」で注目を集め、今夏のTBS系「Tシャツが乾くまで」など話題作に出演。ブレークNO・1俳優の呼び声も高い。188センチのバスケットマンが体脂肪率3%のランナーになる過程に、ストイックで真摯(しんし)な姿勢が反映されていた。【鎌田良美】
10年以上バスケットボールをやってきたから、バスケの実写化はつい厳しく見てしまう。でも未経験者には細かいことは分からない。では「走る」はどうか。
「走るって、ほとんどの人がやったことがある。うまい、下手が一発で分かる。正しく真剣に向き合う必要があるなと思いました」
小中学校のマラソン大会は得意だった。それとこれは「別の話」。大柄な猪又役でオーディションに合格した時、フォーム評価は「絶望的」のC。あごを上げて走る癖は、陸上競技では疲労の表れとみなされる。三脚を立てて撮影、確認を繰り返した。3週間後、評価はAに変わった。
練習期間は約3カ月。2週間に1度、他のランナー役のキャストたちと合同練習があった。「昨年の秋くらいから走り始めて。追いつけ、追い越せの感覚はヒリヒリしておもしろかったです」。走り込みと食事制限、エネルギーが必要なのに削る。相反するミッションを両立させた。
「1日25キロ走ってる時期もありました。12月は400キロくらい走った」。白米はOK。小麦はとらない。筋トレを組み込む。ノンフライヤーを買って赤身の牛肉や魚で自炊した。究極のリアリティーを追求するため、設定された基準は体脂肪率7%以下。「1ケタ台にもっていくのが難しくて。最終的に14~15%から3%までいきました」。走り方も体つきも正真正銘、ランナーのそれになった。我慢から解き放たれたのは撮了後だ。
「パン、ケンタッキー、パスタ、うどん。小麦はおいしいですね。箱根が終わってから、ほぼ毎日パンを食べてます。最高です」
ハタから見ると修行のような日々。これを「一生ものの宝物」という。「この仕事をする上で体形コントロールは必要。トレーナーさんと毎日献立や食事の話をして、その健康的なアプローチを学べた」からだ。共演者との練習時間は本物の部活のようで「青さを取り戻した」感覚になった。
駅伝はチーム戦であると同時に個人競技でもある。
「映像作品は主役がいて、2番手がいて、エキストラがいて、スポットライトの濃淡をコントロールするのが大切。話がおもしろくなるなら背中しか映らなくてもいい。キャラクターの立ち位置の理解を俳優個人がして、それが全体に還元されるって意味では、遠いところで(駅伝と)つながりはあるかなと思います」
昨夏、風間俊介(43)とのBL(ボーイズ・ラブ)ドラマで一躍世間に“発見”された。戦隊もの、仮面ライダーの「ニチアサ」の顔から知名度が急上昇。今夏の「Tシャツ-」でもオープン・マリッジ男としてインパクトを残した。潮目が変わった実感はある。だが浮足立った様子は全くない。
「作品が評価されている側面が大きい。そのおこぼれというか。前に進んでる感はありますけど、指数関数的な感じではない。ドライっちゃドライですね」。冷静に俯瞰(ふかん)する自分がいる。
「転んだままで、終われるか。」が「俺たちの箱根駅伝」のキャッチコピーだ。自身を重ねる。「僕の人生で、勝利の2文字が輝いたことはあまりない」という。「4番手とかが多いです。走っても勉強しても、バスケしてもそう。上から数えた方が早いけど、表彰台には届かなかった」。
高校時代、バスケ部ではベンチで過ごす時間が長かった。「スタメンに入れなかった時点で一つ負けている」。箱根本戦に自力出場できなかった走者の気持ちが想像できた。「屈辱みたいな部分をいかに整理整頓するかを、20歳前後の子たちがやっているのはすさまじい。圧倒されます」。
転ばない人なんて一握りだ。「ほとんどの人が、勝ちより負けの方が多い人生だと思うんです。そういった人たちの背中を何かで押せたら」。猪又は物語の中であるターニングポイントを担う。ドラマはリアルではないが「本物っぽいうそをどれだけうまくつくかという作業」に、ストイックなまでの役作りで応えた。
まもなく27歳。アラサーに突入した。40までにしたいことならぬ、30までにしたいことは-。「求められ続けるということ。それと、30までには主演をやりたい。配信ものやスピンオフでさせていただいたことはあるんですけど、地上波ではないので、そういった機会があるとうれしいなと思います」。地に足をつけて、次の一歩も力強く丁寧に踏み出す。
▼「俺たちの箱根駅伝」共演の浅野竣哉
初めて会った時、でかいなって思いました。僕も180センチくらいなんですけど、見上げるくらい。何頭身? ってくらい顔ちっちゃくて、でも近所の兄ちゃんくらい気さくで、あれはみんな好きになっちゃいますよね。現場では全員と1日1回は話して、みんなの中心にいました。僕がふざけると、すかさずボケを説明してくれます。お笑いが好きで、本が好きで文才もあるから、その言葉使わないよなみたいなことを平気で言ってくる。こんな変な人だとは思わなかったですね。「知性の無駄遣い。色気を添えて」って感じの人です。
地方ロケで一緒になった時、何回かご飯に行ったんです。探して見つけたお店が、僕ら以外カップルしかいなくて。ミラーボールが回ってるような店で2人でご飯食べて、庄司さんがごちそうしてくれた。彼女の気分を味わいました。
ひょうひょうとしていて、お芝居も地続き。ばっとスイッチが入るタイプというより、ひょうひょうとした感じのまま、そこにいるみたいに芝居に入っていくのが印象的でした。尊敬してるところでもあります。
◆庄司浩平(しょうじ・こうへい)
1999年(平11)10月28日、東京都生まれ。20年にテレビ朝日系「魔進戦隊キラメイジャー」でデビュー。25年、同局系「仮面ライダーガヴ」で仮面ライダーヴラム/ラキア・アマルガ役。テレビ東京系「40までにしたい10のこと」田中慶司役。24年から「NHK俳句」レギュラー。26年はテレビ朝日系「余命3ケ月のサレ夫」、TBS系「Tシャツが乾くまで」に出演。エッセーや小説の雑誌連載も複数。身長188センチ。血液型A。
