
舞台やドラマでも活躍した、歌手で俳優の上條恒彦さんが22日、老衰のため長野県内の病院で死去した。7月31日に所属事務所が発表した。85歳だった。葬儀・告別式は親族で行った。喪主は妻悦子さんが務めた。発表によると「家族に見守られ、とても穏やかな旅立ちでございました」という。お別れの会などを行う予定はない。
上條さんは長野県東筑摩郡出身。22歳で歌手活動を始めた。フォークグループ「六文銭」と組んで歌った「出発(たびだち)の歌」で、1971年に世界歌謡祭のグランプリを獲得した。「だれかが風の中で」はテレビドラマの主題歌になった。
ひげと眼鏡の風貌で親しまれ、俳優としても活動。TBS系ドラマ「3年B組金八先生」では社会科教師の服部肇役、NHK連続テレビ小説や大河ドラマでも数多く演じた。
豊かな声量を生かし、ミュージカルでも存在感を発揮した。76年に「ピピン」日本初演で主役を務め、「ラ・マンチャの男」には1977年から2023年の最終公演まで40年以上にわたり出演。「屋根の上のヴァイオリン弾き」「マイ・フェア・レディ」でも卓越した演技力を見せた。