
女優竹下景子(71)と、その長男で俳優の関口まなと(39)が、8月30日に東京農業大学世田谷キャンパス横井講堂で上演される舞台「極刑」に出演する。舞台での共演は初。関口は日刊スポーツの取材にコメントを寄せた。
同舞台は、弁護士で同大客員教授を務める今井秀智氏が監修。裁判員裁判制度の意義を問うとともに、裁判員に選ばれたときの心構えを持ってもらおうと、「参加型裁判演劇」として上演する。
裁判所から裁判員候補者として呼び出されたという設定。会場を訪れた段階から参加が始まる。ルーレットで6人の裁判員が選出され、裁判官と並んだ席に座り、被告人や証人に直接質問。審理終結後、別室に移り評議して判決を下す。
選出されなかった観客は会場内で、インターネットを通して質問、評議、評決を投票。まさに裁判員裁判をリアルに体験できる内容となっている。その日の参観者の中から誰が選出されるかによって、毎回、裁判の進行と判決が変わる。
2人は一般向けの午後の部に出演。関口は被告人の佐瀬研一役、竹下は被告人の母親役を担当する。
関口は「『この人は死ぬべきだ』-そんな思いを、目の前の誰かに抱けるとしたら、それは恐ろしいことです。けれど、誰かの命が奪われたとき、誰かの人生を守るために、重い決断が求められることもあります。裁判とは、時に人の命に“値段”をつけるような場面に立ち会うことだと、私は思います」とコメントを寄せた。
そして、「この国に生きる以上、私たちはその責任の重さに無関心ではいられません」と続け、「この作品が、裁判員制度と向き合うきっかけとなれば幸いです」と訴えた。
また、実母との共演について「舞台作品での共演は今回が初めてです」と告白。「この物語には、あらかじめ書かれた台本も、定められた結末もありません。だからこそ、客席の皆さんからのインプットはもちろん、演じる1人1人の人生や品位が、作品のかたちを大きく左右します」という。
「今回そこに、初めて“リアルな関係性”という要素を持ち込むことになりました」とし、「それがこの作品にどんな影響をもたらすのかは、正直なところ私にもまだわかりません」とした。
その上で「実の親子だからこその生々しさが、この舞台をより深く、観客の皆さんにとっても心に残る体験にできればと願っています」とアピールした。
同舞台は、借金に追われた佐瀬が、かつて勤務していたホリカワ機械の経営者堀川秀夫に借金を申し込むが拒絶される。金のありかを知っていた佐瀬は盗難目的で侵入するも、堀川に見つかり刺殺。物音を聞き付けて事務所にやってきた堀川の妻良子も刺殺後、12万円を奪って逃亡。裁判において、検察官は死刑を求刑。弁護人は、死刑回避を主張という設定で展開される。