
<D.LEAGUE 24-25 ROUND.14>◇5月23日◇東京・東京ガーデンシアター
待ったなしの結びの大一番、最終ラウンドの最終マッチの後攻だった。
勝てばレギュラーシーズン3連覇達成。
相手は12位のBenefit one MONOLIZ
順当なら勝利は間違いない…が、先行のMONOLIZの作品は、らしさ満開の華やかな仕上がりだった。
CyberAgent Legitに数々のプレッシャーがかかった。
8人が舞台に向かう。
今季から加入のChris Ackeyがクールな表情を見せれば、小柄なCHAAが不敵な笑みでカメラ目線で、最後にステージに上がった。
MCのケリー隆介が叫ぶ「戦略的エリート集団! CyberAgent Legit!!」
さあ、大一番の戦略は…
いきなりのシンクロ…背の高さも体型も、性別も年齢も違うのに、寸分の狂いもなく会場に圧をかける。
エースを任されたenaがディレクションした作品だ。
Legitが得意とするシンクロをいきなり繰り出したが、ロッキンで合わせるのは難しかった。
「だからこそ、そこを見所にしたんです」。
チーム内外に愛され、慕われる「Legitの姉御」の演出は開始10秒で絶大な効果を発揮した。
やっぱり、Legitは強い。ミスらない。スキが無い。
テンガロンハットを会場に放り投げる角度まで、8人が八方、計算していたかのように美しい曲線を描いた。
6-0。
完全勝利だった。
言葉にはしなかったが、狙い通りのスイープだったはずだ。
2位KADOKAWA DREAMSと1点差。2戦前に戦うKDがValuence INFINITIESをスイープすれば、Legitが勝ってもCSポイントで並んでしまう。その場合。スコアで上回るKDに優勝をさらわれてしまう。KDのスイープを想定すれば、Legitはスイープしかない。
そのつもりで迎えた大一番だった。
一方のKDは、2戦前に5-1で圧勝した。颯希(SATSUKI)とKELOの両エースの絡みを前面に押し出しながら、神秘的な空気の中で何度も場面転換して、彼らの魅力を次々みせつけた。それでも、ユーモアあふれるINFINITIESの作品にオーディエンス票だけ奪われた。
ステージ上でマイクを握ったKELOは「スイープでシーズン優勝から3連覇を狙いに行くつもりでしたが、悔しいです」と、過去2年CSは勝てても、Legitに奪われていたシーズン優勝を逃したことを悔やんだ。
実はこの時点で、Legitが敗れるか、引き分けで、KDがシーズン優勝となる可能性が残っていた。KELOの勘違いだったのだが、最大のライバルが自滅することなど、頭には一切無かったのだろう。それだけ、実力を認めている。
さらに、KELOはステージ上でこの日の作品「序曲OVERTURE-天詠みの唄-」が3部作で、CSで2部、3部を披露することを明かした。
相手がどんな作品で来るのかを読み、自分たちの作品の傾向をまとめるのもDリーグの大事な戦術だ。なのに、3部作になることを明かすのは、あまりに大胆不敵ではないのか…。
ラウンド後の会見、あえてLegitリーダーのTAKUMIと姉御ena、参謀格のKAI→がいる前で、KELOに「手の内を明かすことになるのでは?」と聞いてみた。
KELOは少し驚いたようだったが、3部作であることを明かしたところで、作品の内容やどんな仕上がりになるかまでは、わからないことを説明。「(トータルで何かやろうとしていることが)伝わったのはよかったです」とやはり意味深な言葉で締めくくった。
会見中、KELOはカエルの顔をしたニット帽(ヘアバンド?)をかぶり、TAKUMIの左斜め後ろに立ち続け、時々、耳打ちするように話しかける。
パフォーマンスと同じで、何だか不気味。手の内明かすかのような発言といい、これも陽動作戦なのかと、疑いたくなるからおもしろい。
そういえば、彼らが発信するYouTubeで、エース格のDaichiが6月初めまで、謹慎処分を受けたことを発表していなかったか? 本日5月23日のステージに立っていたけど…。
自らの取材不足を悔やみつつ、実はこれも陽動作戦ではないのかと、疑わしい。
