
長澤まさみ(38)が、21日に中国で開催された第27回上海映画祭クロージングセレモニーに登場。レッドカーペットを歩き、ベルリン映画祭(ドイツ)で最優秀女優賞(銀熊賞)を獲得した経験を持つ中国の女優・咏梅(ヨンメイ)とともに、最優秀女優賞のプレゼンターを務めた。
長澤は、咏梅から「女優として一番、難しい役は何だと思いますか?」と聞かれると「まだ誰も演じたことのない、息の吹き込まれていない役を演じるということは、いつも難しいことだなと思っています。でもその難しさを乗り越えた先に幸せが待っている、そんな風に思っています」と答えた。咏梅も「とても共感します」と同意した。そして、最優秀女優賞を獲得した中国の女優・万茜(ワン・チエン)にトロフィーを渡し、笑顔で抱き合った。
クロージングセレモニー後には、公開中の主演映画「ドールハウス」(矢口史靖監督)の上映会が、中国最古の大型映画館の1つ、上海大光明電影院で開催され、観客との質疑応答にも応じた。長澤にとって「ドールハウス」は、怖い要素のある作品に初めて主演した機会だったことから、観客からは「怖い映画に挑戦されたことで何か新しい発見はありましたか?」と質問が出た。長澤は「毛穴から、体の中から、全ての声が出るような叫びを出すシーンは初めてでした。悪いものが全部出たような、スッキリした気持ちになりました」と笑顔で答えた。
「ドールハウス」は、長澤が14年の映画「WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~」を手がけた矢口史靖監督(58)が書き下ろした、人形を軸に描いたミステリーにほれ込み、同作以来10年ぶりにタッグを組んだ。長澤は劇中で、娘の芽衣を亡くして打ちひしがれた中、骨董(こっとう)市で芽衣そっくりのアヤちゃん人形を見つけ、元気を取り戻すも不可解な出来事に見舞われる鈴木佳恵を演じた。観客から。初めての怖い映画に出演した感想について聞かれると「怖い映画はそんなに見たことが無くて、見てみたいな、気になるな、とずっと思っていました。この作品に出演するのをきっかけに、すごく興味が湧いた、そんなジャンルです」と答えた。
世界3大ファンタスティック映画祭の1つ、ポルト映画祭(ポルトガル)でグランプリ「Best Film Award」を受賞したのに続き、ヨーロッパ最大のアジア映画祭、ウディネ・ファーイースト映画祭(イタリア)、香港映画祭(中国)の「KALEIDOSCOPE」部門でも上映。上海映画祭での特別上映は、それに続くものだった。長澤は「たくさんのお客さんが今日来てくださったことをうれしく思います。この映画を楽しんでくださった皆さんの生の声が聞けたこと、大変いい経験になりました。日本では今、映画が公開されています。これからもたくさんの人に見ていただけたらなと思っています。今日はすてきな場を作ってくださり、ありがとうございました」と最後にあいさつした。
上海映画祭の全日程を終了し、長澤は「お客さんが本当に情熱的で、映画が好きなんだ、という気持ちを体いっぱいで伝えてくれて、良い場所に来られたなという気持ちでいっぱいです。撮影してる時は想像できていませんでしたが、こうやって映画がたくさんの人に親しまれて、愛されているということを実感できて、神様からプレゼントをもらったような、そんなうれしさがこみあげています」と感謝。矢口史靖監督(58)は「実は上映会を一緒に見ていて、絶叫と同じくらい爆笑がありました。上海が一番、熱狂的だったと思います」と手応えを口にした。
◆「ドールハウス」5歳の娘・芽衣を亡くした鈴木佳恵(長澤まさみ)と夫の忠彦(瀬戸康史)。悲しみに暮れる佳恵は、骨董(こっとう)市で芽衣によく似た愛らしい人形「アヤ」をかわいがり、元気を取り戻してゆく。佳恵と忠彦の間に新たな娘・真衣が生まれると、夫婦は真衣をかわいがり、2人は人形に心を向けなくなる。やがて真衣が人形と遊ぶようになると、一家に変な出来事が次々と起こり始める。佳恵たちは人形を手放そうとするが、捨てても捨ててもなぜか人形は戻ってくる。