
第51回放送文化基金賞の授賞式が9日、都内で行われ、「エンターテインメント部門」の奨励賞を受賞したABEMAバラエティー「国境デスロード」(土曜午後9時の)の企画・総合演出を務めた大前プジョルジョ健太ディレクター(D)が登壇した。
配信番組としては、同部門で初の受賞という快挙に、大前Dは「このような名誉ある賞を受賞できて大変うれしく思います。本当にチームに恵まれました」と周囲への感謝を口にした。
同番組は、東野幸治(57)と「あのちゃん」ことあのがMCを務め、大前D自身が世界各地の国境を訪れて、国境を越える人々に体当たりで取材をするドキュメンタリーバラエティー。
受賞スピーチで大前Dは、番組の立ち上げから関わる堀川恭平プロデューサーの名前を挙げ「結婚式の2日後にメキシコの危険地帯に来て一緒に取材をしてくれました。新婚なのに徹夜作業も一緒に何度もしてくれました」と頭を下げた。
さらに「他にも子どもが生まれたばかりのディレクターが紛争地帯に行ってくれたり…チーム全員でギャングに追われたり…高山病になったり…警察に催涙弾を撃たれたり…一緒に命をかけてくれた仲間に改めて感謝したいと思います」と命がけの番組作りを振り返った。
続けて「そしてふと気づきます。私がいま思い出として話していることは、取材した方たちにとっては日常なんだと。今日も誰かがデスロードと呼ばれる道を命懸けで歩んでいます。敬意をもってこれからも取材を続けようと思います。本日はありがとうございました」と締めた。
大前Dは、前職のTBS時代に、同局系「不夜城はなぜ回る」(22年10月~23年3月レギュラー放送)を手がけ、23年に日本民間放送連盟が選出する「2023年日本民間放送連盟賞」の「テレビエンターテインメント」部門で優秀賞とギャラクシー賞1月度月間賞を受賞した経験がある。新たな環境でもその才能が高く評価された形となった。
公益財団法人放送文化基金(放送文化基金)が主催する同賞は、視聴者に感銘を与え、放送文化の発展と向上に寄与した作品や人物をたたえることを目的として1975年に創設。昨年度に放送・配信された作品から各賞が決まった。「国境デスロード」について「体当たりの取材で、移民たちの懐に入り込み、その希望と絶望の実態や、政治的・社会的背景に迫った意欲作である」と評価した。