LegitのディレクターFISHBOYは「よく勝ち方を知っていると言われますが、知っているなら、勝ち方を教えてもらいたいです」と苦笑した。
TAKUMIやenaは「もう同じ景色は見たくない」と、CS初制覇を願う言葉と合わせて、本音を包み隠さない。
対照的な2強のふるまい。
6月19日のCS本番が待ち遠しい。【久我悟】
CS6枠目はKOSE 8ROCKSが手にした。
【8ROCKSはブレイキンで逆転狙う】
7位のMedical Conciege I‘moonがスイープでDYM MESSENGERSを破れば並ぶ可能性が残っていたが、引き分けに終わり、その時点で出場が決定した。それでも、今季加入のパリ五輪男子ブレイキン代表のShigekixをラインアップに加える必勝態勢で、SEGA SAMMY LUXを5-1で破った。
21-22SEASONのCSを制覇したように、短期決戦は破壊力のあるブレイキンに有利な一面があるのを誰よりも知っている。YOUTEEは「昨年は準決勝で負けた。今日からCSの第一歩が始まっているので、当日まで熱い時間にしたい」と6位からの優勝を狙っている。
3位・SEPTENI RAPTURESのYUYA(3位浮上でCSへ。来季から親会社の変更に伴い「SEPTENI RAPTURES」として最後の戦いを迎えることに)「CSに行けることにほっとしているし、今年こそこの名前で優勝したい」
4位・Valuence INFINITIESのSEIYA(2年連続CSについて)「去年はトライアルマッチ(1回戦)でDYMさんに負けてしまい、負けたこと以上に、用意していたのに、踊れなかった作品があったことが悔しかった。最後まで自分たちらしく、楽しみたい」
5位・dip BATTLESのKENSEI(昨季最下位からCS進出)「やることやって、人生変えたいです」
※左が先攻
【1st MATCH】 FULLCAST RAISERZ 2-4 avex ROYALBRATS
【2ed MATCH】 Medical Conciege I‘moon 3-3 DYM MESSENGERS
【3ed MATCH】 List::X 1-5 dip BATTLES
【4th MATCH】 LIFULL ALT-RHYTHM 2-4 SEPTENI RAPTURES
【5th MATCH】 KADOKAWA DREAMS 5-1 Valuence INFINITIES
【6th MATCH】 KOSE 8ROCKS 5-1 SEGA SAMMY LUX
【7th MATCH】 Benefit one MONOLIZ 0-6 CyberAgent Legit
【RANKING】チーム名の右はチャンピオンシップポイントと勝敗(◎はスイープ勝利)
<1>CyberAgent Legit 36点 ○○●△○◎○○○○●3○◎
<2>KADOKAWA DREAMS 34点 ●△○◎◎○○●○○○9○○
<3>SEPTENI RAPTURES 30点 ●△◎△○◎△○●○○6△○○
<4>Valuence INFINITIES 30点 ◎○●△○○△○△●◎2○●
<5>dip BATTLES 27点 ○○△○●●△●○●◎4○○
<6>KOSE 8ROCKS 25点 ○●△○○●△○△○△5●○
<7>avex ROYALBRATS 20点 △●◎●●○△○●○△12△○
<8>Medical Conciege I‘moon 19点 ●◎○●●●△○◎●●13○△
<9>DYM MESSENGERS 18点 △●△○○●●○△●△1●△
<10>LIFULL ALT-RHYTHM 14点 ○●●●○○◎●△●●10●●
<11>List::X 13点 ●○○●●○●●●●●8○●
<12>SEGA SAMMY LUX 12点 ●○△△●●○●●○△7●●
<13>Benefit one MONOLIZ 11点 ○●△●●●●●△○○14●●
<14>FULLCAST RAISERZ 4点 ●●●○●●●●△●●11●●